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京子の日常 その1

京子は地球ではボスの屋敷の一階に住んでいた。


朝起きると、歯を磨き、髪を櫛でとく。

最近は朝食をリンザさんが作ってくれるため、つい甘えてゆっくり寝ている。

まだ少しリンザさんの呪いは怖いけど、実際に接しているといい人過ぎて、どんどんと仲良くなってしまう。


朝食はコジロウさんとリンザさんの部屋で一緒にいただく。

今日はサリーサンマの塩焼きと、ママキノコの味噌汁にサラダと納豆に漬物が出た。

リンダさんの料理はホッとする味がして、とても美味しい。

ラスさんもリンダの料理を食べているのだけれども、呪いを怖がって一人別の部屋にいる。

ボスはたまに地球の食べ物をコンビニで買って食べているらしく、リンダさんの料理を食べていない。

地球の食べ物で栄養は取れないと思うのだけで、平気そうなので不思議だ。


 食事を終えると、学校に行く準備をする。

セーラー服に着替えて、今日は寒いのでコートを羽織る。

あとサングラスを忘れずに。


 京子は屋敷を出ると、ゆっくりと歩く。

あまり大きな道路ではないが、たまに車が通る。

たまに車と競争したくなるけど、目立ってはいけないので我慢する。


「ああ、困ったわ。どうしよう、どうしよう」


 見ると車の近くに女性が立っていた。

その女性の足元に6歳くらいの男の子が引っ付いている。


「どうかしました?」


「溝にタイヤをはめちゃったの。こういう時はどうしたらいいんだろう?」


 そう言いながら女性はオロオロしている。

見ると車のタイヤ後輪が溝にはまっていた。

かなり小さい車である。


簡単に持てそうな気がするけど、困っているという事は地球人じゃあ持てないのかしら? 

それとも地球人の女性だから持てないのかな? 

私が溝から出してあげたら、変に思われるかなあ?


そう思いながら、京子はバンパーを片手で持って軽く力を入れると、車の後部が簡単に持ち上がった。


あ、こんなに軽いなら、男の人なら楽勝よね。


京子は溝から車を出してあげると、子供を連れた女性が目を丸くしてこちらを見ていた。


あら? 不自然だったかな?


「私、男並みに力持ちなんですよ」


 そう言って笑顔を作った。これで誤魔化せたはず。


「え? あ、そうなのね。ありがとう」


 そう言いながらも、女性はビックリした表情のままだった。

少し離れてから、もう一度見ると、その女性も両手で車を持とうとしていたが、ピクリとも動いていなかった。


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