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異世界日本連邦国  作者: F-3
6/30

第3話 迎撃の準備と各国の思惑



2024.10.19 14:27JST

日本連邦国 関西州伊丹市

日本連邦国陸軍 伊丹駐屯地


 関西州伊丹市には関西を防衛する日本連邦国陸軍第3師団司令部がある駐屯地がある。

 そしてそこには現在数十両の車両が搬入されていた。


「第14高射隊、伊丹駐屯地に現着致しました!」


「御苦労、現在世界情勢は頻拍している。諸君の健闘を祈る。」


 そう言い日本連邦国陸軍第14高射隊部隊は所定の位置に部隊を展開し始めた。

 伊丹駐屯地の周りでは『ようこそ伊丹市へ、第14高射隊!』などのプラカードを掲げながらTHAADの配備を歓迎する市民団体が歓迎デモを行っていた。

 ここと同じ事が伊丹駐屯地だけではなく日本中の計8ヶ所の駐屯地でTHAADの配備が行われた。

 特に核ミサイルの弾着予想地点である札幌•東京•名古屋•大阪の4ヶ所には最終迎撃システムであるPAC-3を有する第1〜第12高射隊が集中展開した。

 そして暫くして。


「THAADの部隊展開を完了しました。これより部隊警戒を開始します。」


「了解しました。管区部隊中枢ネットワークへの接続を許可します。」


「了解しました。」


 こうして日本全国でTHAADの部隊展開が完了していった。



――――――――――――――――――



2024.10.22 20:19JST

アメリカ合衆国 首都ワシントンD.C.

ホワイトハウス 地下軍事司令センター


「ロシアと北中国の様子はどうだ?」


「現在、2024年12月31日までの休戦協定に素直に従っています。両国核弾道弾搭載原子力潜水艦は全艦基地から離れて行方は不明です。」


「また、イギリス、フランス両国の核弾道弾搭載原子力潜水艦も全艦基地から離れています。」


 当然、動かない陸上発射型基地よりも海に潜れる核弾道弾搭載型原子力潜水艦の方が生存率は極めて高くなる。

 アメリカ合衆国が保有する原子力潜水艦の稼働可能な8割の潜水艦は基地から離れて潜水している。

 日本連邦国海軍は計28隻の潜水艦を保有しているが、原子力潜水艦は1隻も保有しておらず、当然の事ながら核弾頭は1発も保有していない。


「そうか、核弾道弾の発射用意は完了しているな?馬鹿真面目に2025年に行う必要は無い。12月31日には先制攻撃を行え、分かったな?」


「はい、分かっております。まず始めに400発の核弾道弾をロシア、北中国の両国家の主要都市及び軍事基地に撃ち込みます。」


「そうか、分かった。ところで欧州や南中国、日本の動きはどうだ?」


「欧州や南中国、日本は中立を宣言しています。欧州諸国、南中国は資源の備蓄などしか動きがありませんが、日本は主要都市にTHAADやPAC-3を展開、資源の備蓄を強化しています。」


世界中の国が資源や食料の備蓄を強化しているが、日本のは特に群を抜いて多かった。

 その情報がCIAの目に留まりここまで上がってきたのだろう。


「そうか、日本にも攻撃は行われるだろう。数発ならともかく数十発の核弾道弾は防げない。」


「そうですね、迎撃は現実的では有りません。」


「日本にも確か核シェルターって無かったか?」


「収容人数は200万人だけです。効果は薄いかと、まぁ、殆ど無い我が国よりマシですが。」


 アメリカは核シェルターは各個人に任せ、国としては重要人物保護と政府の存在の為しか核シェルターを建設していない。

 それも東西冷戦時の弾道ミサイル発射サイロを改造した物である。

ちなみに北中国は400万人の収容が可能である。


「そうか、インドの動きはどうだ?」


「インドは中立を宣言していますが、中国とインドは敵対しています。間違いなく此方側に着くかと。」


「そうか、いつ中露が撃ってくるか分からん、常に反撃の準備をしておけ、躊躇はするなよ?」


「分かりました、大統領。」



――――――――――――――――――



同時刻

ロシア連邦共和国 首都モスクワ

クレムリン 地下軍事司令室


「どうだ?状況は。」


「特に何も変わりません。強いて言うなら日本が食料•資源の備蓄を強化し、主要都市にTHAADやPAC-3を配備しています。」


「日本だと?日本に米軍は居なかったよな?」


 日本の米軍は1975年に全て撤退しており、新日米安全保障条約に防衛義務は無い。


「はい、数十年前に撤退しています。ちなみに日本は中立を宣言しています。」


「なるほど、まぁオホーツク海紛争の恨みがあるがまぁ、良いだろう。とりあえず札幌と東京に各1発ずつ核弾頭弾を撃ち込め、」


「核弾頭弾を1発ずつですか?恐らく迎撃されるかと。」


「構わん、我が国に手を出すなよ、という忠告で構わん、北中国も大阪と名古屋に撃ち込むみたいだからな。」


「そうですか、ちなみにまだ日本との天然ガスのパイプラインは繋がっています。資源備蓄で常にフルパワーで日本に送り続けています。2ヶ月で大体15億ドル規模かと。」


 ロシアの樺太経由で北海道の天然ガス備蓄基地までパイプラインが通っている。

 平時は月4億ドル規模なので平時の約2倍ほどの取引量である。


「そんなにか?まぁ買ってくれるならそれで構わん。ではこの後、北中国の首席と電話会談があるのでな、デフコンレベルは常にレッドだ、いいな。」


「ええ、了解しました。」



――――――――――――――――――



同時刻

??? ???


「やはり、貴方達は分かって無いのね。残念だわ。」


 真っ白で統一された空間に一人の女性がテレビみたいなのを見ながら残念そうに呟いた。

 そのテレビにはアメリカやロシアなどの会議の様子が映っていた。

 そしてそのテレビを見ていた女性は数日前に日本の国家安全保障会議に参加していた女神レミアスであった。


「やはり、そうなのね。残念だわ。」


「やっと来たわね?名残惜しいでしょ?」


 そう言いまた別の女神がいきなり現れた。

 しかしレミアスは別段驚く事なく、テレビを見ながらその女神と話を続けた。


「ええ、そうね。私が管理していた世界が滅びるのですもの。ただ日本は私の担当では有りませんしね。」


「そう、まぁ人類は滅びても地球は生き残るからよろしく。」


「確か7万年くらい前だったわよね?貴方がいきなり日本の管理をさせてくれって言ってきたの。まさか世界神様が了承するとは思わなかったわ。もしかして貴方、今回の事を予知していたの?」


 女神は限定的な予知能力がある、だが数十年後の事などは無理で精々数ヶ月、数年である。


「まさか、私はただ単に面白い国家があるなぁと思って言ったんだよ。この星には珍しく精霊が居ないのにね。」


「ええ、そうね。精霊が居ない世界も珍しいわ。いつ頃から気にかけていたの?日本の事。」


「大体2000年くらい前かな?ほんとは私の世界に連れてくる気じゃなかったんだけどねぇ。まぁ核戦争で自滅、珍しくは無いわね。」


 どうやら核戦争で滅びる文明はそう珍しくないそうである。

 もう既にワシントンD.C.とモスクワに各1発ずつ核弾頭が撃ち込まれ400万人以上の人が亡くなっている。


「貴方の星の所の前の文明はなんで滅びたんだっけ?」


「え〜と、確か精霊の怒りを買って滅ぼされてたね。」


「この世界にも精霊がいたならもうとっくに滅ぼされてたかしらね。でも精霊も迷ったでしょうね、こんなにはっきり自然を大切にする国としない国が分かれているなんて。」


「中途半端な国もあるからね、もうそろそろ行かなくては。また情報を教えないと。」


「あら、今度は何の情報を教えるの?」


「原子力発電所の核燃料などの日本にある全てのウラン•プルトニウムなどを消すって事、他にも転移先の情報をね。」


 日本には4ヶ所全8基の原子力発電所が建設されているが、チェルノブイリやスリーマイル島の原子力発電所事故などの影響により原子力規制委員会再稼働の認可が降りず、全て廃炉が決まっている。

 しかし中の燃料棒などはまだ取り出しておらず、使用済み核燃料もまだ貯蔵されたままである。


「あまり教えすぎないようにね、情報量が多いと余計困惑するわ。」


「言われなくても分かっているよ。()()()。」


「知的生命体が居ない星の管理か、楽そうだね。」


 女神レミアスはその言葉を聞くと、「そう。」と言い光の粒子となって消えていった。

 残された地球神は「はぁ〜、全くレミアス先輩は気楽ですねぇ。」と言い熱いお茶をすすりながらテレビを見始めた。



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