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異世界日本連邦国  作者: F-3
10/30

第7話 転移とブラックアウト

 


 2024.12.31 23:51JST

 日本連邦国 関東州 立川市

 立川広域防災拠点 地下危機管理センター


 立川市にある立川広域防災拠点の地下40mにある危機管理センターは地震などの災害発生や有事の際の指揮所となる重要施設である。

 地下40mに建設されており、核爆弾の爆発にも耐えられる能力がある。

 現在、危機管理センター内の部屋の1つである中央管理室は300インチの大型有機ELモニターが正面に設置されており、そこから沢山のモニターが映画館のように並んでいる。

 そのモニターから100mほど離れた場所にはガラス張りの部屋があり、現在内閣総理大臣を始め主要省庁長官などを含め30名ほどが座って様子を見ていた。


「総理、防衛総省から最終結果報告です。19:00丁度にロシア連邦共和国シベリア地方にある核弾道弾発射サイロから2発の核ミサイルが札幌と東京に向かって発射されました。その後、日本海に展開していたイージス艦が迎撃に成功、被害は有りません。その後20:00丁度に中華人民共和国四川省にある核弾道弾発射サイロから同様に2発の核ミサイルが大阪と名古屋に向かって発射されました。その後、東シナ海に展開していたイージス艦が迎撃に成功、被害は有りません。」


「なるほど、転移まで領海内で警戒を続けてくれ。」


 事前に女神レミアスから転移するのは日本連邦国領土と領海と聞いている為、日本連邦国領海内に居れば大丈夫なのである。


「はい、了解しました!」


「防衛総省と同様にJAXAから報告です。ロシアがミサイルを発射した19:00、事前予測通りに核戦争が始まりました。世界の名だたる都市は核爆弾及び水素爆弾により廃墟となり、このままですと45時間後に北京、香港の放射能が台湾州に、ソウルのが九州に放射能汚染物質が飛来します。また人工衛星の落とし合いも始まり22:14にはISSが大気圏に突入、インド洋に墜落しました。我が国が保有する78基の衛星のうち56基が既に通信不能で有り、残る22基の衛星も時間の問題かと思われます。」


「さっき、8基が落とされたから残りは14基よ、今宇宙に残っている衛星は全てで31基、残りの2649基は大気圏に落下したか、破片で壊れたものよ。日本にもその破片が落下すると思うから気をつけた方が良いわよ。まぁ、あと9分だけどね。」


 そう言ったのは会議に参加していた女神レミアスである。

 彼女はリアルタイムで直ぐに分かる為、居てくれると職員としても情報の伝達という意味で非常にありがたいのである。


「わ、分かりました、ありがとうございます。保安省長官、現在の国民の様子は?」


「現在入ってきている報告によりますと、国民はテレビやネットニュースに釘付けで、世界各国の核爆発の様子を見ています。我が国のイージス艦が計4発の核ミサイルを迎撃した事は既に知られています。またTHAADやPAC-3を配備している基地や駐屯地の周りには大勢の群衆が集まっていますが、特に問題はありません。警察や消防に関しても今のところ職務拒否などの報告はありません。」


「同様に国土交通省からも、現在全ての交通網で運航を停止しています。鉄道や航空機も動いておらず、高速道路や自動車専用道路の通行は一時禁止されています。」


 当然、核戦争が起こるかもしれないという時に飛行機に乗る馬鹿など居ない。

 その為、飛行機は全て空港内に待機しており、空港職員も一人もいない。

 また電車や高速道路などの交通に関してもJRやNEXCOなどが自主規制をしているのである。


「外務省からです。入国管理局によりますと、現在我が国に滞在している日本国籍を保有していない人は2万1932名で、他国にいる日本国籍所有者は37万4105名です。うち連絡の取れた37万3194名は帰国を拒否し日本国籍を剥奪、残りは連絡が取れませんでした。」


「私の管理している世界に日本人以外が来られても困るからその2万1932名には悪いけど最後まで残るニュージーランドに転移してもらうわ。あと、連絡の取れなかった811名のうち537名は既に亡くなっているわ。残りの271名に関しては転移時に代々木公園に転移させるからよろしくね。あら、あと1分ちょっとね。」


 気軽にそういう事が分かるのも流石女神と思いながら周りの会議参加者や職員達は聞いていた。

 もう、この時点で彼女を女神だと疑う者は日本政府内では皆無であった。

 それは国家安全保障会議に参加させている事が何よりの証拠であろう。


「ありがとうございます。佐々木長官、頼みましたよ。」


「分かっています。」


 するとその時、危機管理センター内に館内放送が響き渡った。


 《転移まで残り1分。繰り返す、転移まで残り1分。》


「では、女神レミアス様、お願い致します。」


「ええ、こちらこそよろしく。転移時には震度2〜3くらいの揺れが発生すると思うわ。まぁ、日本なら大丈夫でしょう。」


 地震大国日本では震度2〜3の揺れなどしょっちゅうである、その為その程度の地震で建物が倒壊したりするなどあり得ない。

 そこは流石日本担当の女神であるレミアスである、ちゃんと分かっていた。


「ええ、震度2.3程度なら。」


「あら、残り5秒ね、4……3……2……1……0。」


 その時日本中を震度2〜3の揺れが襲った。

 この時、殆どの人は地震だろと気にもとめなかったが、事情を知っている関係者達は事態を把握していた。


「転移が完了したわ。ようこそミストテリアスへ。これで私はここに常に居られるようになったわ。」


「え?どういう事ですか?」


「地球には魔法の元となる魔素が無かったから私は長い事実体化していると影響があったの。だけど魔素が豊富なミストテリアスなら幾らでも実体化出来るのよ。」


 魔法の元となる魔素が無い地球で女神レミアスが実体化するには神力を使用しなければならなかった。

 しかし短時間ならまだしも長時間の使用は色々と悪影響が発生してしまうのである。


「な、なるほど。いや?なるほどなのか?」


 総理と女神レミアスがそう言う話をしていると、突如会議室の扉が開き職員が駆け込み、思いもよらなかった事を告げられた。


「総理!全国の火力発電所が緊急停止し、ブラックアウトが発生しました!再起動まで5分程度かかる見通しです。」


「な!?ブラックアウトだと?どういう事だ?は!まさか、転移の影響でシステムエラーが発生したのか?」


 ブラックアウトとは発電所の停止により他の発電所が停止した発電所の分を発電しようとして出力を上げる事によりシステムに負荷がかかり、安全装置が働き緊急停止し、それが次々と起きるのである。

 その為、全ての発電所が緊急停止し、発電する発電所が無くなり、供給量が0となる事により、全ての地域で停電が発生するのである。

 史実日本では2018年に発生した北海道胆振東部地震でブラックアウトが発生し、1週間に渡り、北海道全域が停電になった。


「これは迂闊だったわね。ごめんなさいね、でも大丈夫よ。システムが壊れるほどの影響は無いわ。再起動で復活する筈よ。」


「そ、そうですか。ブラックアウトが発生した地区は何処だ?」


「はい、発電量に比較的火力発電の割合が高い北海道電力、東京電力、四国電力、沖縄電力の4管区内です。他の管区でも大規模な停電が発生しましたが、ブラックアウトまでには至っていません。また病院や官公庁などの重要施設は非常用発電に切り替えています。」


 北海道電力は発電総量の71%が火力発電であり、東京電力は72%、四国電力は74%、沖縄電力に至っては86%が火力発電である。

 その他の電力会社も東北電力は54%、北陸電力は61%、東海電力は39%、関西電力は66%、中国電力は64%、九州電力は44%、台湾電力は56%である。

 70%以上の発電が火力発電だと、ブラックアウトが発生する計算になる、しかしすぐに再起動可能みたいであり、影響は限定的であろう。


「くそ!まさか発電システムなシステムエラーが発生するとは、予想外だった。」


「総理、北海道、東北、東京、北陸、関西、中国、九州、沖縄、台湾電力の9管区では再起動に成功、停電は解除されました。しかし残りの東海電力、四国電力では再起動に失敗。しかし周りの再起動に成功した電力会社からの電力供給もあり、停電は解除されました。」


「そうか、良かった。東海、四国両電力での再起動を急がせろ。このままだと両電力に挟まれた関西電力の供給がパンクするぞ!」


 東海電力と四国電力に挟まれた関西電力は両方に電力を融通しなければならない。

 ただでさえ関西電力は日本4大大都市圏(東京大都市圏、名古屋大都市圏、大阪大都市圏、高雄大都市圏)のうちの1つである大阪大都市圏を抱えているのである。


「はい、分かっております。」


「総理、話を戻しますが、弾道ミサイル迎撃に出ていた両迎撃艦隊全艦の無事を確認し、さらに離島に配置していた部隊からも転移漏れは無いようです。」


「そうか、防衛大臣、ケースコード24051の発令を命じる。」


 ここで総理は事前に決めていたケースコードのうちの1つである24051を発令した。

 ケースコードはただ単に命令を略しているだけであり、日本連邦国軍法の範囲内で決められる。


「了解しました。全部隊の確認と、資源島探しですね。」


「小笠原諸島南西800km地点よ。だいたい小笠原諸島と琉球諸島の間ぐらいかしら、丁度ぽっかりと空いていた日本のEEZのど真ん中に作ったわ。」


「あ、ありがとうございます。防衛大臣、そういう事だ。よろしく頼む。」


「り、了解しました。」


 女神の気前の良さに探さなくて良かった嬉しさと、何故こんなにしてくれるのか?という疑問が一杯となった。

 しかし、これからもっと驚く事が会議参加者及び日本連邦国民を驚かせる事となる。



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