第二話;ついてきてる?
このクラスの生徒達は純粋でいい子達だ。この件で黒髪問題に触れたのは実際に差別や偏見が一時期酷かったのだ。騎士団の第三騎士団の三峰副団長が出てきて以来、少しは改善された。しかし無くなってはいない。
このクラスの生徒達にはそんな偏見を持たずに育ってほしい。いずれ大きくなったらこの村から出る者もいるだろう。そうしたら、村に駐在する警察や無所属と言われる騎士団の騎士だけではなく、No持ちの騎士団やそれこそギルドの冒険者とだって関わる。
特にと、今だに元気な生徒達の中で高峰 翼、八重凪 一真、大地 優の3人に目をやる。この3人は珍い魔法だったり自身じゃ制御出来ない程の大きすぎる魔力を持ったりと、この村では特殊だ。いつか、東京の方へ出て行くのではないかと踏んでいる。
この3人なら東京の中でも活動を続けるのは難しいと言われる激戦区、首都圏内でも活動できるのではと思っている。
これは親バカならぬ先生バカだろうか。
生徒達を眺めていると、一匹の犬がオレンジ色の目を輝かせてコチラを見ていた。
「(忘れてないよ!大丈夫よ。)はい!それでは次の質問チャムくんについてですね!」
「!はい!よろしくお願いします!」
そういうと今度は翼くんが同じようにオレンジ色の目をキラキラさせる。
「まずはチャムくんは、『シリウス』という名の星魔獣です。星魔獣とは何か知ってる人〜!」
「あ!はい。あれ!星座と星の象徴!ペガサスと一緒のやつ!」
「はい、一真くん正解!星魔獣とは、魔獣達がこの世界に来た時に一緒に来たとされる魔物です。今では88種の星魔獣がいるのではと言われています。でも魔獣とは違うところが六つあるの。
一つ目!生まれる場所。魔獣は魔素や魔力が多いところで生まれるけど、星魔獣は星魔域って呼ばれる星の魔力が多く集まる場所で生まれる。未だにその場所は特定できてはいないんだけどね。
二つ目!知能。魔物や魔獣の中には進化して高い知能を持つ者がいる。だけどそれは進化した場合。星魔獣は、星魔獣である限りとても高い知能を持っているわ。そして最近わかった事なのだけど、星魔獣は生物の魔力を見ることができる。人は親から受け継いで魔法を得ることが多いけど、魔力の色は結構違うのよ。魔力はその人が生まれた環境や性格に影響されるって分かってる。これをオーラって言ったりするんだけど‥‥皆んな大丈夫?」
「‥う〜ん?でもまゆみ先生そのオーラっておれたちでも見れないの?この間テレビでやってたよ哲人と水瀬って人の特集。その時にもやもやってした色のついた湯気見たいなのが一緒に見えたよ。それがオーラってやつじゃないの?」
「おー。優くん!ついてきてた!そう!それ!皆んな見てない?神技⦅じんぎ⦆特集ってやつ。神技って言うのは‥取り敢えずすごい技ってことっ!」
「あ!見た!あれがオーラ?」「えー見てないよ。」「私とってるよ!見せてあげる!」
すごい技と称したが、それは少し言葉不足だ。だが今はそれでいい。
神技とは魔法を極めた者の前に現れる、最後の扉を潜り抜けた領域である。どんな風に自身の前に現れたか、そもそも扉は最初から開いていたとかバラバラであり、未だ解明には至っておらず研究者達がこぞって調べる分野である。
それがつい先日テレビで特集をしていたのだ。難しい話だからピンときてなかった子供達も、それで想像ができたようだ。優くんさすがだ。
「皆んなが見えたのは神技だったからよ。神技は使う時に自分の魔力が具現化される。今までは見えてなかった自分のオーラの性質が見えるの。その中でも、特に自分の魔法の理解や強い意志を込められる人はね、オーラがモノを形取ったりして、唯一無二の魔法になるのよ!そしてそれらを全部ひっくるめて、オーラと呼びますっ。」
「「はーい!」」「神技すごい!」「ねー!」
「そして、優くんの疑問だけど、魔力を持つ人は、見えないだけでそれぞれが常にオーラを出しているって研究で分かっているわ。その見えないオーラを星魔獣は見えるらしいの。‥大丈夫かな?次行っていい?」
「わかりました!」
「うん。うん。じゃあ生まれる場所、知能ときて、
三つ目!希少種であること。珍いってことなんだけど、魔獣と比べて圧倒的に星魔獣は姿を見せないの。それはさっき言った様にオーラが見える事で警戒心が強いからって言われてる。そして此方が何かしなければ攻撃してくることもないから、緊急時を除いて攻撃する事は許されていないから、もし見かけた時は攻撃しちゃダメよ!
四つ目!契約獣。テイマーはテイム、召喚魔法士は魔法を掛けて仲間にする。だけど星魔獣を仲間にするには、テイマーも召喚魔法士も契約を交わす方法でしか仲間にする事はできないの。契約内容なんかは自由らしいんだけど、お互いに納得していないと契約は交わせない。無理強いはダメってことね。これは星魔獣の能力だと言われてる。だから、星魔獣は契約獣と呼ぶの。そして、契約した証は星魔獣の額に星のマークが浮かび上がるわ。」
翼の隣に座っていたシリウスのチャムが、心配そうに翼くんを眺める。それを見てぎゅっと翼はチャムを抱き抱えた。
翼は見ていなかったが一真は怪訝そうに、優は心配そうに眺めていた。そしてまゆみ先生がチャムと一瞬視線を交わしていたのは誰も見ていなかった。
「皆んな、大丈夫そうね!ついてきてるわね、優秀、優秀!そして最後、
五つ目!金色の魔力。普通魔獣は進化した場合や亜種を除いて、魔獣の種によって魔力の色が違うわ。それは私たちがオーラが見えなくても、魔法を使う時の魔方陣の色で判断できるでしょ?星魔獣は例外なく金色の魔力を持つと言われている。そしてそれは、逆に魔獣は金色の魔力を持つことはないと言われているの。
六つ目!契約は魔法ではないということ。というのも通常人は魔法をもつ場合一人一つでしょう?星魔獣との契約を交わしたからといて、魔法がそれしか使えなくなる訳じゃないの。だから翼くんも契約とは別に自分の魔法持ってるでしょ?‥さて、『キーンコーンカーンコーン』‥丁度終わったわね!星魔獣については以上です!今日はここまで!何か今日のことで質問があったら後で先生の所へいらっしゃい。」
「「はい!」」
「きりっーつ!礼!」 「「ありがとうございました!!!」」
閲覧ありがとうございました。
因みにテレビ内容は『神技使えるすごい人特集!!』まんまです。
扉の前にいる人→まだ神技習得していないがすごい人。 扉開けて入った人→習得。オーラ具現化成功。
扉の中の領域でくつろげる人(自分の魔法への理解度と使い道など強い意志を持てる)→オーラが何かを形どる。例;植物、動物等。
そう思っていただければ。