第17話 振興国家ニホン
「では、次に振興国家ニホンについてだ。情報少将、報告を。」
「はい、了解しました。振興国家ニホン、正式名称はニホン連邦国と言うそうです。」
「ニホン連邦国?連邦制国家か。」
「そのようです。ニホンの軍事基礎情報は意外にも直ぐに集まりました。陸軍、海軍、空軍の三軍編成で、その総兵力は40万程度です。」
日本連邦国軍は完全志願制で兵力は2027年現在現在約42万人である。
その内訳は陸軍27万、海軍8.5万、空軍6.5万、でありこの程度は日本国内にある書店やネットで調べたら直ぐに分かる事である。
リフェル帝国軍は陸軍と海軍と空軍の三軍制であり、空軍は15年前に陸軍航空隊から分離して出来た比較的新しい軍隊である。
リフェル帝国は科学技術レベルは日本と比べて、大した事無いが主力戦闘機は初期型ジェット戦闘機レベルの性能はある。
しかし一部部隊には第2世代型ジェット機も保有しており、当然今回の作成では投入するつもりである。
「なに!?航空機があるのか?」
「そのような報告が上がってきています。が、しかし我が情報部の調査により科学技術は低いとみられますので我が軍のジェット戦闘機の敵では無いと。」
リフェル帝国軍の主力戦闘機は地球時代の初期型ジェット戦闘機である。
基本的にリフェル帝国の科学技術力は地球時代の1950年代レベルはある為初期型ミサイルなどの技術も保有している。
当然の事ながら性能は最新鋭のジェット戦闘機とは比べるまででも無い。
「なるほど、他には。」
「全体的にニホンという国は傍聴が高いのか情報が非常に少ないです。」
他にも情報部の元には「軍事力が極めて高い」などの情報があったが、上層部は有り得ないとこの場に出さなかったのである。
「まぁ、仕方がない。続けてくれ。」
「はい。ニホン連邦国は連邦制国家らしく9つの州と2つの特別区に分かれています。人口は約1億5000万人で、周りを海に囲まれた海洋国家で陸軍より海軍に力を入れています。」
実際の日本連邦国の人口は1億5100万人であり、南フォロナ大陸諸国も数百万人〜数千万人程の人口なのである。
「なに?蛮族が1億5000万人もいるわけ無いだろ?我が国でさえ6000万人なんだから、我が国より上の振興国家がある訳がない。」
リフェル帝国の人口は5800万人である。
しかしこの人口はリフェル帝国が征服したフォード大陸諸国家の人口は含まれておらず、彼等は奴隷なのである。
フォード大陸全てを合わせると2億ほどになる。
フォード大陸はオーストリア大陸の約1.5倍と広いのである。
「失礼しました。」
「しかし海軍国家か、戦艦の類は保有しているのか?それとも他の蛮族国家みたいに装甲艦なのか?」
「それについてはこの写真をご覧ください。」
「こ、これは………」
そこに写っていたのは単独で航行中の汎用駆逐艦【むらさめ】であった。
【むらさめ】は現在の最新型汎用駆逐艦【あきづき型】の前級である【むらさめ型】の1番艦である。
排水量4500t級の駆逐艦であり、76mm速射砲などの兵装を搭載しており現在、全8隻が配備されている。
「大きいな。マストもデカイ。これは間違いなく駆逐艦だな。」
「しかし兵装が少ないな。これは何mmだ?」
「情報によると76mmで、大きい物でも127mmだそうです。ニホンはこの艦艇を30〜50隻程度保有しています。」
「う〜む、流石に海洋国家なだけあるな。我が海軍の2個艦隊規模か……」
リフェル帝国海軍は20数隻で1個艦隊を編成しており、その内訳は戦艦2隻、空母1隻、巡洋艦•駆逐艦16隻、補給艦1隻である。
これに輸送艦やその他艦艇が付随して艦隊を形成していた。
「はい、しかし76mm砲や127mm砲では海軍の15cm砲や20cm砲、果ては35cm砲には勝てないのでは?見る限りニホンの艦艇は装甲がないようにも見えるぞ?見たところミサイル発射機も見当たらない。」
日本連邦国海軍の艦艇に搭載されている砲塔は76mm砲と127mm砲と155mm砲があるが、主に対空•対地•対艦などの幅広い用途がある。
更にFCSによりほぼ100%の命中精度を誇り射程もレールガンの場合300kmを超える。
リフェル帝国は海軍レベルは1900年代中盤であり、弩級戦艦レベルの為、戦艦といっても1万tや2万t級などの艦艇が多い。
その為、最大速力も十数kt程度であり、日本の30〜40ktの半分以下である。
彼らが知っているミサイルとはロシア艦艇に搭載されているようなデカイ筒に入れる物で有りVLSなどは知らない。
「まぁ、そうだが。他の蛮族国家が装甲艦でニホンが戦艦か。海軍の主力艦隊はニホンに送った方が良さそうだな。」
「はい、上層部としてもそう進言します。」
実際には日本の艦艇はレールガンという進化した艦砲を使用して攻撃するのだが【むらさめ】にはレールガンは搭載していなかった。
日本側からすれば弩級戦艦などたいして防御力しかない、ちんたらしたデカイ的であった。
「なるほど、分かった。他の情報を教えてくれ。」
「はい、ニホンは単一民族国家で、精霊や獣人、エルフなどを認めている蛮族国家です。」
「なに!?精霊を認めている?女神リフェル様の教えに背いているのか!?」
リフェル教の教えでは精霊は女神リフェルに敵対する邪悪な存在と教えられており精霊を敵対する理由ともなっている。
そもそも女神リフェルなどおらず精霊は女神の使徒であり真逆なのであるが。
「落ち着け、話が進まん。」
「はい、では続けます。我が国が南フォロナ大陸を侵攻するのならニホンが前線基地に最適かと思われます。幸いにもニホンは国土の割に兵力が少ない国家ですので、まずニホンを侵攻して占領するのがよろしいかと。情報によるとニホンは魔石が豊富そうですので。」
「なるほど、情報部の言う事も一理あるな。軍部、どうだ?」
「情報部の考えに同意します。ニホン侵攻計画も一応立案しておきます。」
「ニホン侵攻計画はまずニホンの南部にあるタイワン島に上陸、その後オキナワ、キュウシュウに上陸し、その後ニホンの首都であるトウキョウを占領し、ニホンの王族を一族諸共処刑して植民地省が統治にあたります。」
フォード大陸は地球で言うオーストリア程の位置関係であり、その距離は最狭でも3000km以上である。
ちなみにフォード大陸と日本の距離は一番フォード大陸に近い台湾からでは4000kmほどである。
しかし地球では存在していたやフィリピンやインドネシアなどの島々や半島が無い為、航行しやすいといえばしやすい。
最も地球より少ないと言うだけで無いわけでは無いのだが。
「今回はニホンは海軍に力を入れている為、私達海軍と陸軍の合同作戦になります。」
「うむ、では南フォロナ大陸侵攻計画の履行を許可する。まずはニホンだ。ニホンを我が帝国の領土とし、女神リフェル様の素晴らしさを蛮族に教えてやるのだ!これは女神リフェル様の為の聖戦である!」
「「了解しました。我等が女神リフェル様の名の下に!」」
皆がそう言い会議は終了した。
その後リフェル帝国議会へニホン侵攻計画を含む南フォロナ大陸侵攻計画が賛成多数で承認された。
ちなみにスフィアは反対の立場であり、出席議員276名の内賛成は224名であり残り52名は反対又は棄権したのである。
そしてスフィアはこの時からニホンを気にし始めるのである。
彼女はどうしてもあんな技術力を持ったニホンが振興国家とは思えなかったのである。
彼女はあの汎用駆逐艦【むらさめ】がかなり近代的•未来的に見えたのである。
(ニホン、もしかしたらこの戦争リフェル帝国はニホンに負けるかもしれないわね。そうしたらニホンに亡命しましょう。)
スフィアは議会後の帰りの車でそう考えていた。
彼女は不確定な憶測ながらこの時既に日本が勝つ事を確信していた。
それは彼女が魔眼持ちである事も大きく影響していた。
彼女の瞳は両方とも碧色であり、魔眼は普通オッドアイなのだが、彼女は同じであった為、周囲に気付かれず彼女自身も気づいていなかった。
魔眼には嘘を看破する魔眼や擬態などを看破する魔眼などがあるが、彼女スフィアの魔眼は最もレア度が高い魔眼未来予知であったのだ。




