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ストーカー真居子 その3

「キルミ」と京子が叫んだ。サングラスを外す。


 キルミと京子の目が合い、キルミは固まった。


「5秒」と京子は叫び、真居子を背負うと走り去って逃げていく。

5秒も固めれらたのか。

ユイはリゲンの空気を吸って1秒だったので、ユイと比べれば京子の能力は段違いである。


5秒あり、この距離ならチュッパナイフで倒せるかもしれない。

チュッパナイフを取り出そうと思った時に、すでに利き腕の右手がキルミに握られて、動かせない事に気が付いた。

すぐに左手でポシェットのチャックを開けようとするが、掴まれている右手と踏みつぶされている左足のため、なかなか動きが取れず、焦りだけが増していく。

見るとキルミはまたあの黒い宝石のネックレスをしている。前にボスに一億円で買ってもらったものと同じものに見える。


このネックレスだけでも取れないだろうか。


そういった余計なことを考えて、混乱し、輪太郎はキルミの胸に挟まるネックレスを触ったところで5秒が経っていた。


「若いから触りたくなるのはわかるわ」


 キルミは優しく言う。


「でも勝手にレディの胸に触っては駄目よ」


 そう言いながらキルミは輪太郎の両腕を一瞬で引きちぎっていた。


 痛みというより衝撃だけが輪太郎の脳に響く。

そして自分の両腕が後ろに捨て去れるのを見て、喉の奥から嗚咽が漏れる。


「そう言えばあなた前に生き返っていたわね。顎も砕いたはずなのにきれいなものね」


 そう言いながらキルミは輪太郎のほほを両手で優しく包み、キスをした。


 痛みを今度は感じた。

グロテスクな両肩はじんじんとしびれているが、口はやたらと痛い。


 キルミの舌の上で輪太郎の下唇が転がっている。

やらしくキルミは舌を動かし、その後に輪太郎の唇をごくりと飲み込んでいた。


「こういうキスが好きなの。あなたとだと何回でも出来るのかしら?」


 男は死を感じると子孫を残したいという本能が出て、勃起することがある。

輪太郎も勃起していた。

輪太郎の場合、死を感じたからなのか、キルミの妖艶な美しさからなのかわからない。


 キルミは輪太郎の勃起した股間を「フフッ」と笑いながら触っていた。


「あんまり俺の部下をいじめるのはよしてくれないか」


 輪太郎の後ろからボスの声が聞こえた。


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