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異世界日本連邦国  作者: F-3
28/30

第25話 派遣部隊

 


 統一歴1819.6.2 10:35 現地時刻

 南フォロナ大陸 西部

 テスタ王国 王都郊外 テスタ空港


 ひたすら広がる草原地帯にあるテスタ王国は大陸の西部に位置し、裕福とまではいかないが、豊富な食料生産と、その食料を他国に輸出する事により、他国よりは高い生活水準を維持していた。

 3年前に突如として現れた日本連邦国とは有効的に国交を結び、その日本の資本により発電所などのインフラ整備を行いここ3年で今までに無いような発展を遂げた。

 そして2年前に工事を開始したのがテスタ空港である。

 この大陸とは比べ物にならない程の高度な生活水準の日本の観光客が大量のお金を落としてくれるのである、このテスタ空港の完成は国としてまたにまった瞬間であった。

 しかしその瞬間が訪れる前に国家存続の危機が訪れた。

 30年程前に転移していたリフェル帝国が南フォロナ大陸に侵攻を開始、友好国であり、テスタ王国より遥かに巨大なステアート帝国を驚くべき速さで占領したのである。

 リフェル帝国軍はステアート帝国の統治を優先した為、ここ1ヶ月は何も動きが無かったが、テスタ王国国民は不安な日々を過ごしていた。

 しかし、意外にもテスタ王国から逃げ出す国民は殆ど居なかった、その理由は1週間程前から完成したばかりのテスタ空港に飛来するこれまで見た事の無い巨大な航空機のせいであった。


「これが日本の航空機か、恐ろしく大きいな。」


 テスタ空港に建設されているハンガー内でそこに駐機されている航空機を見てそう言ったのはテスタ王国国王であるアルベスト•フォン•テスタ国王である。

 本来なら軍事に関する為、他国の人には見せないのだが、一応この場所はテスタ王国であり更に日本の軍事力を見せつけて安心させようと言う上層部の狙いもあった。


「ようこそいらっしゃいました国王陛下。」


「おぉ、ツワブキ司令。この航空機はどのくらいの距離を飛べるのだ?日本の方向に位置する空港はかなり離れていると思っていたが。」


 そう国王が問いかけたのは日本連邦国空軍所属のテスタ王国派遣部隊司令官である津和吹一等空佐であった。

 このテスタ空港には輸送機や戦闘機だけでは無く多用途ヘリコプターなどの機体も飛来し、フィラント空港と同じように重要な航空支援基地となっていた。

 一応民間空港だが、開港前の為、民間人は1人も居らず、管制官も整備士も日本連邦国軍所属の軍人である。


「この航空機の名前はC-3輸送機と言いまして。詳しい性能は軍事機密ですが、5000km程は優に飛行できるとお考え下さい。」


 C-3輸送機はC-2輸送機の後継として開発された日本連邦国空軍の輸送機である。

 アメリカ空軍のC-17輸送機をベースに開発された為、かなり大型の機体となっており、最大50tまで貨物を搭載し、4500kmの航続距離を有している為、10式戦車を空輸する事も可能である。


「5000km、貴国は我が国とは比べ物にならない程の高度な技術をお持ちのようだな。ところで輸送機と言ったが何を運んでいるのだ?」


「その事に関しましてはあちらをご覧下さい。」


 そう言い津和吹一等空佐が指差した先には別のC-3輸送機のカーゴドアが開き中からF-3戦闘機の最新鋭単座型バージョンのF-3Eが4機降ろされる所であった。

 当然ながらそのままだと幾ら小型のF-3Eといえ輸送機にはそのまま搭載出来ない為、翼などは取り外し4機搭載している。


「あ、あれは戦闘機か?しや、しかし我が国の戦闘機とはかなり形が違うようだな。」


「あの戦闘機はF-3E戦闘攻撃機と言いまして前線部隊の航空支援の為の戦闘機です。形が違うのは飛行機関が違うのが理由です。」


 F-3E戦闘機はF-3戦闘機の近代化改修バージョンであり、攻撃装備や電子装備などを強化している。

 誘導弾搭載部品を増設して、攻撃力を強化したり、コンフォーマル・フェーエル•タンクへの対応により航続距離が延びている。


「前線部隊まではかなり離れていたと記憶しているが、貴国の事だ、問題ないのであろう。しかし、これが空港か、日本の空港や空軍基地は皆こうなのか?」


「地方空港だとこのような感じでしょう。都市部の空港ともなりますと、滑走路が数本ありますので、もっと大きいですが。」


 北海道州では千歳国際空港が3本、関東州だと羽田国際空港が4本、成田国際空港が3本で、関西州だと関西国際空港が3本、琉球州だと那覇国際空港が2本、台湾州だと台北国際空港が2本、高雄国際空港が3本と複数滑走路の空港は大都市だと存在する。


「滑走路が数本か、とんでもない国だな。」


「失礼します。津和吹司令!第1外征師団が駅に到着されました!」


 応援部隊である第1外征師団が到着した事により、テスタ王国駐留部隊の最高指揮官でもある津和吹一等空佐は迎えに行かなければならなかった。


「おっ?やっとか。では、私はここで失礼します陛下。」


「あぁ、済まなかったな。」





 約1時間後

 同国 王都郊外

 第4南フォロナ大陸横断鉄道 テスタ王国貨物駅


 南フォロナ大陸では計8本の大陸横断鉄道が大陸を横断するように通っている。

 今回の事態は部隊を東部から西部に送る為、東海から西部に走っている5本の鉄道のうち1つがこの第4大陸横断鉄道なのである。

 第4大陸横断鉄道は東部のアーセナル共和国からこのテスタ王国までの総距離8400kmを誇る。

 そしてこの終着点でもあるテスタ王国貨物駅には8本ある線路のうち4本に貨物車が到着していた。


「ご苦労様でした遠田師団長。」


「これは津和吹司令官殿、第1外征師団第1普通科連隊及び第2戦車連隊ただ今到着致しました。」


 日本連邦国陸軍に2つある外征師団は3個普通科連隊、2個戦車連隊、1個特科中隊を基幹する師団であり、その定員は1万4400名に登る。

 そして第1陣は1個普通科連隊1800名と1個戦車連隊の戦車72両が日本製の水素牽引車に引かれ到着した。

 ちなみに第5師団及び第7師団の戦車は90式戦車だが、その他の戦車部隊や外征師団などは10式戦車である。


「ご苦労様。他の部隊も数日のうちに到着するみたいだね。装備などを含めてテスタ空港に運び入れたらいい。」


「はい、分かりました。では、私はこれで。」


 テスタ空港は現在空港全域が日本連邦国軍の管轄下にある。

 その為、小銃を持った隊員が警戒に当たっており、武器弾薬などを置くには最適な場所である。

 ちなみに地上部隊は鉄道だけでは無く輸送機に搭乗して送り込んでいる。


「フィラント王国には第2外征師団が?」


「ええ、そうですね。あっちは河川の沿岸国ですので、輸送船なども使用し、既に1個普通科連隊と2個戦車連隊、1個特科中隊の配備が完了しています。」


 フィラント王国はテスタ王国とは違い大陸を分断する大河に面した国であり、沿岸国である。

 その為、船による輸送が可能であり、現に第1外征師団と同じ編成の第2外征師団は船で輸送艦が着岸できるアーセナル共和国から小型の輸送艇に移し替えフィラント王国まで輸送した。


「はぁ、700kmしか離れてないんだから向こうから送りこめないか?」


「テスタ王国とフィラント王国の間には山地が有りますからね。大きく迂回する事になるかと。輸送機とヘリコプターの場合は別ですが。あと言っておきますけど700kmって結構な距離ですよ?」


 700kmと言えばかなりの距離があるが日本連邦国陸軍の保有するMV-22J輸送ヘリコプターなら3000km程の航続距離を有し、簡単に移送可能であろう。

 当然ながら戦車などの重量物などは無理だが、兵員や武器弾薬などは可能である。


「まともに道も無いからな。」


「はい。」


 当然ながら、どのような山間部でもトンネルを掘りアスファルトの道路がある日本とは違いまともに整備していない道も数多く、橋があったとしても車両の重さに耐えられる橋が果たしていくつあるか分からない。

 そんな道を戦車などの車両が通るのは非常にリスクのある行為だ。


「輸送機で何を運んでるんだ?車両は鉄道で運ぶんだろ?」


 そう部下に聞きながら今まさに真上を飛行しているC-3輸送機を見る。


「主に弾薬ですね。あと特科中隊の155mm自走榴弾砲などです。」


「あれか、それならFH70の方が数多く輸送出来るだろう。」


 FH70は155mm榴弾砲の略であり、155mm榴弾砲を車両に載っけて機動力を確保したのが155mm自走榴弾砲である。

 155mm自走榴弾砲はスウェーデンのアーチャー自走砲を参考にした装備であり、アーチャー自走砲と同じく砲塔は完全無人化されており操作は全てキャビンから行える。

 またGPS榴弾を用いた射撃も可能であり遠距離からの精密射撃が可能となっている為、全て手動で行うFH70より遥かに優れた装備である。


「上層部曰く、今回は機動力が必要なので、FH70だと性能不足だそうです。」


 FH70にも一応自走装置は搭載されているが、時速16km/hほどでありとてもじゃないが、155mm自走榴弾砲の自走70km/hには敵わない。


「と言うわりにはそれなりに運び込んで無いか?」


「輸送しやすい為、数が揃いますし、何より最初の方は防戦ですから。」


 155mm自走榴弾砲は車両である為、C-3輸送機には最大1両しか積載出来ないのである。

 しかしFH70なら5門は積載でき、更に敵は第二次大戦レベルの技術力の為、FH70でも十分問題無いと判断されたのである。


「さてさて、どうなる事やら。」






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