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コジロウとリンザ その2

コジロウはスターチ国の武人らしい。

日本の武士の身分とは違い、職業のようなもので、その名の通り武を司る戦闘員だそうだ。

しかも武人は人口3000万人のスターチ国で300人ほどしかいないらしい。

「それじゃあコジロウさんはスターチ国で300番以内に強いってことなんですか?」と輪太郎は驚いて聞く。


「王のために戦って命を投げ出す、それが武人さ。まあ確かに弱かったら務まらないけど、スターチ国で300番以内かはわからないよ。武人じゃないけど京子さんのように強い人はいるし」


「え? 京子さんはコジロウさんより強いの?」


「状況によるけど固められたら負けるよね」


 さらっとコジロウはそう言った。

やっぱりそう言うもんかと輪太郎は納得する。

京子は初めての異世界のパートナーだからいまいち凄さがわかってなかったけど、やっぱりあれはチート能力だよな。


 そしてモラル族のことももう少し詳しく教えてもらえた。

モラル族の女性は心を開いた人に裏切られたと感じると、その人を呪い殺してしまう。

そして、モラル族の男性は死ぬ間際に一人だけ、一番憎い相手を道連れに呪い殺せるらしい。

どちらも物騒だが、モラル族の男子は恨まれなければいいのでまだ付き合いやすそうだ。

それにモラル族同士には呪いは効かないらしい。

それを聞いて輪太郎はそうだよなと思った。

そうしないと両親は自分の娘にすぐに呪い殺されてしまう可能性がある。

そう言う能力のため、基本、モラル族は同族と友になり結婚することが多いらしい。

そしてモラル族の女性は簡単に心を開かないよう、また裏切られたと感じぬように教育されるそうだ。

何とも生きづらく可哀そうな種族だと輪太郎は改めて思った。



 食事会が終わり、輪太郎はラスの店に来ていた。

新商品でもあればいいなと思ったのである。


「ああ、そうそう。あんさんに話があるねん」と店に入るとラスに話しかけられた。


「借金の利子のことやねんけどな」


「え? 利子あるんですか」


「そりゃあ、借金に利子に付き物やで」


 それを聞いてやばいと輪太郎は思った。

利子はないものだと思って借金を1イェンも返していないからである。

利子がなければ三億イェンが貯まるまで手元に置いた方が、いざというときに安全だと思っていたが利子があるなら話が変わる。

元本を減らさないと利子が多くなり損だ。


「利子っていくらですか」


「良心的やで。月にたったの0・1%」


 確かにそこまで高い金利ではない。年間1・2%の金利で借りるなど銀行でも無理だ。

今の時代だと安くても3%、高いと18%ほどの金利が掛かる。

ただし、三億も借りている僕の場合、0・1%でも死活問題だ。

3億の0・1%は30万である。

毎月30万イェン利子で払わないといけない。

年間で360万イェン。

そして特別報酬がない場合の僕の収入は年間365万イェンだ。

毎日休みなしで働いてほぼただ働きは辛すぎる。


「一度返して、また借りるなんて出来ませんよね?」


「そらあ、厳しいな」


 輪太郎は悩みに悩んで3000万イェン返すことにした。

少しは残しておかないと今後が心配である。

何せ異世界の生物には何かのはずみで殺されかねない。

という事で輪太郎の所持金は減り、借金も少し減ったのである。


 11月30日現在の輪太郎の持っているアイテム

ムサシスナック棒  4本

カチコチキャンデー 4個

脱兎アメ      8個

チョコと集中    4枚

うまいドリンク   4本

崖っぷち納豆    4個

紫プチトマト    3個(2個購入)

イチコロチーズ   4個

夜道のイチゴ    2個

豊作人参      4本

炎玉        3個

スペアボディ    11体

所持金      1170万イェン

借金       2億7000万イェン


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