京子の日常 その2
学校に着くと、多くの女子から挨拶される。
まだ少ししかいないけど結構打ち解けた感じがする。
あとどれくらい地球の学校生活が出来るかわからないけど、嬉しいことだ。
反対に男の子からは視線は感じるのだけど、なかなか声は掛けてこなかった。
ちゃんと会話できるのはリンちゃんくらいである。
男の子は本能で私を異世界人だと感じているのだろうか?
教室に入ると、リンちゃんと真居子ちゃんが話をしていた。
真居子ちゃんは私と会うといつも緊張した面持ちになり、無口になることが多い。
もっと仲良くしたいのにな。
「もう具合は大丈夫なの?」とクラスの女子が聞いてきた。
「うん。もう平気。ありがとう」
学校の勉強で数学や物理や化学などは聞いていてチンプンカンプンだった。
地球語を話しているように思えない。
その点、国語や社会、歴史などは面白い。
地球の事が学べるからだ。
しかし、地球の学校は衣食住に関しての勉強がほとんどない。
一番大事な事だと思うのだけど何故だろう?
もっと幼い時に習っているのかしら?
体育の授業はいつも見学している。
本当は参加したいのだけど、絶対にぼろが出るとリンちゃんに止められているのだ。
「もし京子さんが体育の授業に出るだろう? それでこれくらいは大丈夫だろうと思って凄い動きをして、体育の先生の目に留まる。本気を出さなくても陸上なら世界新記録を連発すると思う。その内にオリンピックのお誘いが来て、京子さんのルックスがテレビに出て、芸能事務所からもお誘いが来て、各地からスカウトが来て、もうヒドイことになるから体育は見学した方がいいよ」
こんな風にリンちゃんに言われたので、退屈だけど見ているだけだ。
でも確かに体育のバスケットボールをみんながやっている姿を見ていると、地球人は自分の身長もジャンプ出来ない事がよくわかる。
もし私がちゃんとバスケットボールに参加で来たら、コートのどこからでも助走なしでダンクシュートを決められる自信がある。
問題があるとしたら、つい力が入ってバスケットボールを握りつぶしたり、バスケットゴールを破壊したりする可能性が高い事だろう。
でもみんなと一緒に楽しみたいなあ。
お昼のお弁当はおにぎりを三つ、笹の葉に包んで持ってきている。
「京子さんって古風だよね」とクラスの女子から言われた。
学校が終わると、仕事が始めるまで少しの空き時間。と言っても1時間くらいだけど。
気が向いたときは、タクシーに乗って買い物に行く。
変わった服が多いから楽しいのだけど、地球の物は脆くて着ると大体一回で破れちゃう。
このセーラー服だって、マヴィス製で、地球の奴を真似したものだ。
一回、おしゃれで胸ポケットにムカデを入れて置いたら、すぐにリンちゃんに捨てられた。悲しい。
サングラスも予備でいつも3個持っている。
最近、眼鏡屋に行くと新しいサングラスを勧められるが、いつも出来るだけ目が隠れる大きいサイズの物を買う。
地球のお金はラスに言えば換金してもらえる。100イェンも換金すると大体の物が買えるので、お得な感じもする。
でもすべて使い捨てのように脆いけどね。




