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異世界日本連邦国  作者: F-3
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第2話 国家安全保障会議



2024.10.17 19:25JST

日本連邦国 首都東京都千代田区

総理官邸 地下会議室


 現在世界は核戦争の危機にある。

 その為、この国家安全保障会議参加者達の顔色も悪い。

 この会議に参加しているのは内閣総理大臣を始め副総理や官房長官、そして各担当省庁の大臣などである。

 しかしその皆がスーツで決めている場所に明らか場違いな女性がいた。

 その女性は190cmを超える身長と銀色の長い髪の毛、モデル体系で皆がスーツを着ていたが、この女性だけはパラオを着ていた。


「では、これより国家安全保障会議を始める。まず最初に皆が気になっていると思うこの女性だが、この女性に関しては後で説明する。とりあえずは気にせずに会議を進めて行こうと思う。官房長官、現在の国際社会の説明を。」


「え?あ、はい。現在アメリカ、イギリス、フランスを始めとするNATO、北大西洋条約機構とロシア、中華人民共和国のWTOらワルシャワ条約機構が対立しており、両陣営共デフコンレベルはレッドです。我が国を含めてNATO及びWTOに加盟していない国家は中立を宣言、世界各国が自国民の帰国命令を出しています。

現在他国に居る我が国民460万人のうち、外務省と連絡が取れた人は全員専用機を使用し、日本に帰国、125万人ほどが様々な理由により帰国を拒否し、日本国籍を放棄しました。」


 官房長官が現在の世界情勢を簡潔に述べた後、外務省からの情報を伝える。


「なるほど、次に防衛大臣。」


「はい、現在、我が国が保有しているイージスシステム搭載艦12隻は日本全土をカバーできる位置についておりまた、THAAD8基やPAC-3 24基が日本全国の基地や駐屯地に配備されています。十数発の弾道ミサイルなら迎撃は可能です。」


 日本連邦国海軍は12隻のイージスシステム搭載艦を保有しており、その全てに弾道ミサイルの迎撃システムが搭載されている。

 THAAD(週末高高度防衛システム)は2024年3月に配備したばかりの最新鋭の迎撃システムであり、現在釧路•松島•浜松•伊丹•春日•那覇•台北•高尾の8ヶ所に配備されている。

 またPAC-3は最終段階の迎撃システムであり1高射群2基の12高射群が全国12ヶ所に配備されている。


「何発飛んでくるか、分からないか。」


「JIAの調査によると、中華人民共和国の核弾道弾のうち日本を射程に入れているのは8発、ロシア連邦は19発です。またアメリカは2発を日本に入れていました。フランスとイギリスは皆無です。また他にも潜水艦発射型や移動発射型は不明です。」


 JIAは日本連邦国中央情報局の略であり、日本連邦国が誇る諜報機関である。

 JIAは情報庁の傘下にあり、情報庁は防衛総省の傘下にある。


「間違いなく、撃ってくるな。保安省、核シェルターの準備は?」


 保安省は日本連邦国の治安維持を担っている省庁であり、また核シェルターの維持•管理も行なっている。


「冷戦時に建設された核シェルターがありますが収容人数は200万人程度で、とても全国民を収容するのは不可能です。また不測の事態に備え、政府を立川広域防災拠点に移す必要があるかと思われます。」


 冷戦時、日本は莫大な公的予算を使い、日本全国に核シェルターの建設を進めてきた。

 計画では1500万人の収容が可能となる予定だったが、冷戦の終結により核シェルターは必要無いとされ、200万人分しか完成しなかったのである。

 しかしその後も不測の事態に備え、維持•管理はしてきたのである。

 立川広域防災拠点は東京都立川市に史実でもある、霞ヶ関がなんらかの被害を受けた時に機能を移す事が可能な施設である。

 ここなら核シェルターもあり、軍との連携も可能であり、また不測の事態にも対応可能である。


「なるほど、分かった。それでは次の話に入る前にこの女性を紹介しよう。最初に断っておくが今から話す事は緘口令を敷く。この事態が終わっても解く事はない。墓場まで持っていけ。」


 総理がそう言い会議参加者の顔を見ていくが誰も異論を唱えない。

 そんな奴は国の重要な事を決める国家安全保障会議などに参加していない。

 そして皆の顔を見終わると総理はその女性に向かって「お願いします。」と言い説明をお願いした。

 そしてお願いされた女性は「分かったわ。」と言い席を立った。


「初めまして日本の皆さん。私の名前はレミアス。日本と別の惑星を管理しています女神です。どうぞよろしくお願いします。」


「め、女神だと。」


「う、嘘だろ!?」


 女神だと紹介され、何名かはあり得ないと首を捻ったが、殆どの会議参加者はすぐ様女神だと言う事を信じた。

 じゃないとこんな重要な時期に重要な会議にこんなふざけた格好をしている人を入れる訳がない。

 さらに彼等は直感で彼女が人間ではないと見抜いたのである。


「信じるかどうかは皆様で御判断なさってください。私は長く地上にはいられないので簡単に説明します。2025年から始まる核戦争により人類は滅亡します。誰一人として生き残る事は有りません。」


「………やはりか。」


「そうか………」


 皆、ニュースや専門家の試算で核戦争発生後、高い確率で人類又は文明が滅びる事は明らかであった。

 しかしアメリカやロシア政府の頭にあるのは敵国の兵器や施設をいかにして破壊するかであった。


「残念ですが、そうなります。そこで皆様に御提案があります。私が管理するもう一つの惑星に日本を転移させます。」


「なんだと?日本を。」


「異世界転移……」


「ライトノベル………」


 異世界転移と言う事に会議参加者達は驚いていたが、一部の人達は全く驚かずに逆に少し興奮していた。


「はい、まずその異世界転移を承認するか決めてください。もちろん拒否なさっても構いません。この人類と一緒に滅びるのも選択肢の一つです。」


「………異世界に転移する事を日本連邦国総理大臣としてお願いします。」


 総理は皆を見渡し、女神レミアスにそうお願いした。

 日本に核戦争では滅びる選択肢など選ぶはずがないのは国民投票をしなくてます明らかだった。


「はい、分かりました。先程にも話したように私はあまり長くこの世界には居れません。次は1週間後にまた来ます。そしてその前に伝えておく事があります。日本が転移するのは2024年12月31日午前0時です。転移するのは日本連邦国が領有するすべての領土•領海です。そして2024年12月31日にロシアから札幌•東京、中華人民共和国から名古屋•大阪に向かって計4発の核弾道弾が発射されるので上手く迎撃してください。では次は1週間後にまた会いましょう。」


 そう言い残すと女神レミアスはすうっと光の粒子となって消えていった。

 しばらく会議参加者達は呆然としていたがハッと気付き異世界転移を前提とした対策会議を始めた。


「防衛大臣、聞いたな?」


「はい、札幌•東京•名古屋•大阪を中心に弾道ミサイル防衛計画を見直します。また転移までにすべての艦船及び航空機を日本領土及び領海に入れておきます。」


「よし、農林水産省は分かってるな?」


「はい、現在の食料自給率は68%、2年分の食料は備蓄しており、それまでに100%にする事は理論的に可能です。問題は資源ですが。」


 日本連邦国の食料自給率は北海道や台湾の事もあり2024年現在、68%である。

米に関しては120%で有り、とりあえず餓死者が出る事は防げそうである。


「国土交通省は?どうだ。」


「はい、石炭に関しては問題有りません。石油などに関しては500日分の35億バレルの備蓄があり、その他資源に関しても1年から4年ほどの備蓄があります。」


 日本の1年の石油使用量は20億バレルで有り、日本連邦国全土の石油備蓄基地に1年半分の35億バレルが備蓄されているのである。

 ちなみに容量は40億バレルで有り、2ヶ月で全て満杯になる予定である。


「なるほど、財務省は。」


「はい、分かっております。今日から不眠不休で作業に当たります。野党にも話を付けておくのをお願いします。国会には通さずに臨時予算案を立案します。」


 国会を通さない予算など法治国家としては有り得ないが、事態はそんなに生易しくない。

 野党も今回に関しては祖国一致内閣として協力を約束してくれた。


「では、皆。次は1週間後だ、日本の為にしっかりとそれぞれの役割を果たしてくれる事を期待している。他国の身勝手で日本が滅ぶわけにはいかん。以上!」


 総理の言葉に会議参加者達は返事をせずに頷き皆が各担当省庁へと戻っていった。

 それから2ヶ月間、各省庁がある霞ヶ関では明かりのついてない部屋はないと言われるくらいに常に職員が不眠不休で24時間働いていた。

 噂ではこの2ヶ月間の月給は手当などで通常の2倍ほどであったそうだ。




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