表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/64

メッシロ・ユイ その4

輪太郎はまた死に、黒芋虫から新しい体が吐き出されて、生き返った。

新しい体のため力は溢れてくるが、しばし輪太郎は動けない。

死神の通り道に間違って立ってしまった気分だ。

何が起こっているのかほとんど理解できずに二回も死んでしまった。

残るスペアボディはあと2体である。

ケチケチしてスペアボディを買わずにいたが、こんな事が起こるのであれば補充しておかなければまずい。


「輪太郎さん、大丈夫ですか?」


 ユリが黒いペンダントをしながら、こちらに駆けてきた。


「ああ、何とかね」


「ボスに連絡してきましたので、そろそろ来てくれると思います」


「その通り」


 いつの間にかボスがユリの隣に立っていた。

そしてユイのペンダントをジッと見ている。


「こんな道具があるとはな。このペンダントを持っていたのはどんな奴だ?」


「グラマーな美女でした。それにキルミと名乗ってました」


「キルミ? まさかあのキルミか」


「ボス、心当たりがあるのですか?」とユリ。


「伝説の女だ。不老不死で何千年と生きている。不思議な力を持ち、救われたものもいれば殺されたものもいる。気まぐれでわがままで面倒を起こす。まっとうに生きたいなら関わってはいけない女だな」


「異世界では不老不死の人がいるんですか?」と輪太郎が聞いた。


「いない。マヴィスの最高齢者で312歳。平均寿命が200歳だから地球人よりは長生きだが、不老不死になる秘術などはない。例外はそのキルミって女だが、神話、伝説の類で本当に実在しているかはわからない」


「じゃあ、さっきの女はその伝説の女の名を語っていただけなのですか?」とユリが発言した。


「実際に会ってユリはどう思った?」


「普通の人ではないと感じました。綺麗だけど今まで見た事ないような薄気味悪さがありました」


「そうか。それにそのペンダントも高度で未知の技術が使われている。その女が本物のキルミであってもおかしくはない」


 そう言うとボスはユリからペンダントを受け取り、しげしげと眺めていた。


「今回は二人ともご苦労だった。このペンダントは貴重だ。一億イェンで買い取る。二人で分けてくれ」


 ボスはそう言うと、さっと行ってしまった。

そのボスの言葉に輪太郎とユリはぽかんとしている。


「え? 今ボス何て言ってました? 私の聞き間違いかな?」


「一億って言ってたね」


「一億? 分けるってどうやって分けるんですか?」


「そりゃあ、半分でしょう。五千万ずつだね」


「えー! 私の家の貯金が50万もないのに、急に五千万イェン! えー!」


 何かとクールなユリがてんぱっていた。

京子のお手伝いのバイトをしていただけなのに、いきなり五千万も手に入ったのだから仕方がないのかもしれない。


「お、お、お姉ちゃんに教えないと。私、帰りますね。今日は本当にありがとうございました」


 そう言うと輪太郎の返事も待たずにユリは走って行ってしまった。

京子に比べて大人びていると思ったけど、なかなか可愛らしいなと輪太郎は思った。


 しかし、これで輪太郎の所持金も5257万イェンになる。


 借金を返すのも考えないといけないが、まずスペアボディやドーピングアイテムをしっかりと補充しないとなと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ