サメ探し その5
サメを大型トラックの荷台に詰め込むと、ラスは一足に帰って行った。
輪太郎と京子は歩いてボスの屋敷を目指す。
「もう生き返っているなら隠れていないでよね。いじわる」
「隠れてたんじゃなくて海岸の方で生き返ったんだよ。たぶん黒芋虫は泳げないんじゃないかな。あとアスファルトの地面とかも破壊して出てこないじゃない。必ず近くの土の地面から出てくる」
「そうかあ。じゃあ置いてけぼりになってたんだね」
「そうだよ。海辺でずっと呼んでたのに気が付かずに行っちゃうんだもの」
「そうなんだ。ごめんね。気が付かなかった」
京子はにっこりとしながら謝罪していた。とても素直な返事で嬉しい。
「こちらこそ心配してくれてありがとう」
「パートナーだからね~」と京子は答えた。
ボスの屋敷の庭に着くと、サメの死骸の前でボスとラスが何やらやっていた。
サメの切り身に薬品を掛けているみたいだ。
そう言えば今回は初めてボス抜きで異世界の生物を倒している。
思い返してみれば、今まで自力で倒したのは改造人間木下くらいなので異世界の生物では初めてなのである。
スペアボディ1体にイチコロチーズとチョコッと集中を使ったので経費は106万イェンである。
今回はラスにも手伝ってもらったので三等分するとして報酬が318万イェン以上で黒字だ。
さあ、いくらだろう。
テストの答案用紙が返ってくるような緊張感が輪太郎を包んだ。
そんな輪太郎を尻目にボスとラスが会話をしている。
「リゲンの反応が少し強いですな」
「マヴィスの辞典にこのサメは乗っているか?」
「ちょっと似たのはいますけどね。これが同種かは専門家じゃないとわかりませんな」
「ふむ。海の生物が地球に来ていたか」
ボスはそう言うと何やら考え込んでいた。少しして口を開く。
「ご苦労だった。今回の報酬は500万イェンだ」
それを聞いて『やった黒字だ』と輪太郎は喜んだ。
「あ、ボス。そう言えば今日カルガを見たのですが、連れて来る前に消えてしまいまして」
「消えた?」
そう言うとボスは力強くこちらを見てきた。
怒っているわけではないのだが、檻のない場所でライオンと見詰め合っているような怖さがあった。
「そ、そうなんですよ。光っているところから出てきたと思ったらお母さんを連れて、すぐその光に帰ってしまいました」
「そこの場所はわかるか?」
「はい。大体わかりますけど」
「よし、今から行くぞ。案内しろ」
そう言われたので、すぐさま輪太郎たちはまた御池田畑の海岸に行くことになった。
それにしてもボスのカルガに対する反応が凄い。
そんなにカルガに会いたいのだろうか?
いやカルガの住んでいる場所に興味があるのかもしれない。
そう言えば前にキルミにどこから来ているのかを聞いていた気がする。
ボスは異世界の生物を僕に捜させているが、ボスはその異世界の生物がどこから来ているのかを知りたいのかもしれない。
風邪も引いてしまい喉が痛い。そして帯状疱疹でお尻も痛い。そんな今日この頃。




