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香里の場合 ⑦身勝手な女

その夜、私は清彦さんと永久の帰りを待って、一睡もせず

朝を迎えた。彼から連絡もない。

頭の中は不安が一杯で胸が押しつぶされそうだ。


もし・・あの二人が無事に帰ってこなかったらどうしよう。

私はどうやって生きていけばいいんだろう???と心細く思う。

すると朝7時頃、清彦さんが永久を連れて帰って来た。

永久は清彦さんに抱かれて眠りこけている。


『清彦さん、今まで、どこに行ってたの?誰が連れて行ってたの?』

『・・・ちょっと待って、落ち着いたら話すから。永久も私も疲れてるから・・・。』

『ねえ、私だって心配で一睡もせず待ってたのよ。』

『わかってる、だからちょっと待ってって言ってるのよ。』

『・・・・』


二人の顔を見て、極度の緊張状態がほぐれてほっとしたはずなのに、

怒りにも似た感情が高まるのが押さえられない私。

いったい、誰が・・・?と思っていたら、彼の元妻の仕業と聞かされた。


どうして???元妻が、子供を連れて行ったのか?


『ごめん、私が悪かったのよ。母親との思い出のつまった家に執着したばかりに

 こんな事になったと思うわ。』


彼の元妻は、同級生で地元の出身だった。離婚後もこの実家ちかくに住んでいたようだ。

離婚後は、男性関係が派手だったようだが、婦人科系の病気を患い

子供を産めない身体になってしまったらしい。


ある日、私達家族を垣間見て、あまりに幸せそうだったので嫉妬心から

子供を連れてきてしまったと話したらしい・・・。

不能だったはずの元夫が、別の女性との子供を抱いて幸せそうにしている。

ワケもなく腹立たしい・・寂しさゆえかセックス依存症で治療中と言う元妻。

誠に身勝手な理由で、永久を連れ出してしまったようだ。


許せない・・・しかも私の怒りはそれだけ収まらなかった。

私は、清彦さんを心から愛していると実感。元妻の出現で揺れている彼を

どうしても失いたくなかった。


その夜、私は初めて彼の寝室に入り寝床に入った。

彼を貪るように求め、私達は心身共に結ばれたのだった。

そして二人目を身籠もった私。幸せだった。


ある日、元妻が尋ねてきた。

私にどうしても詫びたいと言う。

気は進まなかったが、仕方なく居間に通した。

しかし、彼女の横柄な態度に腹が立つ私。

そして些細な事で口げんかになり、私は彼女を突き飛ばしたのだ。


彼女は頭を強く打って倒れ込んでしまう。

しかも打ち所が悪かったのか、息絶えてしまった。


ああ、どうしようと私は途方に暮れる。


・・・そこで目が覚めた。居間に子供と一緒に昼寝していたのだ。

どうやら悪い夢を見ていたようだ・・とホッとする。イヤな汗をかいた。


するとピンポーンと玄関のベルの音。

覗くと元妻が立っていた。


どうか、正夢になりませんように・・・私は祈る気持ちだった。























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