次から次へと…
5話目です。よろしくお願いします。
「はぁ…はぁ…倒した?倒せたのか?」
その時、頭の中に女性の機械的な声が聞こえてきた。
「システムコール、レベル1アップ。称号【コゴブリン討伐者】獲得。経験値獲得。GP獲得。善聖値獲得。弓術レベル1習得。」
「何だ?この頭の中で聞こえる声は?」
レベルアップ?倒したからレベルアップしたのか?本当にゲームみたいだ…痛みは本物だけどな。
レベルアップしたおかげか?眼の痛みがちょっとだけ引いたような気がする。だが激痛がすることには変わりがない。何とかしないと…。
俺は異次元収納を使い、眼に刺さっている矢を収納し、出血している眼にシャツの袖を破って巻き、一時的な包帯にした。
「何か嫌な予感がする…」
一刻も早くここを離れようとして、念のために近くに落ちていたゴブリンが持っていた弓と矢を拾った。
その時、自分の周囲の草がガサガサと音をたて始めた。
「まさか!!」
自分が思ったことが外れてくれと祈ったが、祈りは通じず俺の周囲には数十体のゴブリンが現れた。
そして更に、周りにいるゴブリンより三倍はでかいやつが後ろから1体現れた。
小さいゴブリン達はそれぞれ剣や弓、斧や棍棒などをもっていて、でかいゴブリンは巨大な棍棒を持ち防具らしきものも装備していた。
「マジかよっ。あのでかいやつは今の俺ではマジでヤバイ!」
「グゲゲゲゲーーーー!」でかいゴブリンは笑い声を上げ、それに続くように周りのゴブリン達も笑い声を上げていた。
絶望的な状況だった。自分の不運を呪った。
ここには俺を助けてくれる存在なんて見つからない。自分でどうにかしないとここで死ぬことには変わりがない!!
俺は覚悟を決めて戦うことにした。といっても俺には、さっき獲得した弓術と異次元収納しかない。
だからさっきとほぼ同じ事くらいしかできないが、だがやるしかない!と腹をくくり新たな戦闘を開始した。
「行くぞ!!」
俺は弓を構え、周囲に弓術を使い、矢を放った。
結果はほぼ外した。数体に命中し擦り傷を負わせただけだった。
それを見ていた1番でかいゴブリンは笑いながら周囲にいる配下に突撃の指示をした。
「グギャッ!グギャギャギャーー‼︎」
そして、でかいゴブリンも棍棒を振り下ろそうと近づいてきた。
そこに俺は気づかれないように先程と同じだが更に高い頭上に異次元収納の取り出し口を指定し、岩【大】を落とした。
「舐めるな‼︎お前が!潰れやがれっっ!!!」
バキバキと周囲の木々をなぎ倒しながら、超重量プラス重力が加算された岩【大】がでかゴブリンと近くにいたゴブリンに凄い勢いで降ってきた。
「グギャァァァァーーーーーーーーーーーー‼︎‼︎」
凄い断末魔の声だった。
そして周囲に静寂が訪れた。
潰れるのを免れたゴブリン達は暫く呆気にとられていたが、一目散に森の中に逃げ帰って行った。
そして。
また、あの声が聞こえた…。
読んでくださった読者の皆様ありがとうございます。