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木下再び その1

学校の授業が終わり、帰ろうとカバンに教科書を詰め込んでいるときに、あまり学校に来ない木下が教室に入ってきた。

まっすぐ輪太郎のところにやってくる。


「おい、漆。ちょっと来いよ」


 木下はそう言うと、先に教室から出てしまう。

木下は京子ファンクラブの一員で、前に輪太郎と京子の仲が良いのに腹を立てて、喧嘩を売ってきたのだが、返り討ちにしている。

ドーピングアイテムを使って敵わない事を見せつけてたのに何の用だろう? と輪太郎は思った。


「リンちゃん。さっきの子から微かにリゲンを感じたわ」


「え? どういう事?」


「わからないけど、そう言うことだから少し気を付けて。それか私が片付けようか?」


「いや、大丈夫だと思うよ」


 そんな輪太郎と京子のやり取りを相変わらず不満そうに真居子は見ていた。


 輪太郎は木下についていくと、前回と同じで人気のない校舎の裏に着いた。


「漆、聞いて驚くなよ。俺は昨日女神様に会ったんだ」


 木下がいきなりそう切り出した。


「へ? どういう事?」


「会ったんだよ、女神様に。力をくれてやろうってな。それでこんな力を貰ったんだ」


 木下はそう言ってからそこそこ大きな木の一部をメキメキと握り潰して見せた。

物凄いどや顔をしている。


「スピードだってすごいんだぜ。俺は今地球で一番強くなってしまった。格闘技デビューしたらお金もガッポガッポだ。いやスーパーヒーローにでもなれるかもしれない。キャプテンジャパンだ!」


 輪太郎は木下の考えたヒーロー名に吹き出しそうになったが、何とか堪えた。

確かに木下にリゲンの力が入っているようだ。


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