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春馬の場合 ②神の子 災難にあう

2009年9月 ノンカピスコ純潔の続編です。

春馬は、当然の事ながら周囲から好奇の目で見られていた。

幼稚園、小学校、中学校と噂は広まる。


『お前、神の子だってなあ。』

そうからまれ、からかわれるのには、春馬は慣れてる。

でも、誰もが思っていた。


(確かに、あいつはみんなと違う・・・)


昔、春馬にイジメをしかけた同級生は、春馬が手も触れないのに

瞬時に口元が裂け、血を流したのだ。

噂を聞きつけた不良達も、喧嘩をしかけるが、目に見えない相手に

押しやられるように、足が動かなくなったと噂が独り歩きする。


そして勉強が出来ても、『アイツは、神の子だからなあ。』と言われ

居心地が悪かった。

早く大人になって、教団を出て、誰も知らない都会で暮らしたい。

春馬のささやかな願いだった。


母の美緒は、殿上人のようにまるで生活感がない。

春馬が幼い頃乳ぐらいは与えてもらった記憶はあるが、

母親らしい世話をしてもらった覚えがない。

美緒は、ひたすら信者に向き合う日々で忙しい。

春馬の学校行事も祖母の真澄や教団の関係者が来る。


弁当も真澄が作ってくれるし、春馬はもう諦めの境地だった。

でも、世間の母親のような関係は求められなくても、美緒を尊敬していたのだ。


そんなある日、夏の暑い日、

美緒の初恋の相手山下隆史がやって来た。

彼の妻が夫以外の男の子供を宿し離婚したと言う。

そして美緒への変わらぬ思いを語り出すと、美緒もそれに耐えきれず

御簾から出てきて、信者を始めたくさんの人目もはばからず

二人抱き合った。


『私もあなたをずっと思っていた・・・』


美緒は、初めて本心を明かし涙にくれていた。

その美緒を隆史は抱き上げて、車に乗り込み走り去って行ったのだ。

あまりに突然の事で、誰もが呆気にとられ、二人を制止する事も出来なかった。


クラブ活動の帰り、教団の前が騒々しいのに驚く春馬。

母の美緒が失踪したのを知ると、困惑より女性としての

幸せを願う気持ちになるのが不思議だった。


『ああ~、美緒様いなくなったら明日からどうすんだろうね??』


春馬の背後から声がした。

幼なじみの阪下真由だ。

教団の下働きをしている母親と一緒に住んでいる。


『春馬、やってみる?』

『え?何?』

『美緒様帰ってくるまで、教祖、やってみたら?神の子なんだから・・。』


(ええ~冗談~!!)


真由は、意味ありげに笑っていた。









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