表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界日本連邦国  作者: F-3
19/30

第16話 リフェル帝国



帝暦1827.2.15 14:27RST

リフェル帝国 帝都リフェリア

政府官邸 会議室


 日本連邦国がやっとこの世界ミストテリアスに慣れ、この世界で発展していった頃、フォード大陸覇者のリフェル共和国では、第103代大統領のノムス•アス•リフェルが高齢の為に死去、息子のクライシス•アス•リフェルが大統領についた。

 リフェル共和国は共和制を採用しているとはいえ、元々国のトップは王族であり、議員と同じく世襲制の国家である。

 そして代わって大統領についたクライシス•アス•リフェルは共和制から帝政へ移行する事を宣言したのだ、よってリフェル共和国はリフェル帝国となったのである。

 リフェル帝国の帝都リフェリアには帝都内に3ヶ所ある高さ100mほどの石造りの塔から空に向かい光が伸びていた。

 そしてそのリフェル帝国の帝都であるリフェリアにある大統領官邸……日本で言う総理官邸にある帝都リフェリアを見渡せる会議室では16名の参加者による会議が行われていた。


「では、会議を開こう。今日は近く行われる予定のフォロナ大陸侵攻に関する計画とニホンと呼ばれる新興国家についてだ。」


 そう言ったのは30代ほどの男性であり、ヨーロッパ系の顔で金髪の男のであった。

 この人こそがリフェル帝国第104代皇帝クライシス•アス•リフェル本人である。


「では、私から説明させていただきます。軍部は南フォロナ大陸に放った密偵からの情報を得て南フォロナ大陸圏国家は総じて科学技術力が低い事を掴みました。銃の性能も我が軍が使用しているのよりも低く、海軍艦艇も全時代的な装甲艦を使用しており、戦艦はもちろん最新のミサイルを搭載している艦艇は1隻もありません。」


「なに!ミサイルならまだしも戦艦が1隻もない?ははは、こりゃあ傑作だな!」


 一人の会議参加者が手を叩き笑い始めた。

 リフェル帝国にとって戦艦とは海戦で無くてはならない重要な兵器である。

 それが一隻もないという事はフォロナ大陸諸国海軍はリフェル帝国海軍に痛手を負わせられずに負ける事を意味していた。


「ふふふ、ミル、今は会議中だ。興奮するのは分かるが、今は落ち着け。」


「おっと、すみません皇帝陛下。」


「まぁ、気持ちは分かるがな。では続けよう。フォロナ大陸は大河を挟んで南フォロナ大陸と北フォロナ大陸に分かれているが、そもそもフォロナ大陸自体、このフォード大陸より遥かに大きい……まぁ、だいたい3倍ほどだ。そう簡単にはいかないだろう。」


 フォード大陸がオーストリア大陸とほぼ同じ大きさだが、フォロナ大陸自体フォード大陸の約2.5倍ほどの大きさがあり、北より大きい南フォロナ大陸だけでフォード大陸より大きかったのである。


「むぅぅ、3倍か、確かに厳しいな。まず南フォロナ大陸を全力で占領してその後、北フォロナを侵攻するか……」


「あぁ、軍もそういう考えだ。さらに現在北フォロナ大陸は北フォロナ大陸全土を支配していた帝国が崩壊して内戦状態だ、簡単に支配出来るだろう。南フォロナ大陸は肥沃な土地だ。税収も望めるだろう。」


 現在も征服したフォード大陸諸国家を厳しい支配を敷いており、その為、リフェル帝国内での税金は格段に安いのである。

 その為、確かに兵役に取られるが税金が安い事により国民は政府を支持しており、反乱などが起きないのである。


「ふむ、奴隷も相当手に入りそうですな。しかし問題は距離ですな。」


「そう、フォード大陸とフォロナ大陸とは3000kmほどの距離がある。それがネックだったのだが、この5年間輸送船の建造に力を入れて、ようやく部隊を輸送出来るだけの数の輸送船を建造できました。」


 彼等が言う輸送船は兵士をとにかく詰め込んだ4000tほどの輸送船である。

 小さく居住性の悪い船に3000人程の兵隊を詰め込み3日かけてフォロナ大陸を目指すのである。

 快適性は無視したとりあえず輸送するだけの船であった。


「おぉ、ようやくか!ところで南フォロナ大陸侵攻作戦にはどれだけの兵力を出すつもりなんだ?」


「確かに、植民地の維持にも兵力は要りますしな。最低でも5個師団、本国の守りも合わせて20個師団は最低でも残してもらわんと。」


 リフェル共和国時代陸軍戦力は1個師団1万5000名の計30個師団の計45万であった。

 しかしリフェル帝国になり軍拡を始め1個師団1万5000名の計40個師団の60万に大幅増員したのである。

 もちろん、これはフォロナ大陸侵攻を見据えた軍拡であり、共和制から帝政になり軍事費は約2倍ほどに増加している。


「ええ、その通りです。本土の防衛と植民地の維持にも20個師団、それ以外の20個師団は全て南フォロナ大陸征服に使用します。」


「軍務卿、20個師団あれば問題無いのかね?」


「はい、フォード大陸には現在敵勢力は地下に潜っている反乱組織のみです。12個師団で充分対処可能です。しかしいつなんどきまだ判明していない大陸から攻められないとも限りません。その為の8個師団なのです。そもそも20個師団あれば蛮族には十分すぎるかと。」


 当然、征服したフォード大陸諸国家の中には反フォロナ組織があるが、地下に潜っており、その摘発はフォロナ帝国でも難を極めていた。

 しかし一定数の兵力が居れば反乱を起こされる事は無く、もし起こされたとしても難なく鎮圧出来る。


「なるほど、念には念の入れよう。よく分かった。今度の議会に出そう。議員達も間違いなく承認するだろう。」


「はい、お任せ下さい。」


(なにが議会よ!また略奪が始まるのでしょうね。国民の事を全く考えない議員しか居ない議会なら間違いなく承認するわ。)


 そう思い、会議を冷ややかな目で見ていたのはリフェル帝国の議員の一人であるスフィア•レラクールであった。

 白銀のロングヘアに整った顔、高身長の女性としては申し分ないスタイルであった。

 一応はリフェル帝国の議員の一人であるが、この国が大嫌いであった。

 理由は彼女の父親、リムル•レラクールはこの国の議員であったのだが、国家反逆罪により死刑になったのである。

 国家反逆罪と言っても実際に反逆した訳ではなく、議員として軍拡について質問しただけである。

 父親の死刑に母は悲しみそのまま帰らぬ人となってしまい、スフィアは残された2人の妹と家族が3人だけになってしまったのである。

 議員であった父親の代わりに自動的にスフィアに継承権が降りてきて議員になったが、スフィアは他国に亡命したいと考えていたのである。


「おや、スフィア議員、どうかしましたかな?議員の一人として何かあればどうぞ。」


 スフィアの少し考える仕草を気にしたのか先輩議員がスフィアに意見を言う事を進めた。

 しかしその目は明らかに緊張している自分に恥をかかせようとしている目であり、直ぐに分かった。

 その嫌らしい顔を殴りたくなったが、相手は議員である為、抑えて落ち着いて言った。


「いえいえ、私はまだ議員になったばかりの若輩者。まだお言葉を出せるにはまだまだ。」


「ほう、そうでしたか、それは失礼を。では、次の議題に………」


 スフィアは出来ればこんな国ではなく他国に亡命したかったのである。

 そしてその候補地の一つが南フォロナ大陸であったのだが、この様子だと、それは無理そうである。


(はぁ〜、アレファア。)


 彼女は今は居ない親友の名前を心の中で呼ぶ。

 アレファアは彼女が契約していた水の精霊であった、彼女は一応はリフェル教を信仰している振りをしていたが実際には全く信仰していなかった。

 アレファアは彼女が5歳の時、家の庭で遊んでいる時に仲良くなり、そのまま契約したのである。

 他の精霊が逃げる中、アレファアは最後までスフィアの側に寄ろうとしていた。

 しかしこのままだとアレファアは政府に捕まる事を知っていた両親の説得もあり、スフィアはアレファアと契約したまま、他の高位精霊に託し別れたのである。


(アレファアはフォロナ大陸に行くって言ったわよね。無事だと良いけど。)


 精霊と契約すると、精霊石が現れる。

 スフィアが契約したアレファアは水の精霊の為、精霊石の色は綺麗な青色であった。

 契約した精霊がこの世から消えたり、契約を切ると精霊石はなくなる為、まだ無くなってないという事はアレファアはまだ居るという事であった。


(さて、何処に亡命しようかしら。せめて精霊と仲良くやっている国にしないと。)


 スフィアはリフェル帝国から亡命する事を心に決めており、2人の妹達にもその事を話しており、同意を得ていた。

 彼女達も色々な事があり、リフェル帝国が嫌いであった、屋敷の使用人達は両親が亡くなった時に辞めている為、亡命するのは家族3人のみである。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ