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掃除

廃教会に引っ張り込まれた僕は、散らばってべちゃべちゃになった落ち葉をみて立ち尽くした。


ありゃー……。


「入り口の周りは全部びっしょびっしょ。あの子やたらと魔法を見せつけたがるのよね」


ノノはかなりお怒りの様子。


廃教会に残っていた何人かは手作業で落ち葉をかき出したり、水をぼろぼろの箒でかき出したり。

ノノもすぐに水掃き作業をはじめたから。

僕も一緒に見よう見まねで動く。


葉っぱのかき出しまでは良かったけれど、問題は穴の中。

壁や天井が一部崩れてはいるけれど、ここはそれでも室内なので水没なんて想定外だった。

まいったなぁ。


麻布をどけて、葉を取り除いて、蔦を取り除いたその下は水が少し溜まったぬかるんだ土になってしまっていた。


せっかく皆んなで作ったばかりであったけれど。

これではどうしようもない。

一緒に制作した子も何人かここに居て、残念そうに僕を見ている視線を感じる。


「ここだめあね。もおうえちゃお」ここダメだね。もう埋めちゃおう。


僕は残念そうに見ている子供達の視線を感じながら、小さなおててで黙々と穴を埋めていった。


「ティオちゃんごめんね。せっかくつくってくれたのに」

「いい布団だったよ。ふかふかだった」

「あの野郎こんなとこで水ばら撒きやがって」


ノノより少し年上のお姉さん、お兄さんからも声をかけられながら、多分僕は慰められていたのだろう。

彼等の拠点に寝床を制作したのは僕の気まぐれだったけれど、彼等は思ったよりずっと喜んでくれていたのかもしれない。

そう思うと、使えなくなってしまったのは残念でならない。

でも、なくなったものは元には戻らないから。

それならまた作る事を考えるべきか。

いや、一度濡れて使えなくなった場所に同じものを設置するにはリスクがある。

次また濡れないとは言えないのだから。


ならどうしようか。

どうせなら前よりいいものを置きたい。

落ち葉のお布団よりもっと柔らかくて、もっと温かい、水濡れの後に扱いが容易なもの。


それなら、やっぱり本物の布団がいいのではないだろうかと、結局そこに行き着いた。

廃教会にもいくつかある寝具を覗き見た感じでは、僕の知っている綿花を編み込んだ素材であるのかもしれないと予想がつくものの、僕にそれを作り上げる力はない。

対価を支払い購入するしか手はないけれど。


幸い、僕は仕事が内定したばかりで、これから採算のとれる自信もある。

利益が出来たらお金が稼げるし。

お金がいくらか纏まれば布団を買う事は難しいことではないと思う。

僕は薬が売れたから彼らに布団をプレゼントしてみてもいいかもしれないと思えた。


そして、それがとても素敵なアイデアだと思えてくると。

まだ初めてもいない未知数の仕事に、少しずつ意欲も湧いてくるから不思議だった。

楽しみな目標が持てるって凄く嬉しい事だと思う。








すっかり綺麗になった入り口で、僕らが一仕事終えた疲れを癒していると。

外から優しい風が流れ込んでくる。

じんわり汗ばんだ肌に抜けていく風が気持ちよくて。

僕は目を閉じて壁に身体を預けてみる。

程よい疲労感で、このまま一眠りもできそうだけど天気もいいし日もある今は鳥に視界を借りて飛ぶのもいいかもしれない。


薬の為に必要な採取もある。

それなら、と。

僕は静かに集中する。

良くロカで見かける、何度か目を借りたあの小さな小鳥を思い浮かべながら。集中。集中。


僕は鳥に視界を借りて空にとびあがった。



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