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8話 領内事情

「オーモリ様、夕食のご用意ができました。食堂までご案内いたします。」

お、やっとか。おなかと背中がくっつきそうだったから助かったぜ。

「わかりました。お願いします。」


「やあ、オリバー君。夕食の用意ができたよ。満足してくれるかはわからないけど、楽しんでいってくれると嬉しいよ。」

「ありがとうございます。では、いただきます。」

「オリバー君、それは何をしてるんだい?」

「あー、これは料理を作ってくれた人や食材を調達してくれた人に感謝する習慣みたいなものです。」

「それは粋だね!でも食事に誘った僕には感謝してくれないのかい?」

「!い、いやもちろんしてますとも!」

「これこれニクラス。あまりオリバーをいじめるでない。」

「あはは!わるかったね。領主ジョークさ!」


び、ビビった。この男爵ネジ飛んでるわ。性格が悪すぎるぞニクラスさん!

…それにしてもパン固ったいなおい。フランスパンよりも凶悪なんじゃないかこれは。あとスープの味が薄いなぁ。素材そのものの味と謳っていた近所のレストランよりも素材を感じるぜ。


「シュローターベック男爵様、塩って追加でいただけますか?」

「ニクラスでいいよ。うーん塩かぁ。生憎シュローターベック領には海と面しているところがなくて塩は手に入りずらいんだ。申し訳ないけどそれで我慢してくれるかい?」


そんな問題があるのか。この調子だと他の香辛料もなさそうだな。領主の屋敷でこれなら領内の家はもっと悲惨そうだ。


「領内の民家でもこの、なんというか、素材そのものの味を楽しんでいるのですか?」

「ああ。領民はここにいるみんなと僕の家族ですべてだよ。」


ん???カルメンたち兵士さんと司祭さん。召使いさんたちとニクラスさん一家、、、だけ?


「え?どういうことですか?」

「そこはわしが説明しよう。実はこのシュローターベック家はニクラスとダフネが先の大戦の功績に起こした新興貴族での。開拓が難しい広大な領地をもらってのう。屋敷が建ったのもついこの間でな。まだ領民と呼べる領民はおらんのじゃよ。あるのは教会と行商人用の休憩所くらいかの」


なんてこった。人に合わないと思ってはいたがいないとは。

「そうなんですか。ちなみにニクラス様の奥様は今どちらに?」

「…」

「ああ。じつはダフネは、」

あ、やったわ。地雷踏み抜いたわこれ。

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