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ターニングポイント その4

異世界の人はやばいやつばかりだ、と輪太郎は思った。

しかし、生き返ってから何だか感覚が鋭くなった気がする。

木々が風に揺れる音がはっきりとわかり、ラスに近づくのも遠ざかるのも容易に感じる。

体中に力がみなぎっているようだった。

試しに垂直飛びをしてみると、170cmほどのラスの頭に乗れそうなほど高くジャンプ出来ていた。


「生き返ってから何だか力がみなぎってくる」


 輪太郎はラスに話しかけたというより、大きな独り言のように言った。


「ああ、それはその体はマヴィスで造られたものやからやろうな。それならリゲンが含まれているからそうなるやろ」


「リゲン?」


「この地球とマヴィスとの最大の違いはリゲン素があるかどうかやねん。マヴィスの世界の空気にはリゲン素が含まれている。だから地球人よりマヴィスの生物は強いねん。ドーピングアイテムもスペアボディもマヴィス製品やからリゲンが含まれている。だからそれを使うと、地球人であるあんさんはパワーアップするっていう事やな」


「地球人でって言うなら、ラスさんはそのアイテムを食べてもパワーアップしないんですか」


「ワシらからすれば普通の食料やな。リゲンの蓄積が少ない三歳ぐらいの幼児までなら少しは変化あるんやけど、それ以上の子供では変化ないなあ」


 それじゃあ地球人はマヴィスの三歳児くらいの力しかないのだろうか? 

それに僕はいま新しい体で物凄くパワーアップしている気分だ。

ラスは『三歳児なら少しは変化がある』と言っていた。

という事はマヴィスの三歳児より僕の方が弱いのかも知れない。


「あの、疑問に思ってたんですけど何で僕がパトロールするんですかね? ラスさんも強そうですし、マヴィスの人がパトロールすればいいと思うのですけど」


「それはな、特殊な種族を除いてマヴィスの人間はリゲンのない場所で生きてられへんねん。この屋敷の敷地内はリゲンが空気中に漂ってるから呼吸できるけど、それでも少し息苦しい。動物なら少しの間生きられるものもおるけど、まあ、2週間も生きられへんやろな。人間でいうところの水中にいるようなもんやな。自由にも動かれへんし、すぐに死んでしまう。マヴィスの生物にとって、地球とはそういうところやねん」

 

なるほどそれでこちらのパトロールに地球人が必要で、運が悪く殺されかけていた僕を助けて部下にしたという訳か。

果てしない厄介ごとに巻き込まれたなと輪太郎は思った。


「まあ、さっきのお詫びでスペアボディはもちろん、ドーピングアイテムも一つずつ持って行ってや。それで気に入ったのをまた買ってくれたらええわ」


 という訳で輪太郎は

所持金    100万イェン

所持アイテム ムサシスナック棒1個 

カチコチキャンデー1個

脱兎アメ1個 

チョコと集中1個 

うまいドリンク1本 

紫のプチトマト1個

崖っぷち納豆1個

 炎玉1個 

イチコロチーズ1つ

スペアボディ5体

借金3億イェンでスタートとなったのである。


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