王城機兵倉庫に着きまして、
「ここか」
依頼書を受付に提示したぼくたちは、都市の外れに建てられている機兵倉庫へとやってきた。
入り口には鉄柵がかけられており、その奥には沢山の機兵があるだろう格納庫が見える。
鉄柵の付近で辺りに目を配るも呼鈴らしきモノは見当たらなかった。
「人、いませんね」
「そうだね。どうしよっか?」
鉄柵の向こう側からは、恐らく作業しているのであろう金属音などが聞こえて来ている。けれど人影は見えない。
「すいませーん!」
痺れを切らしたようで、音の聞こえてくる倉庫へ向け声を上げるティア。
…… …… シーン
ティアの呼びかけに倉庫からの反応は無かった。
「むぅ……」
頑張って呼んだのにも関わらず、反応が無かったことに頬を膨らませるティア。
「すいませーん‼︎」
反応しない依頼相手に頭にキタのか?ティアはさっきよりも大きな声で、鉄柵の向こうにいる人を呼ぶ。
…… …… シーン
ティアの呼びかけにまたしても反応無し。その結果、傍でティアが地団駄を踏む。
さてどうしたものか?
どうにか依頼人に会うため、ぼくらが次の行動に移ろうとした時、
ドドドッ!
何かがこっちに向かって来る。そんな音がし始めた。
左右に並ぶ幾つかの倉庫。その内の一つから誰かが出て来た。
出てきたその人は、走る足音を立てながら全速力でこちらに向かって来た。
「なんだい、なんだい、何だってんだい⁉︎」
倉庫の方からこちら走って来たのは、作業服を着た少年だった。
少年は鉄柵の前まで来ると、手に持っているスパナをぼくらへ向けてきた。
「急に来て何だお前ら。うるさくて仕事が出来やしねぇじゃねぇか!」
スパナを持つ少年。オイルの付いたその顔はまだ幼いように見え、身体に合わない作業服の裾を捲っている。
「五月蝿いですって⁉︎こっちはあなた方の依頼受けてここに来たのに」
倉庫の方からやっと現れた人。しかしその少年の態度にムカついたのか?その少年にティアが喰いついてかかる。
そんな二人の対立状態に、ぼくは間からなだめようとする。も売り言葉に買い言葉の応酬、さすがにこのままだとヤバイな。
二人の言い争いを横にぼくは、他に誰か居ないか?再び倉庫のほうに目を配った。
倉庫の方へ目を視線を向けると、大柄な人が一人こちら来るのが見えた。
やがて大柄なその人も鉄柵の前に辿り着く。
大柄な人の影が少年の上に被さる。
「何だとテメー!俺はこれでも……」
ティアと言い争いをしている少年がそう言いかけた時、大柄な人が振り翳した拳が、少年の頭部目掛けて落ちた。
ゴン‼︎
「いってー⁉︎」
大柄な人の拳を喰らった少年の口から叫び声が上がる。
突然起きた目の前の出来事にぼくとティアの口がムッと閉じる。
「パイロン、お客人に失礼だろ」
大柄な人が少年へ向けそう言う。
「お、親方。で、でもコイツが!」
「“でも”と言うなと言っておろうが!」
ゴン‼︎
「いってー‼︎」
大柄な人の言葉に訳を返そうとするも、パイロンと呼ばれたその少年はまた重い一撃を頭に喰らうのだった。
少年を叱った大柄な人。
(親方って呼ばれてたよな?)
落ち着こうと一つ深呼吸をすると柔らかな表情でこちらを見てきた。
「ウチの若いのがすみませんでした」
大柄な人が僕らに頭を下げる。
「いえいえ、こちらこそ急に大きな声ですみませんでした。え〜と、貴方は?」
大柄な人の丁寧な対応にぼくも丁寧に返す。
「申し遅れました。あっしはこの倉庫全ての責任者を任されております。ルセット・レイドマンと言います」
「初めまして、ウォロン・エルユ です」
互いに自己紹介し、ぼくはルセットさんと握手を交わす。
「それでウォロンさん。本日はどう言った要件で?」
ぼくらが来たことを知らず、来客理由を聞いてくるルセットさん。
ギルドが連絡しておきます。って言ってたんだけどな?
「ギルドに来ておりました。機兵解体の依頼で来ました」
ぼくはここに来た理由をルセットさんに伝えた。




