想定外の上に人外ときましたか
「静かにしろ!見て分かるように今日からこのクラスに新しい仲間が増えることになった。クラス替えがないうちには貴重な変化だな。卒業まで後2年ちょっと仲良くしてやってくれ。では自己紹介をよろしく頼む」
「花咲芽生です」
教壇でぺこりとお辞儀をする私。クラスの歓迎の雰囲気とは異なり、私の顔はこの上なく無表情である。
(やばいやばいやばいやばい!が、頑張れ私。絶対に変な反応をしてはダメだ。無表情を貫くんだ!)
「花咲。自己紹介は以上か?」
担任の戸惑いの声に時間切れかと下げたままだった顔をゆっくり上げる。そして見えてくる景色に盛大に顔をしかめる。頭を下げてる間だけでは覚悟をするにも表情を固定するにも全然時間が足りなかった。
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黒柩 レイ
始祖の血を引く半ヴァンパイア。人間で在りたいと願う本人の意志とは反して日に日にひどくなる吸血衝動に悩まされている。
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大神 亮
自覚のない狼男。大人しく無口。実は満月だけでなく感情の高ぶりによっても変身してしまうのだが、それを知るのは同室の薫のみである。
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不士見 薫
贖罪のアンデッド。亮を常に見守り、密かに感情のコントロールをしている。満月の夜は狼に変身した亮を文字通り命を賭して押さえつけている。
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鞍馬 大和
俺様天狗。態度とは裏腹に度を越した努力家。他者と自身を分けて考えることが苦手で、出来ない者には努力が足りないと度々無茶な要求をする。
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朧木 筒音
高潔な妖狐。古来よりある名家の娘。他者を見下し、自分の思い通りにならない物や人を嫌う。厄介なことに自身の発言に多大な影響力があることを理解していない。
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し、死んでしまう。これダメなやつだ。絶対年齢制限あるタイプの乙女ゲームだ。
フェードアウト先が別の、それもやばい匂いぷんぷんな乙女ゲームってどういうこと!
「花咲。聞いてるか?」
「あ、すみません。ちょっと緊張してしまって」
こうなったらやることは一つ!
「みなさん・・・。“短い間”ですがよろしくお願いします!」
なにか起こる前に消える。
そう
フェードアウトは迅速に!!