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異世界日本連邦国  作者: F-3
14/30

第11話 対馬沖海戦



2025.1.18 14:39JST

日本連邦国 首都東京特別区

総理官邸 危機管理センター


「まず初めに状況を説明してもらおうか。」


「はい。本日10:00、日本海に国籍不明の8隻の艦艇を対馬のレーダーサイトが探知しました。その30分後の10:30には対馬空港、春日基地、栗島レーダーサイトの3ヶ所が攻撃されました。」


 長谷部総理大臣の問いに防衛大臣が簡潔に述べる。

 対馬空港は九州対馬にある民間空港であり、陸軍の南対馬駐屯地が隣接しており、ヘリコプター部隊や地対空誘導弾部隊が配備されてる。

 対馬や九州を守護する日本連邦国空軍西部方面隊には旧鳥取県に美穂、旧山口県に防府北、旧福岡県に築城、旧宮崎県に新田原の計4ヶ所の主要基地が存在した。

 しかしその内、西部方面隊司令部が設置されている春日基地が攻撃を受けたのである。

 春日基地は民間の福岡空港に隣接する空軍基地であり、戦闘機は配備されていないが、輸送機が配備されており、何より西部方面隊の司令部がある場所であった。


「防衛出動は行なっているはずだ。」


「はい、11:15に防衛出動命令が発令されました。現れた韓国海軍艦艇は8隻、空母【ソウル】イージスシステム搭載艦【世宗大王】【栗谷李珥】駆逐艦【文武大王】【王建】フリゲート【馬山】【清州】強襲揚陸艦【鬱陵】の韓国海軍鬱陵艦隊です。」


 韓国は史実より広い領土と国力でこの世界では空母を保有していた。

 日本の空母保有に対抗して保有する計画であった。

2015年の日韓戦争により多大な被害を受けた韓国だったが、日本を脅威と感じている中露の支援により軽空母を保有している。

 当初は日本と同等の6万t級空母の建造計画が持ち上がった。

 しかし、予算的に不可能であり結局F-35Bの韓国版であるF-35KBを20機程度搭載可能な3万t級空母で落ち着いたのである。


「軍はどのように対応しているんだ?」


「現在、日本海に展開中の第3艦隊が対馬沖に向かっています。そして築城、防府の空軍基地から艦隊撃沈に向け離陸しています。」


「なら、直ぐに終わるのか?」


「11:15ほどに強襲揚陸艦【鬱陵】から揚陸艇が北対馬に上陸、占領されました。幸いにも住民は南対馬及び九州に避難しています。」


 強襲揚陸艦【鬱陵】は史実の【独島級】強襲揚陸艦とは違い、アメリカの早期退役した【ワスプ級】強襲揚陸艦を改装した強襲揚陸艦である。

 満載排水量4万t超えの巨艦であり、3000名近くの海兵隊員を揚陸する事が可能であり、今回は北対馬に3000名の海兵隊員が銃火器と共に揚陸した。

 対馬に駐留している陸軍兵は2400名であり、苦しい闘いになる事か予想される。


「前と同じか。なるほど、軍の行動は分かった。住民の安全を第一に進めてくれ。」


「かしこまりました。」


「はぁ、しかし何故韓国海軍なんかがこの世界に。」


「それは、私が説明するわ。」


 そう言い、今まで黙って話を聞いていた女神レミアスが説明を始めた。


「女神レミアス様。」


「ええ、日本が転移した地球の日本周辺はこの世界に対する入り口が生まれたわ。でも普通はその入り口が開く事はあり得ない。何か強力なエネルギーでこじ開けなければね。」


 日本を転移させるのに膨大なエネルギーを使用した。

 そしてそのエネルギーの流れが地球とミストテリアスを繋いでいるのである。

 普通ならもう二度と転移する事は無い。

 しかし今、地球で起こっている事が韓国海軍艦隊をミストテリアスに転移させた。


「まさか、核爆弾!?」


「いえ、核爆弾じゃあ、まだ足りないわね。地球の兵器の中でこじ開ける威力を持つものは1つしかない。恐らく水素爆弾が転移してきた艦隊の直上で爆発したのよ。その爆発のエネルギーであの艦隊はこの世界に転移してきて、放射能の影響も受けなかった。」


「なるほど、ではあの艦隊はどうするのですか?」


 そう長谷部総理が問うと、女神レミアスは覚悟を決めた目で話し始めた。


「この世界に日本人以外の民族は要らないわ。貴方達が1人も残さないのであればそれで構わない。残すのであれば地球に転移させるわ。例外を残しておいたら後々苦労するからね。」


 それは女神故の冷徹さであった。

 要するに『日本人以外の余計な人はこの世界には害にしかならないから必要ない。地球と一緒に滅んでね』という事である。


「やはり、そうなりますか。では、彼等が向こうの世界に転移して生き残れると思いますか?」


「生き残れるかどうかは分からないわね。でも100年後には人類は一人たりとも居ないわ。」


 しばらくの間、会議室に沈黙が流れた。

 彼らはいきなり対馬に砲撃を加え、日本軍の軍事施設を攻撃した。

 もう、この事はほぼ全ての国民に伝わっており、誰もいない旧韓国大使館や旧朝鮮総連前でデモが行われていた。

 しかし、同じ人類として見捨てる事しか出来ないのは非常に苦しかった。


「そうですか、分かりました。防衛大臣、防衛から殲滅に切り替えてくれ。」


「よろしいのですか?」


「あぁ、地球に戻っても放射能で苦しむだけだ。それに、これは向こうから仕掛けてきた戦争だ。彼等も本望だろう。」


「了解しました。殲滅を目標に攻撃を行います。」


「あぁ、頼んだぞ。」


 こうして日本連邦国軍は攻撃を撃退から殲滅に切り替え、容赦無い攻撃を浴びせる事を決定したのである。





2025.1.18 15:19JST

対馬沖

大韓民国海軍 鬱陵艦隊

強襲揚陸艦【鬱陵】


「キム艦隊司令。北対馬の占領が完了致しました。」


 艦隊旗艦の強襲揚陸艦【鬱陵】の艦橋にいるキム艦隊司令に一人の部下が現地部隊からの報告を持ってきた。

 現在、外は激しい暴風雨であり、数時間前に揚陸艇を出した時は快晴であった。

 しかしその後、天候が急変、荒れに荒れているのである。

 その為、航空支援に空母【ソウル】から発艦したF-35KBのうち1機が着艦に失敗、甲板に停めてあったヘリコプターと衝突し、大炎上したのである。

 しかしその火災もこの暴風雨が直ぐに消してくれたが、現在空母では運用が出来ない状態であった。


「そうか、よくやった。我が国が無くなった今、日本だけがこんな世界でのうのうと生きていると思うと!いやまぁ、そう言っても仕方がない。対馬を占領して新生大韓民国を建国する。その目的の為に早急に対馬全土を占領しろ。分かったな!」


「は!絶対に任務を完遂してみせます。」


 2025年元旦の突然の出航命令、そして日本の消失と、ソウル、釜山の核爆発の報告。

 乗員は皆、大切な家族を失い意気消沈としていた。

 そして友好国であった筈のアメリカからの弾道ミサイル、弾道ミサイル迎撃能力(BMD能力)はこの艦隊には無かった。

 皆、死んだと思った。

 しかし気がつくとそこにあったのは消失した筈の日本、放射能を測る事の出来るガイザーカウンターは基準値内であった。

 しかし朝鮮半島があるべきところに無かった。

 司令は思った、ここは異世界なのだと。

 ここで新生韓国を建国しようと、しかし対馬には住民がいる、今ならあの憎たらしい日本も転移の影響で混乱しているだろう。

 だから、対馬や九州の基地にミサイル攻撃を行ったのである。


「司令、失礼します。気象担当官です。」


「なんだね?私は今、忙しいのだが?」


 艦橋に気象担当官が入室してきた、気象担当官は船の天気予報士であり、気象担当官の予測を基にして航路などを決める重要な職業である、普通ならば。

 しかし現在は作戦中、外は大荒れ、別に動くなら必要だったかもしれないが、今は停泊しており、動く気は無かった。


「すみません、しかしこの周辺の海や天候がおかしいのです。」


「おかしい?どういう事だ?」


「天候があり得ないのです。なんか、こう。自然が怒っているという感じでして、波の動きも激しい為、砲撃に誤差が生じています。」


 実際、電波塔を狙って発射した砲弾が想定以上の波と風の影響で木片が当たって空中爆発したり、見当違いの場所に着弾する事が多々あった。

 しかもそれは補給が届かず、弾に限りがある自分達にとって非常に厄介な事の筈であった。


「馬鹿者!!という事は、何か?自然が日本に味方しているとでもいうのか!?」


「し、しかし状況が、」


「そうか、分かったぞ。お前は日本のスパイだな!?」


 艦隊司令は自国の消失と作戦がうまくいかない事もあって、非常にイラつき、正常な判断が出来ない状態であった。

 しかしそんな艦隊司令でも、階級は海軍大佐、たかが気象担当官が逆らえる相手では無かった。


「い、いえ。そ、そんな事は。」


「違うと言うなら、しばらくの間、自室で謹慎してろ!部屋から一歩でも外に出たら死刑だ。分かったな?」


 周りで仕事を行なっている担当官は正直こんなまともな判断が出来ない司令に命令されるのは非常に嫌であった。

 しかし逆らった人がいたが、今は艦隊司令の側で頭に穴を開けて転がっている。


「は、はい。分かりました。」


「ん?」


 担当官が一瞬疑問の声を上げたのに気づいた司令は何事かと聞く。


「どうした?レーダー担当官。」


「今、一瞬…………!?レーダー反応、探知!!」


「な、なに!?数は?」


「数は16、速度はM2.1。弾頭形状から12式地対艦誘導弾と推定されます!」


 12式地対艦誘導弾は日本連邦国陸軍が保有する地上から発射する地対艦ミサイルである。

 その射程は200kmほどであり、九州だろうが、対馬だろうが、現艦隊の位置からすれば十分射程圏内であった。


「迎撃だ!」


「波が荒れすぎてゴールキーパーでは不可能です。イージス艦は対地攻撃に専念しており、VLSが使用できません。それにこの暴風雨で他の艦のVLSも使用不可能です。」


 韓国海軍のイージス艦は導入は日本より遅いもののアメリカの技術流出の懸念から、かなり古いバージョンのイージスシステムしか供給が許可されなかったのである。

 その為、1つの事にしか対処出来ず、現在そのイージス艦は対馬に対する攻撃で手一杯であった。


「迎撃出来る手段は無いのか?」


「はい。空母【ソウル】からもこの暴風雨で離発艦は不可能との事です!」


 そもそも空母は先程の着艦失敗による炎上で艦の離発艦システムに大きな影響を受けており、運用出来ないのである。

 しかし艦に搭載していた哨戒ヘリや強襲揚陸艦に搭載している戦闘ヘリなどは全て対馬に運び入れていた。


「くそ!日本め!」


「 ち、着弾します!」


 駆逐艦やフリゲートから迎撃の短距離対空ミサイルが発射されるが、そもそもGPS誘導が無く、この暴風雨により誘導システムにも不備があるミサイルがちゃんと誘導させる訳もない。

 その結果、1発も撃ち落せないまま地対艦誘導弾16発は韓国海軍艦隊に突っ込んでいった。


「空母【ソウル】イージス艦【世宗大王】駆逐艦【王建】フリゲート【馬山】【清州】に着弾。」


「その他艦に被害無し!」


「被弾した全艦に対艦命令が発令…空母【ソウル】が爆発、あぁ、轟沈します。」


 こうして、韓国海軍艦隊全8隻のうち、5隻が12式地対艦誘導弾の攻撃を受け退艦する暇も無く船と一緒に日本海へと消えていった。

 そもそも1発で、空母を航行不能にする能力のある12式地対艦誘導弾である。

 3万t級の空母には5発、1万t級のイージス駆逐艦には4発、5000t級の駆逐艦には3発、3000t級のフリゲート艦には2発が命中したのである。

 当然耐えられる訳が無かったのである。




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