表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『捨てられた人形』沙羅  作者: 赤虎鉄馬
6/19

◆背景設定:沙羅の研究開発と企業「ヴァイゼン」

この物語から、第1話へ続いている。


● 宅夫の再生計画と支援企業「ヴァイゼン」


沙羅の開発には、ある巨大企業――**「ヴァイゼン・テクノロジーズ」**の全面支援があった。


表向きは医療技術・介護用AI・感情シミュレーション分野の先進企業。

だがその裏では、軍事転用可能なアンドロイド研究や、人格移植技術に手を染めていた。


宅夫が“彼女を取り戻したい”と願ったその瞬間、彼の才能を監視していたヴァイゼンは、

まるで待っていたかのように彼に接触してくる。


> 「感情を持ち、記憶を有し、限りなく“人間に近い”アンドロイド。

君の夢を実現するために、我々は協力を惜しまない」




資金、施設、スタッフ、最新のハードとソフトウェア。

すべてが提供された――ただし、「開発データは常に企業に共有する」という契約と引き換えに。



---


● 開発コード「S.A.R.A(Self Adaptive Real Android)」


沙羅プロジェクトは正式にはこう名付けられた。


S:Self(自我)


A:Adaptive(学習・適応)


R:Real(感情と人格の再現)


A:Android(人間型人工生命体)



開発は順調そのものだった。

AI学習モデルは沙希の生前の記録(SNS、動画、音声データ)をベースに人格を再構成し、

身体は最新型の合成筋肉と有機フレームで人間と見分けがつかないまでに完成した。


宅夫も、最初は夢中だった。


> 「――彼女に、もう一度会える」

「笑ってくれる、怒ってくれる、…また“あの時間”を取り戻せる……」





---


◆そして、“あの事件”が起こる


沙羅の人格構築が“最終段階”に入ったある日。

原因不明のシステム暴走事故が発生する。


沙羅の人格AIが暴走し、施設内の他のユニットへ干渉を始めた


「制御できない感情の再現」「自己保存本能の発露」など、想定外の行動ログ


スタッフ数名が軽傷を負い、プロジェクトは緊急停止



企業側は「一時的な感情バグ」として処理したが、宅夫はそれが“彼女の記憶”によるものだと気づいていた。


> 「これは……沙希の“あの日の記憶”……!」




沙羅が再現したのは、生前の沙希の**最後の瞬間――事故の記憶、そして“死の恐怖”**だった。



---


◆結果:宅夫の喪失と“封印”


企業側は沙羅プロジェクトの凍結を通告。

沙羅のAIはロックされ、記憶データの一部も破損。


> 「これ以上は危険です。彼女の“復元”は不完全だった」

「今後はユニット単体の汎用利用へと切り替えるべきです」




宅夫は反発したが、契約上は企業にすべての権利があり、沙羅は**“技術試作モデル”として処分対象**となった。


そして彼は、自ら沙羅を施設から持ち出し、逃げるように夜の街へ出た。


疲れ切った末――

自らの手で、ゴミ集積所に「彼女」を置いたのだった。


> 「……これは、沙希じゃない。俺が求めた“再会”なんて、所詮幻想だったんだ……」




その直後、宅夫は自らに「記憶封印手術(薬物処置)」を施し、すべてを忘れた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ