表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛空技師は駆り出される  作者: 似瀬
1/126

プロローグ

           ──飛空技師は駆り出される──

──場所はとある大陸に築かれた国。そこでは数百年も “争い” が起こらず、永く続いた平和は王族と民から危機感を奪っていた──。


それが未来永劫続く確証など…どこにも存在しないというのに──



空は悪天…どこまでも広がる分厚い雲が陽光を遮り、絶え間なく降り続く雨が平等に生物の視界を妨げる。


その日…王都は突如として崩壊した。民家は全て崩れ去り…城は見るも無残に半壊し…、行き場を失った住民達は揃って凄惨な光景を見つめるばかり…。


崩れた家を必死にかき分け何かを捜す者…、絶望し泣き崩れる者…──流れる血は悉く涙と変わり…雨に溶けていった…。


そんな悲しみに暮れる王都から離れた深い森の中を走る1人の女性と、鎧を身に纏う兵士がいた…。女性の頭からは触覚が2本生え、背には雨に濡れた蝶の様な羽がある。


彼女と兵士は跳ねた泥にすら全く気を向けず、手紙が入った瓶をいくつも抱え、息を切らしながらどこかへと走っていく…。


やがて森を抜けると、大荒れの海へと出た。3人は高波を恐れず浜へと近付き、抱えていた手紙入り瓶を全て海に流した。


みるみるうちに遠ざかっていく瓶を見届けると、女性はその場に膝をついて、容赦なく雨を落とす曇天に両手を合わせた。


「勇気ある者よ…災禍を恐れぬ強き者よ…──どうか…どうかこの地をお救いください…! “不浄なる魔の物” を──お祓いください…!」



どこへ辿り着くとも知らぬ一縷(いちる)の望みをのせた瓶は──大時化(おおしけ)の海を流され悲劇の地を後にする。


これがきっかけとなり、遠い地に住むとある飛空技師(ひくうぎし)が駆り出されることを…今はまだ誰も知らない────。



──プロローグ〈終〉

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ