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第4話

家事をしたり軽く散歩したり読書をしたり。現実でまったり過ごして約束の19時少し前にログイン。

「おはよ、ユズ。」

「おはよ。」

こっちで目を覚ました瞬間至近距離にノアがいた。

「ごめんね、びっくりした?早くユズに会いたくてつい。」

「うん、びっくりした。」

でもそっか、こっちじゃ10時間くらい経ってるのか。

「うそ。全然びっくりしてなかったよね?」

「嘘じゃない。」

「え、うそだ。」

「嘘じゃない。」

「うーそ。」

「違う。」

ノアとじゃれ合いながらも部屋を出る準備をする。と言っても軽く身だしなみを整えるくらいなんだけど。


兄とはギルドの前で待ち合わせをしている。さっき歩いた大通りだけど人通りはかなり少なくなっている。どうやら時間が経って人がばらけたみたいだ。マップを見ながらギルドまでの道を歩く。道を覚えるのは苦手だからマップがあるのはありがたい。無かったら迷子になる自信しかないからね。

「ユズ、ギルドが見えてきたよ。」

「ほんとだ。」

「ユズのお兄さんなんだっけ?」

「そう。紺色の髪でミツって名前。」

「紺色かぁ。あんまり目立たないね。」

「…?目立たなくて良いよ。」

「そうだねぇ。」

流石に目的地が見えたらもうマップを見なくても歩ける。ノアと話しながらギルドに向かって歩いていると、どこからか聞き慣れた声が聞こえてきた。

「ーーーぅーーーづーーー!!!」

「ん?」

「ゆーーーーづーーーーーー!!!!」

「あ」

「ユズ、危ない!!」

「やぁぁああっと会えたぁぁぁああああ!!!!!!」

「んぎゅ」

ドドドドドッと凄い勢いで走ってきた(おそらく)兄に潰される勢いで抱きつかれた。

「会いたかったよぉぉおおお!お兄ちゃんちょーーーー寂しかった!!!てゆうかかわいい!天才!最高!最強!!やっぱり僕のゆづは天使だ!!かわいすぎて誰にも見られたくない!でも見せびらかしたい!!やっぱりいやだぁ!ぁぁ…ゆづの匂いがする。リアルのとはちょっと違うけどこっちのゆづも良い匂いがする。持って帰りたいなぁ。ねぇだめ?」

「だめ。」

「やっぱりだめかぁ。あ、フレンド登録しよ!!忘れないうちにしとかないと!フレンドになったら連絡も取れるしこっちでもすぐに会えるようになるね!はい!今ゆづにフレンド申請送ったから承認してくれる?」

「うん。」

「やったぁぁあああ!!!!これでゆづとフレンドだね!いつでもどこでも一緒にいられるね!!」

「それは無理。」

「だよねーーーー!!!うわぁぁぁああん!!お兄ちゃん悲しい!でもゆづも一人でゆっくりしたりお友だちと遊んだりしたいもんね!え?ゆづにお友だち!?それってまさか、お、お、お、お、おおお…」

「いない。」

「そ、そっかぁ。うん。別によかったぁとか思って無くもないからね!あ、そっちの子はゆづのスピリットかな?初めまして、ゆづの兄のミツです。よろしくね。」


ノアは突然現れた不審者がユズの兄だという現実を受け入れられないままに口を開いた。

「は?なにこいつ。え、ユズこの変態は何?まさかこれが兄とか言わないよね???ただの人違いの変態だよね?衛兵呼ばないと。ここにいたら危ないよ。犯罪に巻き込まれる。っていうかもう巻き込まれてる。速く逃げようユズ。」

「ノア、これが兄のミツ。人違いじゃない。」

「うん!正真正銘僕がゆづのお兄ちゃんだよ!!仲良くしてくれると嬉しいな!あ、こっちは僕の相棒のミシェルだよ!」

ミツが自らの頭上にいた白い子猫に話しかけるも、まるでぬいぐるみのように動かない。

「…」

「ん?ミシェルどうした?僕のかわいい天使とノアくんに挨拶して?」

我に返ったかのように体をびくつかせたネコは慌てて自己紹介を始めた。


「あ、ご、ごめんなさい。その、あの、えっと…わ、わたしミツのスピリットのミシェルと申します。ふ、ふつつか者ですがよろしくお願いしみゃす!……ぅぅ、かんじゃった。」

「かわいい。」

小さなぬいぐるみのような子猫がたどたどしく話す様子にユズが思わず心の声を漏らすとノアが対抗するように自己紹介をした。

「む!!ユズのかわいい相棒のノア。よろしくはしなくていい。」

言い終わるなりふん!とそっぽを向くノアだったが、子猫の様子が気になるのか横目でチラチラ様子をうかがっている。

「ノアはツンデレさん。」

「ユズ!?」

「つ、つんでれ?とはどういう意味でしょうか?」

「とっても優しい人のことだよ。ミシェルもノアくんと仲良くしてもらうと良い。」

「だから!仲良くはしないって言ってるだろ!この変態!!」

ミツの言葉にノアが思わず言い返すと、途端にミシェルの瞳に涙が浮かび悲しげな表情になる。

「ぅぅ、ノアさまはミシェルのことがお嫌いなのでしょうか?」

これにはノアも強くは言えず、ぼそぼそと言葉を続ける。

「き、君には言ってないだろ。勘違いするなよ。」

「ノアさま!」


「やっぱりツンデレ。」

「そうだねぇ。」

「そこ!うるさい!!」

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