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ライカ組の襲撃 その1

そして次の日、じらすこともなくライカ組の組員が攻めてきた。


その日、ライカ組が攻めて来る可能性を考え、輪太郎はボスの屋敷の周辺を病み上がりの京子とパトロールしていた。

京子は学校には来なかったが仕事はするみたいだ。

もう日も沈みかけている。

まさに逢魔が時で不安な気持ちになる。


「体調は大丈夫?」


「うん、もう平気よ。何なら私も戦いたいくらい元気」


 そう言うと京子はシャドーボクシングをしてみせたが、遊びで出しているだろうパンチが輪太郎には全く見えない。

怖いぐらいの風を切る音がした。


「もし京子さんが戦ったら、どれくらい勝てる自信ある?」


「そうだね。地球でなら10人くらいは楽勝だと思うよ。メディー族は地球では最強の部類だからね。でもさすがにボスには勝てる自信がないなー」


 京子にも助けてほしいと輪太郎は心の底から思った。

何せ化け物みたいな人が来ても京子に固めてもらってチュッパナイフで安全に倒せるからだ。

一人で戦うとなるとドーピングアイテムを使用しても心もとない。


「あ、あいつらライカ組かも」と京子が声を上げた。

見るとガラの悪そうな男たちが20人、ボスの屋敷に向かい堂々と歩いてきている。


「じゃあ、京子さんは隠れていて。しかし、20人も来るのかよー」


 輪太郎は悲壮感の漂う声で言うと、まず崖っぷち納豆と割り箸を取り出した。

茶色い笹の葉のようなものに包まれた納豆を箸で30回混ぜて、口に入れる。

全身が喜ぶような旨味が口の中に広がる。


「混ぜると滅茶苦茶うまいな」とつい呟いてしまう。


 次はムサシスナック棒をサクサク食べる。

これも美味しい。

口触りがとてもさわやかで溶けてなくなった後味がとても幸せだった。

そしてチョコッと集中も食べる。

濃厚な甘みが舌を喜ばし、脳をとろけさせる。

何か最後の晩餐をしているような気分だ。

次にカチコチキャンディーをナイフの柄で叩いて砕くと口に流し込み、ついでに脱兎アメも口に入れる。

これでパワー、スピード、反応速度、防御力に耐久力が上がった。

 

どんどんと近づいてくるライカ組の組員の中にトシカもいた。

案内役だろうが戦闘に参加するのだろうか? しかし、マヴィス人と一目でわかる人物が二人いた。

身長が2メートルを超えていているが、横にもでかいのである。

2メートル越えのムキムキの相撲取りと言えばいいだろうか。普通に道で出くわしたら、愛想笑いして道を譲る自信がある。


「もう少しで着きます。あの屋敷ですよ。屋敷にはリゲンが漂っているのを確認してますから」


 そう言ってトシカはペコペコしながら案内していた。


「走る元気も出ねえや」と言うつぶやきが聞こえる。

どうやらライカ組は堂々と攻めてきている訳ではなく、地球という環境にかなり弱っているらしい。


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