僕の成長
強者の放つ見えない力みたいな謎の力と、僕をスーパー人間に作り変えてくれた肩の狼。
まだまだ分からない事も多いけど、僕はひたすら知識を求めて何でもまずやってみた。
肩を魔法の水で冷やす場合、普通の水で冷やす場合。
肩に火を近づけて暖をとって見る。もちろん魔法の人と、摩擦で作り出した発火の暖の比較も忘れない。
結果、変化はなし。
肩の狼には外部から加えられる温度変化に左右はされない。
一方で、僕のメンタルにはめちゃめちゃ結びつき連結している様子。
魔法を連続で使うと肩の狼が徐々に熱くなっていく。
使いすぎると、今度は冷え始める。
カラカラにする前にはつ地を盛り上げて幼児を守るサイズの要塞なんか作って見ながら。
僕は魔法をカラカラに使い切ってしまう程限界に挑戦してみたりした。
疲れ果てた後に必ずお約束でやってくる獣の気配は土壁の外。
恐怖は消えていないけれど、くると分かっている熊にも万全にそなえてさえいれば身を守る事はできた。
ズドン!と時々土壁の中に毛むくじゃらの危ない手をつっこまれることもあったけど、力尽きてダラんとしていた僕はそのまま寝てしまい。
朝起きればスーパー幼児になった僕に、慌てて熊の方が逃げて行く。
慣れって怖い。
だんだん熊への恐怖に耐性がついているのを感じながら、僕は集中力がきれると、鳥の視力を拝借して人里の探索を再び楽しみ始めていた。
意識して、僕の存在をふにゃんと透明に構想してみれば、前の様には人に気づかれなくなった。
パン屑も、肩に乗ってピィピィするまで撒かれない。
鳥に視界を借りた僕をみつけた黒い騎士にはあの日以来会うことが無くなったから、絶対大丈夫だとはまだ思えないけれど。
今の僕が動かす鳥なら、あの男の前でも鳥のままでいられる予感はしている。
保身と、好奇心からはじめた僕の探究心が徐々に満たされ始め。
僕はだんだん森の中で出来ることをやり切った気持ちになってきた。
いつの間にか、よちよちしか歩けなかった足もしっかりと地面を踏み締める力もついてきている。
僕は、人里への興味と恋しさをなくしたわけではなかった。
そろそろかなぁ。
狼の傷のこともるし。
投石の雨から逃げ出した事もあった。
鳥の視界を借りた時には、スーパー幼児の僕が恐怖した男に話しかけられた。
怖くない訳はない。
でも僕は、ずっと篭りっきりだった森の中から平原、そして人里、街へと、今度こそまた行ってみようと決めたのだ。
小さな僕は、大きな一歩を踏み出し。
前回踏み抜いた投石の罠を飛び越えた。