未知への探索 その3
「マジか!」とコジロウが叫んだ。
見るとコジロウに黒い模様が出ている。
確かこれはライカ組のサイガもやっていた狂身と言う技で、身体能力が何倍にもなるらしい。
コジロウは驚くことに学校の校庭に入りきらなさそうなほど巨大化した象を一人で受け止めている。
地面は割れ、辺りは象の腹に包まれ闇になる。
そんな中で、コジロウが薄く光っていた。
「京子さん、地面を掘れない?」と輪太郎は言いながら爪で地面をほじくる。
当然ながらとてもではないが三人が入れる穴を僕が作れそうもない。
ムサシスナック棒を一応食べたが、象を持つ手伝いをしても、コジロウの負担の百分の一も減らせないかもしれない。
やばい、このままでは京子やコジロウが死んでしまう。
そう思って焦っていると、パッと明るくなった。
象が初めの大きさまで戻っている。
コジロウは呼吸を荒くして、その象を両手で持っていた。
輪太郎は急いでチュッパナイフでその象の顔面を三度切り付ける。
コジロウが象をポイッと投げると、象も疲れているのか、もそもそとしか動けずにいた。
しばらくするとエネルギーを吸いきって象は動かなくなった。
「いや、ビックリしたね。死ぬかと思った」
コジロウはそう言って、額の汗をぬぐっていた。
「可愛い象さんだと思って油断したら駄目だね~。次からは気を付けてまず固めるよ」
京子が反省している。
「しかし、コジロウさんよくあんなに大きな象を持てましたね。完全に諦めてましたよ」
「サーライト家の秘技で十秒間どんな攻撃も受け付けない技があるんだ。とっさにそれを使っただけで、象を持ったわけじゃないよ。でもそれを使うと疲れるんだよね。もうへとへとだよ」
コジロウがこんなに疲れているのを見るのは初めてである。
ライカ組を追い返した時もけろりとしていたが、今回は疲労度が全然違うらしい。
「じゃあ、今日はもう帰りません?」と輪太郎が言った。
「え? まだ来たばっかりだよ」
「明日もあるんだし、ゆっくりしましょうよ。また何かに襲われたときにコジロウさんが疲れていたら困りますし」
「ううん。そうか。じゃあ、帰る?」
「はい」
「そうだね~。探検はまた明日だね」
三人の意見は一致し、一日目の探索はただ砂漠を抜けただけで終わってしまった。
ネックレスの鉱石を見つけるという任務は思ったより過酷そうだなと輪太郎は思った。
毎日連載をしていましたが、書き貯めもなくなり、またそろそろ他の小説も執筆しないといけないので少しの間、休ませていただきます。毎日読んでくれていた人たちには少しお待たせしますがなにとぞよろしくお願いします。




