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懐かしみの友

 学園に戻ると、グラウンドの真ん中に待ち構えていたかのように天王寺がいた。その周囲には数人の護衛らしき人物が。いずれも一筋縄ではいかなさそうな相手だった。


「これはすごい。まさか戻ってこられるなんて」


 そう言って手をたたいて賞賛してくる天王寺。戻ってくるとわかってたから待ち構えていたくせに何を言っているんだと思ったが、口には出さないでおく。

 天王寺のかなり後方には生徒の野次馬でいっぱいだった。さっきの放送を聞いていたので、なんのことか気になったのだろう。


「ですがそのボロボロの状態ではもう戦う気力も残ってないでしょう。だからといって僕は手加減しませんよ」

「ふん、来いよ。護衛をつけるぐらい俺にビビってる奴が勝てるわけがない」


 そうして俺は対峙する。お互い、一歩も動かないでいたが、先に仕掛けてきたのは天王寺だった。一瞬で距離を詰めてくると、怪我をしている腕めがけて大振りなパンチを繰り出す。俺はそれを軽くいなすと、天王寺の腕を掴む。


「さっきは数の暴力で押されていたが・・マンツーマンなら負けるはずがない・・ぞ!!」


 そのまま思い切り握力を込めると、天王寺が苦悶の表情に満ちていく。俺はその表情を見て一瞬高揚した。


「ぐぁあ!!は、離せ・・!!」


 そのまま天王寺が油断した瞬間、俺は腹部めがけて蹴りを入れる。そのまま天王寺は護衛たちまで飛ばされていく。その際、顔に傷がいき、一筋の血が垂れる。


「あ・・・僕の顔に傷・・」


 すると、それまで笑みを壊さなかった天王寺が豹変した。


「僕の美しい顔に傷が・・・・!!!き、キサマ・・・神崎裕人!!」


 ものすごい形相で睨んでくる天王寺に俺は嘲笑すると、構えを取る。

 あれが天王寺の本性ってわけだ。やっと化けの皮を剥がしたな。

 

「このまま僕が華麗に倒して終わらせるつもりだったがもう容赦はしない・・・おい」


 天王寺は低く鋭い声で護衛たちに命令すると、護衛たちは校舎内に入っていった。一体何をする気だ・・?

 そして、懐からダガーナイフを取り出す。それをみて生徒達から悲鳴が上がった。そして騒然となる。


「なんかの劇かと思ってたけど絶対違うってあれ!普通にひとりは血が出てるし刃物持ってるし、ただのけんかじゃないぞあれは!!」

「だ、誰か警察を!!」


 喧騒に目を向けた天王寺が生徒たちを睨みつける。


「うるさい人たちだ・・少し静かにしてくれよ。じゃないと、痛い目にあうぞ」


 刃物を持った天王寺が笑顔でそう言うと、野次馬達は悲鳴をあげながら一斉に逃げ出す。


「ちっ・・神崎ぃ!」


 そのまま天王寺が突進してくる。俺はナイフに当たらないようにして天王寺から避ける。そのまま何度もナイフを振りかざしてくるが俺はいとも簡単に避ける。



「く、くそ・・!なんで1回も当たらないんだ!!」


 次第にイライラし始める天王寺。やがて通用しないとわかったのか、もうひとつナイフを取り出す。


「もう一つ増やしたところで当たりやしないぞ」


 俺がそう言うと、天王寺はなぜか不敵に微笑んだ。俺は嫌な予感がして距離を取る。


「どうやら見つかったみたいだな。連れてこい!」


 突然天王寺がそんなことを言い出し、俺は警戒する。どうやら、誰かと話していたみたいだが・・。

 間もなく、さっきの天王寺の護衛たちが戻ってくる。そしてそこにはぐるぐるに縛られた咲良と理子が。二人共口まで縛られて動けないでいた。


「なっ・・・」


 俺は天王寺に向かって思い切り殺気を飛ばす。この時俺は初めて天王寺に怒りを覚えた。


「てめぇ・・咲良と理子になにする気だ」

「おっと待てよ。もし動いたらあの二人の首がなくなるぞ」


 護衛たちが二人の首元にナイフを当てる。まさか天王寺がそんな手に出てくるなんて・・!

 理子は刃物を首に当てられ涙が今にもこぼれそうになっていた。咲良はきつい表情で天王寺をずっと睨みつけている。


「くっ・・・下衆が」

「下衆?はぁ、まさか神崎くんにそんなこと言われるとはねえ。一時期は君もその下衆と同類だったんだから」


 天王寺は嘲笑すると、正門の外へと歩いていく。護衛たちが咲良と理子を担ぐとそのまま天王寺についていった。


「おい!何処へ連れて行く気だ!!」

「あーっと。動くと彼女たちの首がなくなると言ったはずだ」


 天王寺が理子と咲良のそばに寄る。


「本当なら神崎くんだけを始末すればそれで終わりなんだけど、気が変わったよ。この二人、僕の愛人にする


から。昨日から思っていたけど、本当に可愛いよね。こんな可愛い子、今まで見たことないから昨日はついつい口説いてしまったよ」

「なっ!?そんなことさせるわけ無いだろ!!」


 俺は思わず走りかけるが、ぴったりと首に当てられたナイフを見て静止せざるを得なかった。

 

「くそ・・」

「ふっ。まあ心配しなくても二人は僕がちゃんと愛してあげるから。僕が飽きるまでたっぷりとね。その後も


う一度神崎くんを始末しに来るよ。だからそれまで君はのんびりと生活しているがいいさ、ハハ!!」


 天王寺たちはそのまま学園の外へと出ていく。くっ・・動けば二人が殺される。だからといって動かないと二人は連れて行かれる・・。

 盲点だった。まさか俺の最大の弱点を突いてくるなんて。どうすればいい?俺はこれから何をどうすればいいんだ?誰か答えてくれ・・・頼む。

 しかし答えてくれる人などあるはずもなく、二人が車にのせられる。


「それじゃあね神崎くん。次会う時まで首を長くして待っているといいよ」


 そう微笑みかける天王寺。さっきまで激昂していたのが嘘かのようだった。

 そうして車のエンジンがかけられる。

 くっ・・・これまでなのか?咲良・・・・理子・・・!!

 二人は車の窓から俺にすがるような視線でこちらを見ていた。クソ・・・クソぉ・・・。頼む・・頼むから二人だけは連れて行かないでくれ・・・。

 しかし、発進するかに思われた車だったが、エンジンがかからない。


「あ・・?なんでかからないんだ」

「わかりません。さっきまでは普通だったのですが」

「ちっ・・早くしろ」


 天王寺が急かすがエンジンが一向にかからない。やがて、護衛のうちの一人が車から出て不備を確認し始める。


「(もしかしてこれはチャンスか?)」


 もしかしたらこれは神が俺にくれた二人を助ける最後のチャンスなのかもしれない。俺は全力で二人を助け出すための知恵を振り絞る。


「な・・これは導線ごとぶち切られてる・・・?」

「はぁ?そんなことがあるはずないだろう。ふざけているのか?」


 だんだんとイライラし始める天王寺。


「いえ、本当に導線が___ぐがァっ!!!」


 その時、突如不備を調べていた男がぶっ飛ばされる。


「ふぅー・・間一髪ってところか?」

「お、お前は・・・・」


 そこにいたのは、本来ならありえないはずの人物だった。


「よう、頭。久しぶりだな」

「玄三____!」


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