異世界の洗礼
四話目です。よろしくお願いします。
「なるほど…スキルの詳細もわかった事だし、次は実際に使ってみるか」
俺はスキルを使ってみる事にした。
「まずは異次元収納だな。説明には手で触れている〇〇を収納するって書いてあったな。じゃあとりあえずその辺の小石を収納してみようかな。」
近くに落ちていた小石を拾って収納と念じてみた。一瞬で手の上にあった小石が消えていた。
「うぉっ消えた!」
システムを使って持ち物を表示してみると持ち物の欄に石【小】1と追加されていた。
「なるほど。じゃあ次は自分の腰くらいまである石を収納できるか試そう。」
ちょうどいい大きさの石を見つけ、先程と同じように手で触れて念じてみた。
また一瞬で消えた。そして持ち物を表示させてみると石【中】1と追加されていた。
何か楽しくなってきた俺は近くにあるものをどんどん収納していった。ちなみに生えている木は収納出来なかった。
そしてこの時、異次元収納に夢中になっていた俺は自分を観察している存在がいる事に全く気付いていなかった…。
「グギギ…」涎を垂らしニヤついている存在がいる事に。
今、俺の目の前には今日見つけた中で1番大きな岩があった。だいたい目測高さ5メートル、横4メートル弱、重さ数10トンくらいある岩だった。俺はその岩に手を触れて念じてみた。一瞬で消えた。
「やったーーー!」
俺は達成感でいっぱいだった。両腕を上げて喜んでいた。
そして、その直後、俺の左眼に突然激痛がした。
「ぐああぁぁぁーーー‼︎‼︎」
最初何が起こったのかわからなかった…。
激痛に耐えながら左眼に手を持っていくと棒らしきものが手に触れた。
そして、それは左眼に刺さっているようだった。
「これは何だ?めちゃくちゃ痛い!何が起こった!?」
自分ではパニックになっていたが頭では冷静に状況を把握しようとしていた。
これは状態異常無効の効果で、混乱を無効化しているのかもしれないと思った。
その時、草陰から俺の胸くらいの背丈で緑色をした小人のような存在がこちらに、弓を構えながら現れた。
たぶん昔に読んでいたラノベに出てきた、ゴブリンというやつだろう。
「グギギギギギ」変な金切り声をあげながらそいつはニヤケ顔で笑っていた。もう獲物を獲ったも同然だと思っているんだろう。
俺はこの時、激痛に耐えながら自分の甘さを後悔し、同時にこの状況を打開する方法を考えていた。
考えろ!今の自分にできることは何だ!今は異次元収納しかない!他のスキルはまだ確認できていないし、この状況では博打は打てない。
どうすればアイツを倒せる?何度も考え、そして俺はあいつを倒す方法を思いついた。
俺はすぐにその方法を実行する為に行動した。
まず異次元収納を使い、あいつの頭上に取り出し位置を指定。次に、気づかれたら避けられるので、注意をこちらに向けられるように煽ってみた。
「痛っつ。このクソ野朗が!遠くからしか攻撃できない臆病者めっ!」
「グギッ⁉︎グギギギギギィ!」ゴブリンが怒ったようだ。
そして、怒って最後の攻撃をしようとゴブリンがこちらに向かって弓を打つ瞬間、ゴブリンの頭上から俺が先程収納していた。石【中】が5個落ちていき、ゴブリンはその下敷きになった。
ゴブリンは潰れる間際に大声で叫んで死んだ。
「ギギギィーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
読んでくださった読書の皆様ありがとうございました。