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二話 蝕まれる心

朧げな意識の中、背中を焦がすような焦りで一気に意識がはっきりとして飛び起きた。慌てて周りを見渡す。そこは自分の部屋で、俺はベッドに寝てようだ。


目の前にその勢いに驚いた医師、慌てて人を呼ぶように看護師に指示する。その後、気まずそうに目を合わせない医師、頻繁に外を見に行くフリをしている。


やっぱりさっきのことは事実なのかよ……。体の内臓全てに強く重力を感じる。


すぐに、父と母、王、デルマがやってくる。皆どこか表情が固くて、緊張をしていることが分かった。


まず、医師が俺の様子を見て無事だということを確認し、終えると王が、


「無事でよかった。一旦、私たちは出ていこう。家族でする話もあるだろう」


そう言って王は医師含めて全員が部屋から出ていくよう促す。良かった。皆の前では洗いざらい話せなかったが、父と母だけなら話せる。


これからどうしていけばいいか聞こう。何とか出来る方法はないか。何よりも、自分が死にたくないと誰かに共有したかった。もう自分一人では抑えきれなくて……。家族ならば、ちゃんと聞き入れて、親身になって考えてくれる。そ大前提に他の人とは違って、家族なのだ、死んで欲しくないと思ってくれている。そう思っていた。


「おめでとう」


しかし、ドアがパタンと閉まったと同時に父が放った言葉は余りにも予想と反していた。


「………………はっ、えっ……?」


意味が分からなかった。死なないといけないのに、何がおめでとうなんだ……。


「私たちは誇らしいよ」


父と母が浮かべている笑顔は歪で、無理に笑顔の型に表情を押し込めたような……。声は無機質でいやに耳に残って……。


父と母は俺の疑問の声にも耳を貸さず。それどころか、俺に話をする機会すら与えず勝手に話を進めていく。そして、いつも通り王のこれまでどれだけ俺の家族に奉仕してくれたかを語りだす。一体何を考え……。


あっ……そういうことか。…………父と母は国を選んだのか。


理由は分からない。もう散々、身分に合わないような待遇を今まで受け続けて、もう今頃断ることが出来ないとか、シンプルに国の期待を裏切れないとか……。


だから、今も国に受けた恩を話して、俺を死ぬ気にさせているのか……。


俺の命だからって……。勝手にそっちが決めんなよ……。鮮烈な怒りが巻き起こる。もう、殴りかかる勢いの……。


「話は終わったか?」


だが、王がドアの外から尋ねてきたことで我に返り、出しかけた手を抑える。


「はい、終わりました」


父と母がそう返事して王とデルマ、医師は部屋に入ってくる。その後ろにはさっきにはいなかった、少しの年配の女性や若い女性や子供など十人程度いて……。


その顔には見覚えがあった。鬼が子供を産んだタイミングで生贄では足りずに、国に攻めて来た際、俺を守るために犠牲となった騎士団員の親や奥さん、子供だ。


「鬼を倒してくれるんでしょ。お父さんの敵とってくれるんでしょ」


事情を把握しきってないであろう子供が嬉しそうに明るい様子で言う。


「そうです。夫の敵をとってください」「息子の敵をとってください」「これ以上、誰も犠牲にならない世界を」「夫の遺志を継いでください」


子供の後に続いて口々に言いだす。皆、一見優しそうな瞳をしているが、少し覗き込めば威圧感のある瞳が奥にあって……。私の夫は死んだのに、お前は死なないとかあり得ないよな。そんな空気感が伝わってくる。止めてくれ。この人たちを呼ぶのは卑怯だろ。この人たちの前で断れるわけがない……。ただでさえ、自分のために死んでくれた人がいることで充分、断れないのに。念押しすぎるだろ……。


俺は俯いた。全員に死んで欲しいと思われることが精神を蝕んでくる


そんな時、手に温かみを感じる。見上げるとデルマだった。


「デル……」


「この国を助けてください」


俺の言葉をさえぎって、弱弱しく縋るように言った。でも、言葉とは裏腹にその瞳の奥には強い光が宿っていて……。デルマは俺に生きてほしいと願ってるかもしれないという期待を抱く隙すらなかった。


あぁ、俺はその程度だったのか……。


ただでさえ孤独なのに、余計ダメージを受けて……。


もう、一気にいろんな物が見えて、その度に感情の振れ幅が大きすぎて、自分がどう感じているのか分からなくなった。今の自分はどんな表情をしているのだろうか……。


ちらりと窓にうっすらと映る自分の顔を見てみた。窓にほんのうっすらと映っているだけでも悲壮感が濃く顔に現れていて、人間味というものが一切ない表情をしている。


もう顔を見れば思ってることは分かるだろ。なのに、こいつらは威圧感をもって、死を押し付けてくるのか……。死の恐怖と人間の狂気が重なって……。激情が沸き上がってきた。じっとしてられない。もう狂いそうだ。もうめちゃくちゃに暴れまわりたい……。


息が荒くなって、もう立ち上がろうとした時、ドアがバタンと開いた。焦った様子の看護師が顔を覗かせる。


「サリー様が目覚めました!」


また邪魔が入って気が削がれた。息をゆっくりと吐く。


「分かったすぐに行く」


王はそう言って、俺の目の前に立った。ポケットから携帯型水晶を取り出す。青白く光り、光が消えると水晶には広場の様子が映っていた。広場にはさっきと同じように国民がいて、じっとこちらを見ている。


「国の民を安心させてほしいのだ。皆の前で答えてほしい。国を救ってくれるか? アイン」


柔らかく、威圧感のある声で王は言った。いつもと違う厳格な雰囲気。卑怯だろ。こんな大衆の前で断れるわけもない。それに、今まで俺のために死んだ人もいるのに……。それなのに、死にたくないなんてダサい答えを言えるわけもない。それに、まだ死ぬ実感も出来ていないのに、急に覚悟を決めろって鬼畜すぎるだろ。


視線が痛い。皆、瞳から死ぬことを期待しているのが伝わってくる。誰も助けようとしないで……。やめてくれ。やめてくれ。そんな目で見ないでくれ。やめてくれ。落ち着いて考えさせてくれよ。


頭の中は真っ白になって、息を吸うタイミングすら分からなくなって……。


「この国を守ってくれぇ!」


そんな時、待ちきれなかったのか国民の一人が叫んだ。途端にそれは伝染し、


「そうだ。お前ならやれる!」「この国を守ってくれ!」「鬼を倒してくれ!」「歴史を変えてくれ!」


そう安全圏から無責任で綺麗な部分だけ切り取った言葉を投げかけてくる。それで俺は死ぬんだよ。そんな俺にかまいなしに、勝手に盛り上がっていく国民。しまいには「アイン」「アイン」と俺の名前コールが始まった。


もう精神は限界なのに、更に追い詰められて。息と吸うと吐くのがごっちゃになって。


「…………はい」


もう押し付けられた勢いに負けたのと、何よりも精神が限界だった。一人になりたかった。そんな自分がほとんど無意識的に発した言葉だった。


それを聞いて安堵した王達、一気に雰囲気が和やかになる。自分の死を了承したのに、まずはそのことにほっとしてしまった自分がいた。


「今は一人にしてやろう」


聞きたかった解答は聞けたから、適当な理由を見繕って出ていく一行。部屋に俺しかいなくなって。一人にしてやろうってお前らが勝手に入ってきたんだろ。静かになった部屋。


死ぬことを国民全員の前で誓った。その事の重大さには気づいている。でも、今は一人になれたことに安堵していた。そうでもしないと精神がもう持たない……いや、ずっと前に限界を迎えていて……。全部から目を背けたくて……。少しでも気分を休めたかった。


ベッドに倒れこむ。目を閉じて、何とか落ち着けないかと思った。が……。


駄目だ……。


現実逃避を続けようと試みた俺だったが、すぐに逃げ切れなくなった。気づくと自分の死に考えていて、その度に喘ぐほど息が吸えなくなる。


何とか死なずに済む方法はないのか……。その中でスキルについて考えていた時だった。俺は不意に気づいた。よく考えればサリーが寿命を俺に託さないと俺は行きたくても行けなことに……。


随分と気分が落ち着く。


あの怖がりのサリーだ。すぐに死ぬ決断なんて出来るはずがない……。


そうだ。それに、いざとなれば一生サリーと会うこともなければ命を託されることもないのだ。


俺がたどり着いたのは無謀な解答だった。普通に考えれば、不可能に決まっている。でも、その時の俺にはこの上なく妙案と思えて、生きれる可能性があるということで充分だった。


今度こそ休もう……。今度こそ考えることを放棄しようとした。生きれる可能性はあるのだ。もう現実から逃避しようと……。


だが、まだ出来なかった。言いようのない動悸を感じて、疲れ切っているのに脳が動き続けたままで。生きれる可能性だけではこの恐怖は拭えない……。


駄目だ。もっと生きれる可能性を探さないと……。まず、この部屋にずっといよう。そしたらサリーと会うこともない。この部屋に隠れていていれば、誰にも気づかれなければ……。


そう考えて、ソファの下の隙間に入りこんだり、カーテンを体の周りに纏わせて隠れようとしたり。本気だった。真剣だった。そうでもしないと正気を保てなかった。わざと床を舐めて、体調が悪くならないかと期待したり。体調が悪くなればすぐに行けとはならないだろう。


そんなことを繰り返し、結局、タンスをずらし、埃だらけの場所に体を滑り込まして落ち着く。ここなら簡単には気づかれない。それだけでなく、この世界から隔離された気分になれるのだ。安堵感を覚え、その途端に込み上げてきた疲れ、立っているにも関わらず意識が混濁とし始め、すぐに寝入った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

体の至る所の痛みで目が覚めた。長い時間眠ったというのが感覚的に分かる。立ったまま無理な姿勢で寝ていたようで体中が凝り固まって痛い。何とかタンスの隙間から抜け出す。


どうしてこんな所で寝てたんだ……?


凝り固まった場所を伸ばしながら、疑問に思ったと同時に思い出した。死の恐怖は色あせることはなく、心臓がバクバク鳴って、息も思う様に吸えなくて、


「ハッ、、、、アハゥ、、、、、、、ハッ」


何か支えを持たないと立てないほどに足が震え始めた。怒りや悲しみ恐怖といった負の感情が一気に押し寄せてくる。その激情に耐えるのに必死で……と思うと限界を迎えたか急に何も感じなくなったり、そう思うとまた激情が……。


すぐに精神的疲労が溜まって、息が薄くなったように感じる。まるで自分が死を待つだけの死刑囚になったような感覚を覚えて……。


ガチャッ、


堪らずドアを開くと、足元には夜ご飯が置いてあって、視界の端にいつもはいない護衛が映る。逃げられないようにしている。その時は、そんな単純にことに気づかなかった。自分のことだけで必死だった。ただ、こんな自分を誰にも見られなくて……。すぐに部屋に戻る。


部屋に入った後に、サリーに会ってしまうかもしれない迂闊な行動だと気づく。


でも、どうする? もうこんな狭い場所に居たくない。でも、そのまま外に出てもサリーに会う可能性がある。その時、ちらりと床に敷かれている大理石が目に入った。


あっ、そうだ。すっかり忘れてた。


俺はすぐに屈み、最も大きいサイズの大理石の端に指をひっかけ、力を加える。埃を撒き散らしながら持ち上がる大理石。その下にはギリギリ人が通れるほどの穴が現れる。


これはモグラのように穴を掘ることができるスキルを持っていた者に開けてもらった穴だ。昔隠し通路に憧れていて作ってもらった。この通路は俺とその開けた人しか知らない。


そして、その人は俺を守るためにもう亡くなった。


俺のために死んでくれた人たちのために死なないといけないのかな……。何度か頭の片隅で思っていたことだ。


でも、そう思っても、死の実感は湧かず、恐怖心だけが強くなってくる。嫌だ。生きたい。死にたくない。頭をブンブンと振って、無理に忘れようとした。すぐに穴に入る。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ビュオォォ


風が体を撫でていく。俺は城の最上階の端にある人通りのない廊下の柵にもたれかかっていた。この廊下は外側に面する方の壁が無く、外の景色を直接眺められるようになっている。夕方になると、夕日が差してきてその景色が好きでよく見に来るのだが、今日は月が朧げに照らしまた違った良さを見せる。さらに誰もいない+開放的で完璧だ。


不意に下を見た。薄暗く距離感が分からない。でも、飛び降りれば確実に死ねるだろう。そっちの方がまだ楽に死ねるんじゃないか……。そう考えると、吸い込まれていくような感じがして……。そんな自分が怖くなって柵を血管が浮き出るほど強く握りしめる。そんな時だった。


「兄様」


震えて、掠れて、風に吹けばかき消されそうなほど頼りなく小さい声。でも、スッと耳の奥にまで届いた。その声を認識した途端、心臓が鷲掴みにされたように縮み上がる。


バッと振り返ると、そこには他人かと思うほど変貌したサリーが立っていた。実の妹でなければ分からなかったほど。顔全体が薄黒く、唇それに薄い青が足された感じ、隈はより濃い。瞳には生気が宿っていなく、体全体から疲れ切っていることが読み取れた。


「お部屋に尋ねたのですがいらっしゃらなくて。それなら兄様はいつもここに居らっしゃると思って」


そう俺に話しかけるサリーの焦点は合っていない。笑おうとしたのか、唇の端がピクリと動いた。


バクンバクンと胸打つ心臓。空気がぬめり気を帯びたように、息を吸うごとに喉の水分を奪って、すぐに喉がカラカラになった。


「ど、ど、どうしたんだよ。こんな夜遅くに……」


慌てていつも通りを装った。少しの変化すらサリーに感じさせたら駄目だと思った。それほどの危うさを今のサリーは持っていて、


「どうすればいいの? 兄様。助けてください」


縋るようにサリーは尋ねてくる。そして頭をブルブルと震える両手で抱えるのだ。いや、思っているよりまずい状況だ。そう肌で感じた。


「ま、まぁ、い、今は夜も遅い。一旦、落ち着こう。ね、一旦帰って、明日考えよう」


もう逃げるように振り返って速足でその場を立ち去ろうと思った。


「……も、もう……こうするしかないよね」


そう自分に言い聞かせるように言ったサリーの声はやけに近い所から聞こえた。


ゾクッ、


足先から頭の先まで冷たいものが走る。振り返る暇もなく背中に触れる手。ナイフを突きつけられたように死の恐怖が込み上げてきて……。


「おい!」


気づくと怒りを顕わに、もう無我夢中でその手を振り払い、


「何してんだよ!」


もう、家族に向けて放つような声色じゃない。さらに、勢いでサリーを突き飛ばしてしまう。サリーは力に抗えず勢いよく背中から倒れる。


唖然とした顔をしているサリー。今までに見たことのない。信頼している人に裏切られた表情。


「どうして……お兄様?」


瞳に涙を溜め、表情は初めにあった時とはまた違った絶望の色を持っていた。唯一、同じ境遇の俺に怒鳴られ、突き飛ばされて……。


「今まで私たちのために死んだ人がいて、国のために……しないと。カルビンにも頼まれたの……。国を守ってくれって……私は死なないと……。これだけしてもらったんだから……」


ヒステリックに声を裏返って言うサリー。もう頭をブンブンと左右に振って、立ち上がり始める。


「来るな!」


もう妹に放つ言葉ではない。でも、今の俺にはサリーの心境を気遣う余裕はなかった。もう、自分の身を守ることで必死だった。逃げようとした。でも、運悪くつま先が地面に引っかかって、でも、必死すぎてそれに気づかずに、走り続けようとする足。結果、受け身をとらず腰を地面にぶつける。


「あぅ」


一気に鈍い痛みが広がって、


「そ、そうだよ……。国を……カルビンを守らないと」


そう言うサリーの顔はぐしゃぐしゃに潰れていて、表情は恐怖と狂気が入り混じっていて、もう何が何だか分からなくなっている。


「やめろ! 落ち着け!」


そう叫んだが、サリーの耳には届いてない。何かブツブツと独り言を唱えていて……。


「来るなぁ!」


サリーは俺に向かって手を伸ばしてくる。それを止めようとするもかいくぐられ、俺の胸に手が置かれた。その刹那、サリーの手が青白く光り、体に何か心地よい暖かいものが流れ込んでくるものを感じた。それは、徐々に体に馴染もうとしている。


いぃやぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁ。


もう恐怖で声にも出なかった。体も動かなかった。ただ、青白く光る手を眺めているだけで……。そして、サリーの手の光が消えた瞬間、


「グゥプフゥゥゥ」


サリーの口から風船から空気が抜ける音のような、人間の口から出たものかと疑うような情けない音が鳴った。同時にサリーの体から力が抜けて、そのまま俺の体に倒れこんでくる。


俺の体は固まったままだった。いろんな感情が押し寄せてきて呆然と座るだけで……。

その間にサリーの遺体は徐々にずれていって、地面に転がる。俺はそれを起こそうとも、サリーの死に顔すら見ようと思えなかった。もう、本当に頭には何も思いつかなくて……。しばらくそのまま呆然と前を眺めていた。


もうどれくらいそこにいただろう。長かったのか、短かったかも分からない。この世で理解してくれる人がいなくなったんだという現実をようやく悟り始めた頃だった。


視界の端に動くものを捉えた。廊下の柱から少し顔を出したそれは、サリーの夫のカルビンだった。遠目にサリーが死んでいることが分かったのだろう。


カルビンが安堵したのが分かった……………。


カルビンは一安心した表情を浮かべた。何よりも先に安堵した。妻の死を悲しむより先に安堵した。その表情は俺の目に焼き付いて……。


体中の毛が一気にピンと逆立った。空っぽだった心にどす黒い怒りがなだれ込んできて。


「おぉまぁぁぇぇぇぇぇぇ!」


鮮烈な怒りが芽生えた。無我夢中でカルビンのもとへ走って、そのまま飛び乗って馬乗りになった。間髪入れずに顔めがけて拳を振り下ろす。


ゴンス、


拳に伝わる固いものにめり込んでいく感覚。すぐにもう一方の手を振り上げ、そのまま真っすぐに振り下ろす。


「お前、お前、お前ぇ、お前ぇぇ、お前ぇぇぇ、お前ぇぇぇぇ、お前ぇぇぇぇぇ、お前ぇぇぇぇぇ」


殺す気だった。今までに溜めてきた不満をすべてこのカルビンに目掛けて何度も振り下ろす。度々外し大理石の床に拳を振り下ろし、手の皮が捲れ上がったがそんなこと気にすることすらない。


殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。


バチッ、耳元でそんな音が聞こえた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。m(__)m


次回は今日(8/5)の十時頃までには投稿します。

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