サメ探し その1
ある日の朝。
輪太郎があくびをしながらリビングに入ると、父さんがテレビを見ながらトーストを食べていた。
「サメが御池田畑の海岸で出たらしいぞ」
「そうなんだ」
そう言いながら、輪太郎は自分の椅子に座り、オレンジジュースを飲んだ。
「バカでかいらしいぞ。ジョーズの映画並みかそれ以上だと」
「へえ、怖いね。冬でもあの海岸ってサーフィンしている人がいるんでしょう?」
「しかも角が生えているから新種のサメらしい」
「へえ、凄いな。そんなサメが御池田畑にいるんだ」
輪太郎はそう話しながらふと疑問に思った。
あれ? もしかしてそのサメってマヴィスのサメなんじゃないかと。
「犠牲者が出ないといいな。少しの間、サーファーが減るかも知れないけど、御池田畑の新しい名物になるかもな」
と父さんはのんきに言っていた。
その日にボスにサメがマヴィスの生物なのではという報告をした。
そして、5日が経ち、そのサメを捕獲しに輪太郎は豪華クルーザーに乗っていた。
上流階級がパーティでも開きそうなほどの大きなクルーザーで、そこに乗っているのは、輪太郎と京子とラスの3人だけである。
朝日が昇り始めた海をクルーザーで颯爽と走り抜けるのは気分が良かった。
きらきらと光る水面の上をカモメが飛んでいる。
「地球の乗り物は乗り心地が良くて、安くて最高やな」
ラスが上機嫌で運転していた。
前はトラックも運転していたし、免許を持っているかはわからないが、ラスはなかなか器用である。
「いくらしたんですか。この船?」と輪太郎が聞く。
「10万イェンぐらいやったかな」
日本円で約5臆だ。どおりで無駄に高級感があるはずである。
今日のラスはトラックを運転していた時と同じでピンクの宇宙服姿をしていた。
ボンベも背負っているのでここからリゲンを取っているのだろう。
「ボスからあの黒いネックレスを借りなかったんですか?」
「あほ。もし万が一なくしてもうたら1臆イェンの弁償をせなあかんがな。怖くて借りれるかいな」
なるほどそれは困る。と2億7千万イェンの借金を背負ってる身として輪太郎は深く同意した。




