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異世界日本連邦国  作者: F-3
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第5話 核ミサイルの迎撃

 


 2024.12.31 18:42JST

 日本海 能登半島沖 排他的経済水域内

 イージス駆逐艦【足柄】


 転移に向けて着々と準備が整う中、日本海では日本連邦国海軍が保有する14隻のイージスシステム搭載艦の内5隻が展開していた。

 日本連邦国海軍のイージスシステム搭載艦は【金剛型イージス駆逐艦】4隻と【愛宕型イージス駆逐艦】4隻、【高尾型ミサイル巡洋艦】4隻【大和型ミサイル重巡洋艦】2隻の計14隻である。

 日本のイージスシステム搭載艦は全てMDシステム(弾道ミサイル防衛)を搭載しており各艦1発の弾道ミサイルを迎撃出来る。


「艦長、本当に来るんでしょうか?」


「分からんな、だが領海外に絶対に出るなとあんなに何度も言われたらなぁ。なんか理由でもあるのか?」


「今のところ早期警戒衛星からの情報に異常は見られません。」


 日本連邦国は弾道ミサイル探知の為、計8基の早期警戒衛星を防衛総省所有でJAXA(日本連邦国航空宇宙研究開発機構)が運用している。

 そして早期警戒衛星がキャッチした情報はすぐさま、日本に2ヶ所ある衛星追跡センターを経由して市ヶ谷にある防衛総省から各迎撃部隊に送られる。


「そうか、しかし何発飛んでくるか分からないからなぁ。陸上でもTHAADやPAC-3などの迎撃準備を進めているが、どの程度の効果だろうなぁ。」


「そう言えば航海長の娘さん夫婦が日本に帰ってきたようですね。」


「あぁ、シンガポールに居たんだが、即時帰国命令でな。1週間ほど前に関空に着いたよ。」


 日本連邦国政府は核攻撃の前日に海外に滞在している邦人に向け即時帰国命令を発令した。

 そして民間航空会社に帰国支援するよう要請し、今月になってようやく帰国拒否した邦人を除く邦人が帰国を完了し始めた。

 ちなみに関空は関西州泉佐野市沖にある関西国際空港の略称である。


「良かったですね、学校の転校手続きも済ませたんでしょ。政府の対応も素早いですね。」


「ほんとだよ。他国では転校手続きでてんやわんやらしいからな。文部省も仕事が早い。」


「その代わり霞ヶ関の職員達は徹夜らしいですね。テレビではなんか今月の給与は先月の倍らしいですね。」


 霞ヶ関の中央省庁のここ数週間の仕事量はテレビでも最近になり特集し始め、1日中消えない明かりは日本中の知る事となった。

 そして仕事場を離れなれない職員の為に近くのコンビニの店員が大量のカップ麺や飲み物などを運んできている。

 ちなみに品物の代金は担当省庁へのツケであり、後払いである。

 販売店も中央省庁の今の仕事量と購入量を考えれば多少の融通は効く、省庁内に設置している自販機などは3時間に1回補充が来る程である。


「過労でぶっ倒れないか心配だな。付近のコンビニやスーパーではカップ麺や飲み物は完売状態らしいですね。」


「稼ぎ時だな。まぁ給与が倍になるほどの夜勤手当か、御苦労さんだな。」


「そう言えばイージス艦は全艦出撃しているけど、空母に関しては展開してないな。」


 日本連邦国海軍は基準排水量5万8000t、満載排水量6万5000tの【赤城型】航空母艦を4隻保有している。

 【赤城型】航空母艦は横須賀を母港とする第1艦隊と佐世保を母港とする第2艦隊にそれぞれ各1隻づつ配備されており、残りは演習かドックに入っている。

 【赤城型】はF-2戦闘機の艦載機版であるF-2B戦闘機又はF-3B戦闘機を32機搭載しており、その他にも2機の早期警戒機や8機のヘリコプターの計46機の艦載機を搭載している。

 しかし現在、後継機であるF-3Bの更新が進んでいる。

【赤城型】航空母艦は1番艦が2016年に、2番艦が2018年に、3番艦が2020年に、4番艦が2022年就役し、それぞれ2基の国産のリニアカタパルトを搭載している。

 ちなみに【赤城型】航空母艦の見た目は史実イギリスの【クイーン•エリザベス級】航空母艦のカタパルトバージョンである。


「まぁ、空母に弾道ミサイルの迎撃は出来ないですからね。」


「確かになぁ。ところで今の時間は?」


「1900時ジャストですね。」


 そう艦橋でテレビで見た情報を整理して話していた艦長らだが、突如CICから場の空気を張り詰める報告が来た。


 《横田司令部より緊急入電!ロシア連邦より核ミサイルが発射された。繰り返す、ロシア連邦より核ミサイルが発射された。迎撃部隊は即時迎撃に当たれ!》


「戦術行動士官、聞いたな。総員、対空戦闘用意!!」


「り、了解しました。総員対空戦闘よーい!」


 担当官がパネルのスイッチを入れると艦内の至る所に付けられている赤色灯が回り始め、スピーカーからアラーム音が鳴り響いた。


「横田本部より弾道ミサイル情報を入電。」


「計2発が発射されました。弾道予測。……札幌に1発、東京に1発向かっています。」


「やっぱりか………」


「1発づつという事は我が国に手を出すなという忠告だろうな、向こうも我が国に2発程度の迎撃なら難なくこなせる事は分かっているはずだ。」


「そうか、目標をそのままディスプレイにリークしてくれ。」


「了解。」


 そして担当官はパネルタイプのキーボードを操作して目標情報をディスプレイにだす。

 ディスプレイにでているレーダーがめの中に、目標である弾道ミサイルが表示された。

 ロシアのシベリア地方の内陸部にある1つの弾道ミサイル基地から札幌と東京の2ヶ所に赤線が伸びた。

 さっきから核ミサイルと言っているが、まだ弾頭は分からないが、間違いなくこの状況なら核弾頭であろう。


「以後、この目標をαとβと呼称。α及びβが中間段階に突入。」


「了解。データリンクフル。システムをBMDモードに。BMDT2個で目標を配分しろ。」


「了解。データリンク。目標配分。」


 今、対応可能なイージスシステム搭載艦は【金剛】【妙高】【霧島】【愛宕】【足柄】【那智】の6隻である。

 1隻につき迎撃可能なミサイルは各2発、完全を極めるなら1隻辺り1発の2隻づつで残り2隻は予備という事になる。


「【那智】がAI運用戦闘に入りました。本艦もAI支援を受けています。」


「目標配分完了。本艦目標α」


「了解。本艦目標α。前部VLS20番解放。SM-3諸元入力」


「前部VLS20番解放。SM-3発射用意」


 SM-3は弾道弾迎撃ミサイルで今も主力で使われているミサイルである。

 他にあるSM-6というのは弾道弾迎撃能力は付いておらず、付随する予定だったのだが、今回の出来事で無期限延期となったのである。

 そしてCIC内のディスプレイに表示されたVLSの内の1つの1セル分が発射可能を示す緑色に変わる。


「VLS解放確認。SM-3発射準備完了。」


「SM-3発射シーケンス。カウントダウン開始。」


「了解、SM-3発射30秒前。」


 イージス艦で迎撃出来るのは弾道ミサイルが宇宙空間に出た時のみ、まだ弾頭ミサイルは宇宙空間に入ってない為、一時待機。


「5秒前。」


「4……3……スタンバーイ…リコメンドファイヤー、てぇ!!」


 火器管制官の号令と共にイージス艦【足柄】の前部VLSから1セル分が解放され、SM-3ミサイルが発射された。

 そして周りのイージス艦からも発射され、その数4発。


「SM-3順調に飛翔中。命中まであと30秒。……29……28、」


 その間も常にイージスシステムはSM-3を目標の弾道ミサイルに誘導し続けていた。


「5……4……、スタンバーイ……、マークインターセプト!」


 そしてCIC内のディスプレイでは札幌と東京に向かう2発の弾道ミサイルと4発のSM-3がしっかりと重なった。

 そして、レーダー上から全ての6つのグリップが消えた。


「目標α及びβ、レーダーから消失!」


「「よし!」」


 弾道ミサイルの迎撃に成功した。

 そしてこの後、中華人民共和国からも大阪と名古屋に向けた核弾頭弾道ミサイルを確認した。

 しかし、それは別の迎撃艦隊である【鳥海】【摩耶】【小高】【比叡】【高雄】の6隻のイージスシステム搭載艦の迎撃艦隊が2発全て迎撃した。

 そしてその頃世界ではアメリカから400発、ロシアから300発、北中国から50発、イギリスから40発、フランスから20発の計810発の核弾道ミサイルが発射され各地域に1発も迎撃される事なく弾着していた。


 そして最初の核ミサイル攻撃から5時間後の2024年12月31日、23:59分に日本連邦国中で震度2〜3の地震が発生、1分後の2025年1月1日、00:00分、そこに日本の姿は無かった。

 今回の核戦争による死者は推定で約70億、しかし日本連邦国の死者は0であった。

 2030年になると地球上で国家としての体を成している国家は1つも無かった、核戦争に参加した国も参加しなかった国も全てが滅びた。

 そして95年後の2125年、残っていた僅かな人類も放射能やその影響で死亡した。

 そして人類は地球では完全に滅びたのである。




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