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よろしい。ならば転校だ!

 「皆さん、今まで本当にありがとうございました」


 教壇でぺこりとお辞儀をする私。クラスの寂しげな雰囲気とは異なり、私の顔はこの上なく晴れやかである。


 (おっと、危ない危ない。まだここは別れを惜しむ感じの表情を維持しないと)


 頭を下げている間に表情を整え、ゆっくりと顔を上げる。

 驚き、戸惑い、困惑。クラスメイトが浮かべる悲しみの表情に自分が意外と人気があったんだなと驚く。1人物凄い形相でこちらを睨んでくる人がいるが、ここは無視をさせていただこう。

 とうとうこの時がきたんだ。やっとだよ!さぁ、言うぞ!逸る気持ちを抑え言い放つ。




 「私、転校します!」


 最後の最後で笑顔を隠すのに失敗してしまった。







 前世の記憶があるという訳ではないのです。いえ、もしかしたら前世の記憶からの知識なのかもしれませんが。ある日私は唐突に気がつきました。


 ここが乙女ゲームの世界だと。


 軽い頭痛とともに流れ込んできたモノはえらく断片的で、ストーリーやイベントなんかの知識はなく。ここがゲームの世界だという確信に近い感情と主要キャラクターの簡易プロフィールのみ。


 まぁ、これだけであれば何が起こるかわくわくと第三者として楽しめたのかもしれませんが。

 なんと、そのプロフィールの中に私の名前があったんです!


――――――――――――――――――――――――――――――――

 花咲はなさき 芽生めい


 明るい愛されメガネっ娘。新聞部に所属。その情報収集能力を生かしあらゆる場面でヒロインをサポートするぞ!

――――――――――――――――――――――――――――――――


 私である。明るくないし愛されでもない。さらに言えばメガネも掛けてはいないけれど、名前と頭に浮かぶ姿は間違いなく私のもの。なんてことだ。私は所謂サポートキャラだったのか!!


 私がサポートキャラ・・・。なるほど。それならばここ最近の不可解な言動にも説明がつく。あ、勘違いしないでほしい。不可解な言動と言っても私のじゃないよ?



 「ご、ごめん!そんなに嫌だとは・・・。で、でも似合ってたよ!これから毎日かけたらいいんじゃないかな。メガネ!」



 そう言って作った笑みを向けてくる。彼女のだよ!



――――――――――――――――――――――――――――――――

 春野はるの いぶき


 本作のヒロイン。

――――――――――――――――――――――――――――――――

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