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物事はそううまくはいかない

「ただいまー」


 家に着くと、理子が出迎えてくれる。


「お兄ちゃんお帰りなさい!」


 そしてそのまま抱きついてくる理子を受け止める。風呂上がりなのか、シャンプーのいい香りがした。

 理子は俺の胸に顔をうずめると、深呼吸をした。


「はぁ~・・・。お兄ちゃんの匂いがする」

「汗かいてるからくさいぞ」

「そんなことない、私お兄ちゃんの匂い好きだもん」


 しばらく抱きついたあと、理子は俺から離れる。俺は荷物を部屋に置くと、リビングで夕食の準備をし始める。


「ごめんな。すぐご飯作るから」


 理子はいいよいいよと言ってくれたが、お腹が減っているに違いないので俺はさっと作れるパスタにすることにした。

 出来上がるころになり、理子が咲良を呼びに行った後、俺達は遅めの夕食をとる。


「そういえば咲良。俺が行ったあと東雲と何か話したか?」


 まだ会って間もない咲良と東雲をおいていって、気まずくなっていないだろうかと思っていたが、咲良の言葉は意外なものだった。


「兄さんがバイトに行ったあとはずっと東雲先輩と色々話していたわ。最初は少し怖そうな感じしていたけれど、話してみるといい人だった。兄さんにあんな知り合いがいたなんて驚いたわ」

「失礼な。俺だって友達ぐらいいるよ」


 一応敵だけど妹の手前、友達ということにしておく。


「本当に?だって兄さん昔は近づくだけで皆から怖がられていて友達なんていなかったじゃない。正斗さんと玄三さんは別として」

「お兄ちゃん昔は荒れてたもんね~」

「昔はな・・・。って、昔も友達はちゃんと居たって」


 そう言うが咲良は取り合ってくれなかった。 

 なんで不良になったのかは今となってはもう覚えていないが、毎日喧嘩ばっかりしたのは覚えている。

・・・全員相手にならなくてつまらなかったけど。


「そういえば最近ここの治安が悪くなってきてるって友達が言ってたわ」

「え、お姉ちゃんも?私の部活の友達も柄の悪い人にカツアゲされそうになったってこの前言ってたよ。なんか、結構喧嘩沙汰も多いんだって」

「それは本当なのか?」

「うん」


 だとしたら咲良と理子を一人で帰らせるのはまずいかもしれない。俺が一緒にいてあげれればいいのだが、あいにくそうもいかない。


「まあ元々そんなに治安が良くないとは聞いてたが・・。

 とりあえず、理子と咲良は危ないからあんまり一人で出歩かないようにな」

「もう、お兄ちゃんは心配性だなぁ。大丈夫だって。もしそんな人たちが来てもちゃんと逃げられるから」


 陸上部だしね!と言って自慢げにそう言う理子。だがいくら理子の足が早いとは言え、男が相手なら追いつかれる可能性があるし。


「私はちゃんと友達と数人で帰ってるから大丈夫よ」

「まあそれならいい。もし何かあったらすぐに俺に電話するんだぞ」


 二人は頷くと、食べ終わったご飯を片付ける。

 しかし治安の悪化か・・。まさかとは思うが、東雲達の仕業じゃないよな?

 少し考えてみるが、そう言えば何度か俺と戦ったときいつも一人だったことを思い出す。

 まあ東雲はどっちかというと正々堂々と勝負するタイプに見えるし、恐らく関係ないだろうな。

 洗い物を終えると俺は風呂を済ませ、リビングでテレビを見ることにする。途中で理子もやってきていつものように俺の膝の上へ。すっぽり収まるのでテレビが見づらいということもない。


「あーやっぱお兄ちゃんの膝の上が、守られている感じがして一番落ち着く-」

「そうか?硬いだけだと思うが」


 そういえば理子も咲良も昔から膝上に座るのが好きだったな。咲良は年頃になってからは全くないけど。理子はお構いなしだった。

 そのままテレビを見ているうちに俺は少しずつ眠くなってきていることに気づく。俺はいつの間にか眠っている理子を抱き上げると、部屋へと運んでいく。こんなことはよくあるのでもう慣れた。

 ベッドに寝かせた理子にお休みと言ったあと、眠いので俺ももう寝ることにした__。


___________

_________

_____

___





 次の日の放課後、東雲と咲良と共に今日の部活内容について話し合う。


「今朝はなんとか紙を全部配り終えられて本当に良かった。後はこれで相談しに来るやつを待つのみだな」

「そうすぐに来るとは思わないけどな」


 なにせ突然できたわけのわからない部活だ。そんな所に誰が相談しに来るというのだろう。

 そしてその予感はまったく的中して誰も来なかった。すると次第に東雲がいらいらし始める。


「なんで誰も来ない…」


 誰も来ない間俺はずっと咲良と話していた。咲良とこんなに長く話したのは久しぶりだ。家ではほとんど部屋にいるからあまり話さないし。

 ふと窓の外を見ると運動部が部活をやっていた。時折大きな掛け声が聞こえてくる。

 そういえば理子って陸上部だったよな。

 俺は立ち上がると外へ出ようとする。


「どこ行くの?」

「暇だしちょっと理子の様子でも見に行ってくる」

「じゃあ私もいくわ」


 そのまま咲良と共にグラウンドまで行くと陸上部がそれぞれの種目に分かれて練習しており、理子はスタブロを使ってスターと練習をしていた。俺達は邪魔にならないように少し離れた位置で見ていたが、不意に理子と目が合うと、こっちに走ってきた。


「やっほーお兄ちゃん、それにお姉ちゃんも。どうしたの?」

「ああ。ちょっと部活が暇だったからこっちの様子を見に着たんだよ。というか…」


 俺は理子の姿を見る。初めてユニフォーム姿を見たが、ちょっと露出が多くないか?


「理子。いつもそんな服装で走っているのか?」


 俺の問いに理子は首を横に振る。


「いつもじゃないよ。大会が近いから、実践に近い感じで練習していたの」

「ふーん…」

「もしかして、嫉妬してくれてるの?大丈夫だよ。今日みたいなのはまれだから」

「違うぞ。嫉妬なんかしてない」


 否定するが、理子は笑うだけで信じてくれない。

 そこへ、ランニングを終えた高崎がやってきた。



次回の更新は遅れます><

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