未知への探索 その1
地元をただウロウロと徘徊する仕事が未知の世界への冒険に変わってしまった。
言うなれば自宅警備が海外遠征に行くぐらいの違いだ。
不安でしかたがないが、ボスには逆らえない。
スペアボディ10体が果たして多いのか少ないのかわからないが、今回は買い足さずに行くことにした。
未知の世界への入り口である御池田畑の海岸で京子を待っていると、その隣に黒いネックレスを付けた長髪の美男子も一緒にきていた。
コジロウである。
「やあ、私も行くことになったよ」
そう言うとコジロウは爽やかに笑った。
やだ、頼もしいと輪太郎は思った。
「今日から三人で探検だね~。楽しそう」
京子はのんびりと言う。
果たして楽しいだろうか?
輪太郎はリゲンのある世界に恐怖しか感じない。
コジロウがボスと同じように次元の裂け目を引き裂き、入り口を開けてくれる。
コジロウと京子はそこに颯爽と飛び込み、輪太郎だけ脱兎アメを舐めてから、もたもたと飛び込んだ。
今さら気が付いたけど未知の世界に行くのに脱兎アメ一つは必要となる。
切らしたら仕事にも行けない。
まるで交通費だ。
ううむ、脚立でも買って置いておこうかしら。
未知の世界に入ると、前回と同様に天を突くような大木が生えている砂漠に降り立った。
「へえ、凄い。それに空気が濃いね」
コジロウは感心していた。
「面白い世界だよね~。砂漠にこんな大きな木が生えているんだもの」
京子の言葉を聞き、この景色は異世界の常識ではない事を知る。
「さて、どっちに行くべきかな。ちょっと上から見て来るよ」
コジロウはそう言うと、5メートルほどの離れた二本の大木を蹴りながら行き来し、ピョンピョンと上に行ってしまった。
あっという間にコジロウの姿が見えなくなる。
横では京子がサングラスを外していた。
「とっさに固められないと危ないからサングラスは外しとくね。地球の時より力が強くなっているから、あまり私を見たら駄目だよ」
そう言う京子の横顔を見ただけで輪太郎は固まってしまった。
京子が動き、視界から顔が見えなくなってやっと動けるようになる。
これはけっこう厄介だなあと思った。
「じゃあ、京子さんは僕の後ろをついてきて」
「うん。わかった」
そんな会話をしていると、上からコジロウがドンと飛び下りてきた。
「ここは殺風景なところだ。でもあっちの方に山が見えたよ」
という事でコジロウが指した方にみんなで向かった。
お尻が痒くて夜中に起きる。そんな体験を最近している。




