ジノの捜索
「じゃあ、アタシは仕事にいくわね小さな依頼者さん」
僕の頭をゆるりと撫でる固い冷たい手。
エルザはそういって何処かへと去っていった。
去っていく彼女の背中を見ていたロッツォが、溜めていいた息を吐きだし立ち上がった。
「お前等!もう一度探しなおすぞ」
ロッツォの声に腰を下ろしていた何人かの子供たちも立ち上がる。
子供からお金をとりあげるジノの姿は、僕は何度か見たことがあった。
小さな小遣い稼ぎを様々周囲の子供立ちに割り振っている姿。
紹介料として報酬の何割かを彼がとりたてていく姿。
鳥の視界から見ていたときの僕は、そんなジノにあまりいい印象を抱いていなかったのだけど。
遠目で感じる印象と、実際に彼らの中に入り込み間近で見る印象は大きな違いが出ていることもあるようだった。
実際、子供達のコミュニティのボスがジノであることにもエルザと出会わなければ僕は知りえなかったかもしれない。
悪印象にみえたジノの印象が変化していく。
コミュニティのボスでありながら、知らなければそう見えない、外側からは悪印象を感じたのに、コミュニティの中では慕われた人物。
僕は、ジノという人間に興味を持ち始めていた。
僕が周りを見ている間に、この集団の副リーダーであるらいいロッツォの指示は飛んでいく。
南は……、北に……、と。方角や建物を伝えながら、的確に子供達を割り振っていくロッツォ。
分かりやすい支持で端的に伝えつつ、向かわせるメンバーも大きな子と小さな子がそれぞれに振り分けられていく。
短時間の性格な指示に、彼の頭の良さがうかがえてくる。
僕はロッツォの声を聞きながら、鳥の視界からみてきた街の様子を思い浮かべる。
ギルド、商業地区、居住区、貴族の邸宅……。
大通りを避けた小道に人を送るロッツォの考え方はいいやり方だと思う。
そこに行くのが子供という不安要素以外は。
「よし、あとはノノ。お前にはアイツの案内を頼む」
「え?わ、わたし?」
急に振られた僕への言葉に、振り向いた。
ロッツォの示すアイツは僕で、一番機動力の無い小さなノノは新入りの僕の相手を押し付けられたよう。
「にょにょ、よおちくー」ノノ、よろしく。
少々頼りない案内やくだけど、せっかくなので有難く借りていこう。
僕はもっと彼等を知りたくなったし、ジノに興味ももっている。
「案内って、……わたしもジノ兄を探したいよ!」
僕の差し出した手をスルーしたノノは、ロッツォに向き直ったが。
すでに彼らは駆け出していた。早い。
居ないものはしょうがない。
残念そうなノノの視線がゆっくりと僕に向く。
「……はぁ」
ため息。
んんんんんん!!こんな小さい子から残念がられてため息つかれてる僕。
なんだか、失礼だと思う。
僕は、フンスッと鼻から息を吐き出した。
「にょにょはジノをさあしちゃい?」ノノはジノを探したい?
「え?まさかにょにょって私の事いってる?」
僕はうんうん頷いた。もちろんノノの事だから。
「あい。で、さあしちゃい?さあす?」はい!で、探したい?探す?
ムッとした顔をしたノノがにらみつける様に僕をみた。
なかなか気が強い子かもしれない。
「探したいにきまってるでしょ!」
「あい。ぼくとさあそう。さあしながら、まちのこちょもおちえてね」はい。僕と探そう。探しながら街の事も教えてね。
ノノは僕の言葉にスンとした顔をして頷いた。
「いいわ!あなたの案内はジノ兄を探すついでだからね!!」
「あいあい」はいはい
僕たちはロッツォ達に遅れて駆け出した。
とてとてとてとて走っていく二つの小さな姿。
意地悪な僕は、すこーしだけ、子供らしくない速さを出してしまう。
「ちょっとっまちな、っさい、あなた、い、意外に、足が、早いんじゃないっ」
ぼくは自尊心が満たされて、小さなお鼻が高く高くなった。
「はぁはぁ、ごめんなさい。私、小さなあなたにあたりがキツかったわね。
ジノ兄がいなくなってから、おちつかなくて」
僕の自尊心は急激に収縮し、僕の鼻は元通りを通り越して窪んでしまった。もちろん言葉の表現の鼻。
大人気なさに居た堪れない。
ノノ良い子。
「ごめちゃい」ごめんなさい
「?」
ノノは謝った僕を不思議そうに見返した。




