ライカ組の襲撃 その7
「君は少しは骨があるかい?」
「武人だからってライカ組舐めてんじゃねえ!」
サイガの顔へのパンチをコジロウは軽くかわしたが、すぐさまの腹へのパンチがコジロウにヒットする。
少しコジロウは顔をゆがませると、掌底を下から上に当てて、サイガを空中に浮かせていた。
どさりとサイガは落ち、痛みに耐えるうめき声を出した。
「筋はいいね。君も武人を目指したらいいんじゃないか。まだ若そうだし」
「うるせえ。サーライト家のような恵まれた家のボンボンがわかった口をきいてるんじゃねえ」
そう言ってまた二人は格闘した。
サイガの攻撃はほとんどいなされ、一撃きつい攻撃をコジロウがすると、サイガはうずくまり、咳き込む。
「恵まれたと言っても、自由はないし、毎日父さんにこんな感じで鍛えられていた人生だからね。私から見れば好き勝手やっている君に羨ましさもあるけど」
「毎日、良いもん食べてるやつがふざけたこと言うな。俺は親父に拾われるまでまともな飯も食えなかったんだ。俺がここまで育ったのもライカの親父のおかげなんだよ。だから親父の顔に泥を塗ったやつに落とし前をつけさせねえと俺は自分を許せねえんだ」
サイガはまたコジロウを襲ったが、実力差があり過ぎて、無駄だった。
攻撃を受けて転がされる。
それが何度も繰り返された。
サイガの根性はすさまじく、勝てない戦いをやめようとはしない。
「兄貴、もう死んじまうよ。やめてくれ」とライカ組の組員が言うが、サイガは聞かずに何度も攻める。
その時に輪太郎と京子はボスの庭に付き、コジロウの戦いを見守る。
「あれ? もしかしてコジロウさん全員と戦ってる?」
「今は一体一で戦ってるようよ。でも勝負になってないかな。武人だけあってコジロウさん強いね」
そしてちょうどその時に、二階からボスがトンッとライカ組の囲みの輪の中に降りてきた。
「ふむ。なかなか根性がある。コジロウはもういいぞ」
「あ、わかりました」
そう言ってコジロウが移動すると、ライカ組が逃げ出し、囲みが解けた。




