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公彦の場合 ④僕が死んだら・・・

『なあ、涼介、隠してちゃダメだ。少なくても親には言わなくちゃ。』

いつもチャライ裕真が神妙な顔で言う。

しかし、涼介はそれだけはイヤだと首を振った。


涼介は、泣きながら昨晩の会話を思い出す。

最近、地方の中学校でイジメを苦に自殺した生徒がいた。

その事を大きくマスコミが取り上げ、学校側や教育委員会の隠蔽体質を

批判する番組を両親と自分とで見て、生きた心地がしなかった。


『まったく、親は何してんのかな。』

『自殺した子の親って、学校で何があったか知りたい・・みんな、そう言うよね。

バカの一つ覚えみたいに・・。』

『ああ・・・。学校は数いる中の一人だから、掌握しきれないよな。』

『ね、涼介は大丈夫よね??』

『え?何が?』

『イ・ジ・メ・・』


修子は笑って、そう聞いた。自分の息子が悲惨なイジメに遭ってるなんて

夢にも疑っていない。涼介は、一瞬時が止まった気がして、息苦しくなる。


(お袋、僕が毎日どんな目に遭ってるか知ってる?)


『ね、もし、ひどい目にあったら、ママに言うのよ。絶対。』

『・・うん。』


心ここにあらずで、涼介は頷く。


(もし、僕が死んだら・・・二人はどうする?悲しむ?泣く?)


最近、朝が来るたび憂鬱で、そう思ってしまう。

しかし、親の心配する顔を見たくないから、仕方なく登校する。


そして帰宅するたび、修羅場を耐え忍び、今日も一日生きて帰れたなと実感する日々だ。

毎日、殴られ、蹴られ、口に出せぬほどの屈辱的な目にあう。

この地獄のような日々はいつまで続くのか・・と思ってしまう。


(もし、僕が死んだら・・みんな、どう思う?)


『なあ、涼介、お前の気持ちもわかるけど、黙っていても解決しないぞ。

警察に被害届でも出すか。』

『もう、やめて!説教しないで!先生とお袋のこと、会社に言ってもいいの!』

『お前・・・』

『・・・・』


以前、涼介が、トイレに下に降りていくと、修子と裕真がキッチンで抱き合いキスしてるのを

見かけた。

修子が積極的にリードし、男の手を自分の感じるところに誘導してる。

そこにいるのは、母親でなくメスに見えた。


涼介は、息をひそめ、また上にあがった。

見ては行けない物を見てしまったような気がした・・・


(僕が死んでも、お袋、悲しむかな?先生、来なくなるから・・・)


『あ・・それは困る。オレ、就職活動始まるから・・それに、お母さんとオレは

何でもないから・・よくあるんだ。生徒の母親に色目つかわれることは・・。

オレとしたら断れなくって・・ついってことさ。』


彼にしたら、バイト先ともめたと思われて評価を下げたくない。


『でも、涼介、せめて、オレにだけ言ってくれ。誰かに言うだけでも軽くなるんだから。』

裕真は神妙な顔して言った。
















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