到着!中央都市
「あとどれくらいですか?」
「もうそろかな。あ、見えてきたぞ!」
真夜中の森で怪しげな影を見て一夜。僕らは中央都市近くまで辿り着いた。
約二日に及ぶ機内の生活に飽きたのか?後部座席に座るティアが、ソワソワした様子をしていた。
「と言ってもこのままじゃ行けねぇしな。ヴィオラ、何処か降ろせる場所ないか?」
「少々お待ちを。……都市外れに海岸があります」
「んじゃ、そこに止めっか」
中央都市に入るためヴィオラアシストの下、ぼくは機体を海岸に止めることにした。
「よっと!……よし、おいでティア!」
機体を無事、海に止めることが出来たぼくはコックピットから足場の悪い岩場に降りた。
下手に足を滑らせて大怪我でもしたら最悪だ。着地しつつそう感じたぼくは、振り返り降りてくるティアを受け止める姿勢をとった。
「ッ⁉︎」
「……おし!」
両目をギュッと瞑り怖いの我慢しながらぼくの胸目掛けジャンプするティア。不安一杯のそんな彼女をぼくは安心させるようにしっかりと抱きしめる。
「……ふ〜」
ぼくの顔を見て、安心したのか?息をこぼすティア。
「な、大丈夫だろ!」
「うん!」
ティアを安全な足場まで担ぎ、周囲を警戒してから彼女を下ろした。
一息つけるタイミングが見えるとそれを見計らったかのようにヴィオラから通信が入る。
「そろそろいいですか?そこから右にまっすぐ進めば都市の入口が見えてきますので……」
「あいよ。じゃあ行くか、ティア」
ティアに声をかけ、ヴィオラの言う方角に進み、そうしてぼくらは中央都市まであと少しの道のりを歩き出す。
そうして、なんやかんや歩き進めること十数分。ぼくとティアは今、中央都市エルベラその正門前に立っている。
「ほお〜、ちゃんと見たのは初めて見たけど、結構デケェなぁ」
空に輝く太陽の光を目元に差した手傘で遮りつつ高くそびえる正門を見上げる。
「ん?どうかしたかティア」
デケェ正門に関心していると隣でジーッとそれを見つめるティアを不思議と思ったぼくは、彼女にそんな何気無い質問を投げた。
「あ、え〜っと、ううん。なんでもない」
「……そっか。まぁとりあえず中に入るか」
目指す先を指差し、ぼくとティアは止めていた再び足を動かす。
さっきティアはなんでもないって言ってたけど、なんかあるんだろう。聞けば答えてはくれるんだろうけど、とりあえず今はそっとしとくか。
頭の中でティアの反応を気にしつつ僕らは中央都市内部に足を踏み入れる。