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異世界日本連邦国  作者: F-3
11/30

第8話 大精霊



2025.1.1 00:42JST

日本連邦国 首都東京特別区

総理官邸 地下 危機管理センター


「そう言えば、貴方達に紹介したい者達が居たのよ。今、連れてきて良い?」


 核戦争により崩壊した地球からミストテリアスに女神レミアスにより転移した日本。

 各担当省庁の大臣達とこれからの事を会議しようとしていた時、突如女神レミアスが思い出したように言った。


「え、えっと。今ですか?神様ですか?」


「そう、今。でも神では無いわ。」


「まぁ、良いですけど。」


「では、呼んでくるから15分ほど待っててね。じゃあ!」


「あ、はい。また……」


 長谷部総理が「また後で」と言い切る前に女神レミアスは光の粒子となって消えていった。

 気を取り直して、誰かを連れてくるまで会議をする事にした、彼等に休み時間は無いのだ。


「ところで経済産業大臣、経団連からの反応は?」


「まぁ、芳しくありませんね。直ぐにでも他国との貿易を行わないと、色々と不都合が出ます。資源は置いておいて、雇用や景気などです。」


「税収に関してもそうですな。リーマンショック後持ち直した財政が悪化する可能性があります。いや、リーマンショックの比では無いでしょうな。中央政府はもちろんの事、地方自治体の財政も問題でしょう。財務省としても一刻も早い貿易再開を要求しますね。」


 経済産業大臣が区切りのいいところで切ると、横から財務大臣が話に入ってきた。

 現在の日本の財政は連邦制の採用による二重行政の廃止と議員定数の削減、そして史実より高い経済力と莫大な貿易黒字のお陰で財政赤字は殆ど無かった。

 しかし転移によりその貿易の停止と経済の悪化により間違いなく今後数年間は、いや十数年間は赤字国債の事発行が必要になっていた。


「財政か、考えなくなかったが転移した事で日本国債を保有していた外国人分は消えたも同然では無いのか?しかも日本国内にある外国企業や外国人が保有する資産も相当な額の筈だ。」


「国が徴収すると?まぁ、財政の事もありますし、野党も反対はしないでしょう。とりあえず国有地や国有財産として国が徴収して、民間に売却したら良いだろう。」


 2024年度の日本の国債残高は367兆円であり、そのうち外国人が保有していた国債は94兆円に登る。

 それが無くなった、つまり国債残高が271兆円になったのである。

 更に日本にある海外企業や個人の財産が推定540兆円程存在する、日本が海外に保有していた財産は410兆円程だが、経団連などに伝えたお陰で190兆となったのである。

 保証など差し引き350兆円が国が徴収する額である、2019年度の日本連邦国の予算は累計180兆円である、単純計算で国家予算2年分が一度に舞い込んできたのである。


「そうだな。その辺りに関しては国土交通省が行ってくれ。」


「かしこまりました。まずは法案の成立後ですね。いくら非常時とは言え憲法が保障している私有財産ですからね、法律は必要でしょう。」


「そうだな、まずは人工衛星の打ち上げだな。地図がない事にはどうしようもならん。」


「JAXAによるとやはり、数日間の観測期間と打ち上げ準備期間で約2週間は必要との事です。」


 ロケットの準備は日本に3ヶ所ある発射基地(潮岬、内之浦、種子島)全てで設置まで済んでいるが軌道予測などには時間がかかるのである。


「やはりなぁ〜まぁ、やるしか無いがな。」


「おまたせ〜連れて来たわよ。」


 いきなりパァッ!と光の粒子が現れ、女神レミアスが戻ってきた。

 もう既に会議参加者達は慣れて驚かなくなったが、他の職員達は未だに目を見開いて驚いている。

 そして女神レミアスは手の平を上にするとそこから色とりどりの7色の光の球が出てきたかと思うと、強い光を放った。

 しばらくして皆が気がつくと女神レミアス以外に7人の男女が立っていたのである。


「あの、その方々は?」


「精霊よ。正確には大精霊だけどね。」


 そう言った瞬間皆が驚いたが、何人かの閣僚達は他の人達と違った反応を見せた。


「これが精霊。」


「やっぱり裏切らないな。」


「アニメ通りだ。」


 自分の世界に入っている人達を放っておいて水色のロングヘアーの女性が前に出てきて自己紹介を始めた。


「初めましてになりますね。日本の皆さん。私は水を司る精霊のウンディーネと言います。改めてよろしくお願いします。」


「こ、こちらこそ。」


 水の大精霊と名乗ったウンディーネに対し長谷部総理は少々驚きと不安から噛みまくった対応をする。


「私は風を司る精霊のシルフです。やっと皆さんに可視化できるようになって良かったですわ。」


「ん??」


 最初、風の大精霊シルフの言葉に皆が?となったが、気づいた女神レミアスが後回しにしてきた。


「まぁ、その辺りも含めて後で纏めて説明するから、どんどん行っちゃって!」


「は、はい。」


「俺は火を司る精霊のサラマンダーだ。よろしく!」


「よろしくお願いします。」


 もう、3人目となり慣れたのか長谷部総理の対応にもいつもの落ち着きが戻ってきた。


「おう!」


「儂は土を司る精霊のノームだ。まぁ、よろしく頼む。」


「よろしくお願いします。」


「私は光を司る精霊のレイティアです。どうぞよろしくお願いします。」


「私は闇を司る精霊のダーティアよ。よろしく!」


 光の大精霊レイティアと闇の大精霊ダーティアは神の色が違うだけで後はほぼ同じであった、まさにそっくり姉妹である。


「私は木を司る精霊、リフィリア。どうぞよろしく。」


「え〜と、これはどう言う。」


 全員の大精霊の紹介が終わり長谷部総理は女神レミアスに説明を求めた。


「日本に古くから存在している大精霊よ。日本には精霊がいるんだけどね、地球には魔素が無いから誰も見えなかったの。でもこっちの世界に来てようやく見えるようになったのよ。」


「えっと、皆さんずっと私たち日本の歴史を見てきたんですか?」


「ええ、そうよ。」


 やはり、小説やアニメの通りだ。と何人かの精通している者が思った。

 そして環境大臣である三井大臣が精霊達が現れてからずっと聞きたい事を聞いた。


「あのぉ、何か日本に対して改善点とか有りますか?」


「私としては特に無いですね、私は水の大精霊と言っても日本近海のみです。でも他の水の大精霊は姉妹ですから色々と力になれると思います。」


 水の大精霊のウンディーネがまず答える。

 まずウンディーネが答える事から大精霊達のリーダー的存在だとうかがえる。


「この国は大好きなので災害などから守ってあげたかったのですが、魔素が無い地球では本来の力も発揮出来ずに、大勢の方々を死なせてしまいました。」


「あ、いや。こちらも結構無理な開発などして木々を伐採していると思いますが。」


「ええ、それに関しては色々と思う所もありますが、伐採自体は悪い事ではありません。まぁ不法投棄などは厳しく取り締まって欲しいと思いますが、私もトラックに木を倒したり、崖崩れを起こして追い払ってますが、直接警察に知らせるようになれて良かったです。」


 過去に不法投棄しに山中に向かっていたトラックが落石に巻き込まれたり、倒木のせいで道が通らなくなっていたのである。

 中には運転席に直撃したりして、治療後に警察に逮捕されてたりしている事例が相次いでいたのでたる。


「えっと、何処に捨てられているとか直ぐに分かるんですか?」


「はい。自然が私の分身みたいな物ですので、貴方方に分かりやすく説明すると自然が監視カメラで私がメインコンピュータのような物でしょうか。」


 日本連邦国内に設置されてる国の管理下にある監視カメラは200万台を超える。

 しかし日本にある木などの数は億を軽く超えるのである。


「直ぐに警察に知らせてください。国としても不法投棄は見過ごせる問題では無いので。」


「はい、これからもよろしくお願いします。」


「土の大精霊の私としては特に無いな、あっても不法投棄くらいだな。まぁ鉱物資源などの情報は教えられるな。」


「ぜ、是非。」


 柿田資源エネルギー庁長官がノーマに対して食いついた。


「あぁ、任せておいてくれ。」


「風の精霊である私としては空気を綺麗に!って言う前に綺麗になったからねぇ〜。」


「私も無いなぁ〜。」


「私も無いわね〜。」


「俺も特に無いな。」


 皆、特に大精霊はそういう要求はないようである。


「えっと、不法投棄くらいですか?もっとあっても良さそうですが。」


「もっと日本を誇っていいのよ?隣国みたいに有害物質を出さないし。」


「水質汚濁も無いし。」


「ええ、そうね。山火事も無いし、過度な伐採も無い。」


 有害物質や水質汚濁はまだしも山火事に関しては地域毎の乾燥も理由の1つであるのだが。


「そうですか、要望とか無いんですか?」


「要望?それ言ったらもっと緑が欲しいとか空気をもっと綺麗にしてくれとか水を綺麗にしてくれとかなるけど、言ったらきりが無いよ?」


「た、確かに。」


 そんな精霊の要求を全て叶えたら、現代生活を捨てるのと同意義となる。


「ふふふ、まぁ精霊達にそんだけ好かれていたらこの国は安泰ね。貴方方の技術力はこの星では抜きん出ているわ。どの国に戦争を吹っかけられても勝てるわ。安心していいわよ、この惑星はアメリカのような国家も無ければ朝鮮や中国のような国家も無い。似たような国家はあるけど日本には絶対に勝てないわ。それにそう言う国は日本から離して置いたし。」


「そ、そうですか。」


「ええ、この世界にも精霊は地域毎に精霊と精霊を束ねる大精霊が居るわ。でも日本の精霊みたいに人間の事が好きな精霊ばかりでは無いわ。過去にその土地の人間が精霊に酷い事をして嫌われた地域もあるわ。中には私が天罰を下さないといけなかった地域もあるのよ。まぁ、日本がそうなるとは思って無いけどね。」


 そんな事を思ってたらいくら核戦争から日本を守る為とはいえ、この惑星に連れてくる事はなかったであろう。


「私達もそうはなりたく無いですね。」


「ならない事を願うわ。」


「では、私達も戻ります。何かあったら気兼ねなく呼んで下さい。私達は富士の樹海に居ますので、では。」


 そう言い、7人の精霊達はそれぞれの属性をみにまといそれぞれの場所へと帰って行った。



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