第13話 北対馬奪還作戦2
2025.1.19 ???
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「これで、日本は勝てるかな?」
「ウンディーネが何もしなくても勝てるんじゃない?」
ウンディーネは水の大精霊である。
そんな単語が出てくるという事はここは精霊界、富士の樹海の何処にあると言われる精霊達の世界である。
「今回はシルフィも本気だね。」
「初めて役に立てるんだもの。当たり前じゃない。沈んだゴミはどうなったの?」
日本連邦国軍の攻撃で沈んだ艦艇をゴミと言う辺り、今回の対馬を攻撃した韓国軍が余程イラついたらしい。
「女神様が地球に転移してたよ。死んだゴミも一緒に転移させてたよ。」
「政府には私達の行動を伝えたの?」
「クナイショウって所に伝えたみたいよ。あとボウエイソウチョウって所にもね。」
「貴方は知らないのね、宮内庁と防衛総省よ。宮内庁は宗教などを管理しているからでしょうね。防衛総省はまぁ軍を管理しているからね。」
日本連邦国は国家神道を国教としているが、別に国家神道以外の宗教を認めていない訳ではなく、国教は国家神道だが、宗教の選択は自由である。
日本人の信じている宗教は80%超は国家神道で、10%超が仏教であり、残りの数%がキリスト教などのその他である。
国家神道は自然を信仰対象としており、その自然の具現化である精霊が現れたとあっては祭り上げるのも当然であった。
そしてその国教である国家神道を維持•管理している国の機関が宮内庁である。
宮内庁は今後、内閣府の管轄下から独立した省に格上げする予定であり、今後法律を制定する予定だ。
「ふぅん〜よく知ってるね。」
「貴方は精霊界で寝てたから知らないでしょうけど、私達はあの地球で使える最大限の力を使ってたんだからね。」
「私も使ってたよ。富士山の噴火を止めてたりね。」
富士山の噴火を止めたりと言っている時点でこの精霊は風•水•火•木•土•光•闇の7大精霊のうちの1つである火属性の大精霊であるフレアである。
「それなら御嶽山の噴火も止めて欲しかったなぁ〜。」
「……アレは無理。私が富士山の噴火を止めたから御嶽山の噴火を止める力が無かった、あれは一生の不覚。」
精霊が力を使うのにも少なからずの魔素が必要なのである。
精霊界は神の領域なので問題無いが、下界に力を使うには地球では魔素が無さすぎるのである。
「はぁ〜。まぁ日本の役にはたてたから良かったんじゃない。じゃあ私は警察に行ってくるよ。」
「警察に?何をしに?」
「不法投棄。私がいるって言ってるのに懲りない人達、警察が来るまで時間がかかりそうね。ちょっと道を塞いであげましょうか。」
水溜りみたいな空間が現れ、そこには山中にダンプで不法投棄しようとしている一団が映った。
それをどこか冷めた目で見ると、今度はウキウキしたように命令し始めた。
するとダンプの隣に生えていた大木数本が当然倒れ始め走行中のダンプ数台に直撃したのである。
大木が数本直撃したダンプ数台はそのままガードレールにぶつかり停止した。
停止しても誰も出てこないのを見ると数台の運転手などの乗員は死亡しているか気絶していると思われる。
「…………やり過ぎじゃない?道を開通させるのも結構大変なんだよ?」
「そう?保安省長官は是非やって下さい。って言ってたんだけど。」
前に他の大精霊と官邸に紹介しに行った時、保安省長官に提案をした時、その長官は木(自然)の大精霊リフィリアに是非!と懇願して来たのである。
不法投棄は警察としても頭の悩ましい問題であったので、それが解決するかもしれない木の大精霊の協力は願っても無い話であったのだ。
しかしその度に道路が塞がれては国土交通省としてはたまったものではない。
「……そりゃあ、警察の仕事は治安維持だからそれに協力してくれる貴方にやめて下さい、とは言わないでしょ。」
「確かに。」
「道路を陥没させるよりマシでしょ?」
なんだか物騒な事を言い出したリフィリアを外目に見ながらフレアとウンディーネは諦めたようなため息をついた。
大精霊個人にも当然性格があり、フレアは余り人の営みに興味が無く、ウンディーネは興味津々で、リフィリアも興味津々だがやるなら徹底的である。
「…………好きにして。まぁ治安が良くなるのはいい事だし……」
「まぁ、とりあえず行ってくるわ。驚かなきゃ良いけど。」
「多分驚くね。みんな下位精霊しか見てないし。って行っちゃったか、まぁ良いけど。」
フレアが話を終える前にリフィリアが消えてしまった、フレアとウンディーネは溜息をつきながら北対馬から掃討されていく韓国軍を見た。
自分は人の営みに特に興味が無いが、自分を特別視してくれるこの国がとても好きであった。
今回は日本が単独で対処でき、今後も日本の力を考えると出来ると考えているが、もし対処出来ない場合は大精霊が守ると思っていた。
そして、日本の大精霊は他の大精霊とは違って、自然を大切にしてくれるこの国がとても好きであった為、絶対に守ると誓っていた。
2025.1.19 08:25JST
日本連邦国 九州 北対馬
日本連邦国陸軍 対馬防衛部隊
現在、日本は海軍からの艦砲射撃や空軍のF-15J、F-3Aの空爆により北対馬の3分の2を奪還に成功した。
降伏は認可しないとの方針だったが、韓国軍部隊からと降伏要請は来ていない、彼等は玉砕する覚悟であろう。
北対馬は起伏の多い山間部の多い場所である為、戦車は日本側に居ない。歩兵部隊と戦闘ヘリによって行われている。
「右方向に敵部隊!」
「数、2。」
兵士達は20式小銃甲型を持ち、何人かに1人は18式機関銃を持っている。
20式小銃甲型の5.56mm弾や18式機関銃の7.62mm弾を発射し敵部隊に次々と命中させていく。
韓国軍は撃たれてるばかりでは無く、K2 5.56mmライフルで撃ち返してくるが、戦力はこちらの方が多く、K2ライフルは欠陥銃と呼ばれるほど弾詰まりが多い。
「篠田隊員被弾!」
「直ぐに後方へ回せ!救護班。」
「直ぐに変わりを入れろ!」
「左翼を突破!」
日本連邦国陸軍は救護の体制も整えられており、被弾しても直ぐに変わりの兵士が来る。
そして被弾した隊員は後方にいる救護班によって応急措置をされ、問題無いなら復帰、問題有りなら更に後方へと送られるのである。
「右翼が突破された!」
「くそ!敵が多過ぎる!戦闘ヘリはまだか!」
「さっき日本に撃墜されたよ!応援部隊も無い!」
「応援部隊がない!?どういう事だ?」
「艦隊が壊滅したそうだ。」
「クソ!どうなってる、グフッ!」
そう言い悪態をついた韓国軍海兵隊員は日本陸軍スナイパー部隊のM24狙撃銃から発射された7.62mm弾を脳天に受けこの世を去った。
そして死亡した韓国兵は死体が残る事は無く、光に包まれ消え去った。
「くそ!勝てっこない!!こ、これはしゅりゅう……」
手榴弾と言いかけた兵士は逃げようとしたが、日本陸軍兵が投げた手榴弾の爆発によってこの世を去り、また光に包まれ消え去った。
そしてここと同じ事が北対馬全土で行われていた。
日本側は制空権•制海権を確保しながら、救護などの後方支援もしっかりとしており、戦闘ヘリや特科部隊の榴弾などの火力支援もある。
「敵狙撃手撃破。エコー1、敵障害を排除。」
日本連邦国陸軍対馬防衛隊第2小隊に所属している彼にとっては対馬は目を瞑っても行動できるほどに慣れ親しんだ場所であった。
今も1人排除し、本土から応援としてやってきた普通科部隊に木の上からスコープを見ながら、ギリースーツを着て指示を出している。
『こちら、エコー1、了解。感謝する。』
「ん?エコー1、ちょっと待て。敵歩兵が2人木陰に座っている、休憩か?馬鹿じゃないのか?」
『この戦闘時に休憩?考えられないな。』
「あぁ。」
そして狙撃手は愛銃のレミントン社製M24狙撃銃のスコープを除き、2人の呑気に休憩している韓国兵の頭に狙いを定めた、しかし。
「木が倒れた?」
『なに!?敵兵は?』
「下敷きだ。今、光が見えた。多分2人とも死んだ。確認してくれ。」
日本側は分からないが、敵韓国軍隊員が死亡すると光が辺りを包み消えるのが確認されている。
流石に死者0で終わらせれるほど戦争は甘くない事を彼は知っている、しかし彼は今のところ殺された見方部隊をまだ見ていなかったのである。
『分かった。精霊が助けてくれたんかな?』
「多分な、俺の仕事を取らないでほしいな。」
『今、確認した。誰も居ない。多分木が倒れ下敷きになったんだろう。次の目標を教えてくれ。』
「分かった。」
こうして敵韓国地上部隊の掃討が北対馬で続けられていた。