アウリスの海岸
アガメムノン王の娘イフィゲネイアに付き添って、ミキーネからアウリスまでの長旅を終えた娘たちはようやく婚礼の道具を運び終えて、休憩をしようと湯を沸かしながら、火の周りでおしゃべりに花を咲かせていた。
「ねえ、見た?兵士たちの訓練。アイアスがいたわ!歩くとまるで地震のように私の所まで揺れたの」
「私パラメデス見かけたわ。海で泳いでいたのよ。イルカみたいにすごい早かったわ。彼、海の子孫よね。英雄だわ!」
「英雄ならメリオネスだと思うわよ。クレタの野獣って言われているもの。うわさの通りにすごい筋肉していたのよ。遠くからでもすぐに分かった」
「伝説ならヒュロスのネストルではない?あの弓を持っていたわ。その近くにねディオメデスもいたのよ。円盤投げをしていた。弦みたいに体がしなって、すごい飛んだの」
今までうわさや吟遊詩人たちの謳う話しの中でしか知らなかった男たちを目の当たりにして、娘たちの興奮は収まりそうになかった。たとえそれが王妃の前であっても。
「すごい船ばっかりだったわね。千隻ですって!海の上なのに揺れもしていないわ」
「船首のゴルゴンの首、黄金だったね。信じられないくらい輝いていた。船より私の髪を飾りたいくらいだわ」
キャラキャラとした娘たちの声はとめどなく続く。
「あれだけの船と兵隊たちがが一人の女のために動くのね」
「トロイアへ・・・・ヘレンのために」
「ちょっ、見た?兵士の訓練!アイアスいたっしょ!あいつ歩いてるだけで、床超ゆれっし。カッコよくね?」
「パラメデスいたよ~。海泳いで、超うける~~。アレ人間?!もしかしてイルカじゃね?つうくらいはえ~よ。さすが英雄って感じぃ~」
「英雄っつうんだったらメリオネスっしょ!!あれ筋肉すげ~よ!!うわさなってんべ?遠くからでも超わかるし、さすが野獣っつうかさあ。あいつクレタで、超いけてたらし~~よ」
JK語変換……遊んでみた