木下再び その2
「ええっとキャプテンジャポンさん?」
「ジャパンだ。てめえ、こんなに強くなった俺を馬鹿にすると本当に死ぬぞ」
「ああ、悪い悪い。羨ましいからその神様の特徴をもう少し教えてくれよ」
「お前も会おうとしても無駄だぜ。俺の女神様だからな」
「女神ってことは女の人だったの?」
「ああ、凄いエロくて美人だった」
それを聞いて、木下はキルミに会ったのだなと輪太郎は思った。
「どうやってその力を貰ったの?」
「いや、よくわかんねえけど気が付いたら強くなってたんだよ」
「いつ?」
「昨日だよ。お前興味津々だな。そりゃ羨ましいもんな」
そう言って木下は不敵に笑った。
ドーピングアイテムは物によるが大体10分から30分で効果が切れる。
生き返ったときのパワーアップも10分くらいだ。
昨日から強いままの木下は一体どうなっているのだろう?
「こんな力を持ってしまったら京子さんを幸せにする未来しか見えねえ。俺は京子さんに告白する。恨みもあるからその前に軽くお前をぼこっておこうと思ってな」
「ええ、強くなったんなら僕を相手にしなくてもいいじゃない」
そう言いながら輪太郎はカチコチキャンディーを舐めた。
舌を出して舐めるか、口に入れるか考えてしまう微妙な大きさだ。
口に入れると口先から棒が飛び出た。
「てめえ、アメ食ってるんじゃねえ!」
フォームはめちゃくちゃだがプロボクサーのような速さで木下の拳が飛んできて、顔面を殴られる。
そこそこ痛い。
キャンディーを舐めていたせいもあるが口の中を切ってしまった。
カチコチキャンディーでかなり固くなっている輪太郎にダメージを負わすほどのパンチだ。
本来なら恐ろしい破壊力である。
ヘビー級ボクサーのパンチよりも強いかもしれない。
口から一度キャンデーを出す。
「おい! 少しは加減しろ! 僕じゃなきゃ死んでたぞ!」
輪太郎の剣幕に一瞬木下はたじろいだ。
しかし、すぐいやらしい笑いをする。
「うるせえよ。俺を馬鹿にするからそうなるんだよ」
頭に血が上っている輪太郎はキャンディーを口に入れると木下に殴りかかる。
しかし、軽くよけられてしまう。
「おっせえ、パンチ」
そう言うと木下が思いっきり輪太郎の腹を蹴り上げた。
2メートルほど宙に浮かされ、腹にじんわりと熱い痛みが走る。
また蹴られて吹き飛ぶ。
これも普通の状態なら内臓が破裂して死んでいただろう。
輪太郎はキャンディーを口から出した。




