プロローグ
小説をかくのは初めてなのでへたくそな文章ですが読んでいただけると嬉しいです。
プロローグ
鋼と鋼がぶつかりあう音。飛び交う殺気。地面にはぬめりけのある赤い液体。剣で切り裂きあう多くの兵たち。ほんの三時間まえまでそこにあった村も広がる戦火に呑まれてしまった。この戦場はまさに『地獄』そのもののようたった。
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「ん、んふぅー」
朝、木で縁取られた窓から差し込む光で少年が目を覚ます。少年が窓の外をみるとまだ朝早いにもかかわらず多くの人が行きかっていた。それはここルワンダ大陸最大の王国、リンシア王国の王都の朝にふさわしいのかもしれない。
少年は寝ていたベッドから体を起こすと立ち上がり一階へと続く階段を降り、廊下を通って洗面台で顔を洗い鏡を見た。鏡にうつっていたのは明るめの茶色の髪に青い瞳中性的な顔立ちをした、どこか優しそうな雰囲気をただよわせた少年だった。
顔を洗い終えた少年はリビングへと向かった。
「おはよう、マティ」
「おはよう、父さん」
リビングで声をかけてきた三十歳ほどの茶髪青眼の男は少年の父オーダス・エスタスだ。そしてこの少年の名はマスティアス・エスタス愛称はマティだ。
マティはテーブルにある朝食を見て椅子にすわる。今日もいつも通り朝食はトーストとベーコンとサラダのようだ。
「いただきます」
マティは朝食を食べ始める。すると父のオーダスが話しかけてくる。
「今日も剣を振りに行くのか?」
「うん!僕は騎士様になるのが夢だからね!」
「それに早く新しい剣を振ってみたいしね!」
マティは昨日十歳の誕生日を迎え新しい木剣を父に買ってもらっていたのだ。
「そうか、頑張れよ」
とはいったもののオーダスは少し複雑な気持ちだった。というのもオーダスは精霊研究のスペシャリストでありオーダスの研究結果を狙ってきた他国の騎士などと相対したことや研究資料収集のために戦場に居合わせたことが何度かあり、騎士の死ぬところを何度もみたことがある。息子が騎士という危険なものになりたいといっているのを心配するのは親としては当然のことだろう。
「ごちそうさま!」
マティは一度二階へとあがり着替えて背中に木剣をせおってリビングへと戻ってきた。
「じゃあ行ってくるよ父さん!」
「ああ、ただ迷子にならないようにするんだぞ」
「うん!」
そういってマティは玄関まで走っていき木でできた扉をあけて外へ走っていった。
「マティ、昔の俺は狂っていた本当にごめん」
オーダスはマティの出ていったあとの扉を見ながらそっと呟いた。
●
「ふぅー」
マティは外に出ると大きく深呼吸をした。
「今日もがんばろー」
そういって歩き始めた。外は、マティの家と同じような石と木でできた家が建ち並んでいた。マティは少し歩いたあとに走り出した。家からすこし離れた所にある噴水広場を走り抜け気づけば王都の門の前まできていた。すると門番の兵士がマティに気づいて話しかけてくる。
「おっ、マティ君今日も早いね森へ剣の練習にいくんだろ?」
「はい!」
「今日も頑張れよ!」
そういって快く門を通してくれた。門の外に出たマティは目の前に広がる草原に向かってまた走り始めた。
しばらく走るとマティは森についた。木々が鬱蒼と茂なかをマティは枝をかぎわけて進む。少し進むとそれなりにひらけた広場のような場所がある。ここがマティの剣の練習場所だった。
「よしっ!」
マティは剣を振り始めた。まだまだ振りは遅いが形はそれなりに出来ている。同じ振りを何回も何回も続けて振りを洗練させてゆく。
何回振っただろうかマティはもう疲れてきていた。
「はぁー、疲れた」
「そうだ!今日は少し奥までいってみよう!」
思い立ったように言ったマティは来た道とは逆の木々をかぎわけて進んでゆく。
どれくらい進んだのだろうかマティは無我夢中になって進んでいた。マティは立ち止まり、
「あれ?ここどこだ?」
見事なフラグ回収である。今朝の父親の言葉など頭にもないのだろう。
ポツリ、ポツリ、ポツリ、
「雨が降ってきちゃったよ、雨宿りしないと」
マティは近くにあった木々の間にある小さな洞窟に入った。雨が少しずつ強くなってきたのでマティは少し奥へと進んだ。
「あれ?なんだ?あれ」
洞窟の奥に何かが奉られたような祠のようなものがあった。
『汝、我の力を欲するか?汝の器が我に合うのならば契約してやろう。』