もうひとりの転校生
22話と23話が同じだという報告をもらいましたので、再投稿させていただきました。これが本来の23話目です。
朝。俺は教室内に入るとクラスの連中たちが騒がしいことに気づく。席に座ると高崎がやってきた。
「なあ神崎、聞いたか?また転校生が来るんだとよ」
「へえ、そうなのか。でもそれにしてはお前あんまり嬉しくなさそうだな」
俺がそう言うと高崎は深いため息をついた。
「当たり前だろう・・。だって男なんだから。見それにてみろよクラスの女子を」
高崎が指す指の方向を見ると、女子たちが色めき立っていた。
「私さっき転校生見ちゃったの!結構かっこいい人だったわ!」
「ほんとに!?やだぁ、私狙っちゃおうかな~」
なるほど。そういうことか。
「まあでも男子が来た時も女子みたいに騒いでたんだらお互い様だろ」
「いや、それでもこの学園にイケメンが増えるというのはいかんしがた理解できない!この学園にイケメンな
ど要らないんだ!」
そう熱弁する高崎だったが、女子からの非難を浴びておとなしくなる。
そこへ、担任がやってきた。皆が席へと戻っていく。
「えー、本当に珍しいことなんだが今日も実は転校生が来ることになっている。
それもまたこのクラスだ」
その言葉に騒がしくなるクラス内。担任は、手を打ち鳴らして静かにさせるとこう言った。
「じゃあもう皆も待ちきれないみたいだから紹介しよう。天王寺、入れ」
全員が教室の入口に注目する。やがて、一人の男子生徒が教室内へと入ってきた。その生徒は一礼すると、
黒板に名前を書く。
「天王寺 航。航と書いてワタルと言います。皆さんとはこれから1年間楽しくやっていけたらなと思っていま
す」
そして天王寺がにこっと微笑む。爽やかな美少年という感じだった。女子生徒が色めき立つ。
「くぅ・・、なんだあの爽やかなスマイルは・・・。あんなの女子なんて入れ食いじゃないか・・」
高崎が絶望したかのように机に頭を打ち付ける。見てて少し哀れだった。隣の東雲を見ると何か思うところ
でもあるのか難しい顔をしていた。
「天王寺・・?いや、まさかな」
「どうした?」
「いや、多分私の勘違いだろう。気にしないでくれ」
俺は再び天王寺を見る。特にこれと言って気になるようなところはないが・・。
その時不意に天王寺と目があった。一瞬口元をにやっとさせたかと思うと素の表情に戻る。
「・・?」
俺は少し疑問に思ったが、たまたまなのだろうと思い気にしなかった。
「えー天王寺の席は・・っておい天王寺?」
天王寺はそのまままっすぐ俺の方へと向かってくる。やがて俺の隣へ止まると、
「先生。僕は彼の隣でも構いませんか?」
「なんだー?知り合いなのか?」
「ええ、まあそんなところです」
「そうか。確かにそれならそっちのほうが都合がいいかもな。じゃあそこに座れ」
天王寺は担任にお礼をいい、そのまま俺の隣にへと座った。
勿論、俺は天王寺と知り合いなわけでもない。なのに何故彼は俺のところへ来たのだろうか。
俺が少し警戒していると、天王寺が謝ってきた。
「突然すいません。勝手にあなたのことを知り合いなどと言ってしまって。ここに座りたかったものですから
」
「ああ・・まあ驚いたけど別に気にするな」
そう言って天王寺を迎えてあげた。天王寺は俺にお礼を言うと、握手を求めてくる。
「改めて、僕は天王寺航です。宜しくお願いします神崎さん」
「ああ、宜しく__ってなんで俺の名前を?」
「ええ。入る前に名簿を見せてもらいましたので」
「そうか」
俺は天王寺の手を握り返すと、天王寺が微笑んだ。屈託のない笑だった。その様子を、クラスのみんなが見
ていた。
「ちょっとー神崎くんだけ天王寺くんと仲良くなるなんてずるいわ!私も天王寺くんとお喋りしたいのに!」
「神崎ぃ・・お前そっちの趣味もあったのか」
一部変なことを言っている奴がいたが、無視することにした。
「ええ。僕も皆さんとはもっと仲良くなりたいと思っているんです。ですが今から授業なのでそういうのはま
た休み時間にしましょう」
するとさっきまでうるさかった女子たちが一斉にはーいと言って静かになった。
そしてそのまま授業が再開されたのだった・・・。
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休み時間になると、途端に天王寺は女子たちからの質問攻めにあっていた。本来なら物怖じするはずだが、
天王寺はその質問の全てを丁重に相手にしていく。クラスの女子どころか、他のクラスの女子までもが天王寺
を見に来ており、教室はすごいことになっていた。
対照的に男子達はつまらなさそうに、その様子を眺めていた。
「あ~あ・・結局男は顔なのかよ・・」
「いや、顔もそうだが多分皆あの爽やかスマイルにメロメロなんだろ・・・」
「人あたりも良さそうだし、あれで頭も良かったらほんと非のうちようがないぞ・・・」
「あーでも確かうちの編入試験って相当頭よくないと入れないはずだぞ」
「まじか・・・。・・・・誰か奴に弱点を!!!」
「ちょっと男子うるさい!!少し黙ってて」
「すいません・・・」
女子に黙れと言われて静かになる男子一同。いや、女子も充分うるさいと思うんだけど。まあ、そんなこと
を言ったところで何か言われるだけなのでそんな面倒なことはしないが。いつの世も女は強い・・。
俺はうるさい教室を後にし、喉が渇いたのでジュースを買いに行くことにした・・・。




