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File1 たまたま出会ったぼくたちは

 漆黒の世界の中を、緑の光を発しながら突き進む物体があった。中には一人、人間が居た。

 なにもかもを覆い尽くす闇は、ぽつりぽつりと小さな光を持っていた。ここにはなにもないが、ここにはすべてがあった。名を宇宙という多次元の空間である。

 西暦およそ2600年……地球は、文明レベル2に到達していた。簡単にいえば、太陽から直接エネルギーを取り出せるレベルにあった。

 数百年前は、そんなことができるようになるまでに何千年かは必要になると言われていたらしい。しかし実際には、当時の予想の何倍もの速度で文明が発達し、そして実現されている。

「どうしてなのかな。それは……そう、異星人の存在が大きい」

 確か……400年ほど前だったはず。その日世界の主要な国家は、突然同時に異星人の存在を公に認め、過去の機密データを含め全世界に発表したらしい。歴史の授業で誰もが習ったであろう、『異星開世(いせいかいせ)』だ。これをきっかけに世界各国は堂々と異星人との交流・貿易などを開始したんだ。

「初めは侵略を懸念する声や、これは世界の終わりを意味しているという陰謀論者の声が世論を埋めつくしていた。でも違った」

 異星人たちは友好的だった。我々地球人と比べて遥かに優れていたためか、圧倒的な余裕を持っていた。見下しているのではなく、親と幼い子供のような感じで接していた……と、二次元のデータに残されている。

「今日は十六歳の誕生日。そして、一人暮らし開始記念日。楽しみだなぁ……どんな星なんだろう」

 ぼくは地球から遠いところにある小さな星に向かってカプセルで超越速度を出して移動している。この広い宇宙には無数の、大小様々な星がある。ぼくが向かっているところは、地球の三分の一程度しかない小さな星だ。当然生身の人間が暮らせる環境じゃないだろう……だから、これから開拓や改造を進めながら生活をしていくんだ。

 宇宙船の丸い窓の先に一つ、茶色い星が、だんだんと……だんだんと……その姿を現していった。

 《目的地付近です》

 機内に機械音が響く。現在の人類の技術があれば、本物の人間そのままの声にすることなど五歳でも容易いのだけれど……昔、あまりの発展に恐れを抱いた当時の人々が、ある一定のラインは超えないようにしようと定めた。その結果、発展に多少の抑制が加わったことは間違いないけれど、でもそのおかげでこうして人と機械の区別があるんだ。

「さてと、そろそろ準備しなきゃね。なにがあるかまったく分からないんだから、魂の保管も欠かせないし」

 未開の星というものは、誰がどう考えても危険そのものだ。もしかしたら、接近すらできないかもしれない。でも調査済みの星は地球統合平和国、パンゲア政府によって管理され、資源や技術、文化が奪われてしまう。そんなのつまらないよね。

「最近ようやく魂……命が完璧に研究されきって、こうして魂のデータを保管することができるようになったわけだし」

 魂。倫理的な指摘も多かったテーマだ。生物は死ぬことが自然の摂理であり、それに反するということは人ではないナニカになるということ。でも政府と研究チームはそれを受け入れた。

 保管された魂のデータは暗号化され、もし肉体が失われてしまってもメタバース上に蘇生、その後生命活動が可能な依代を与えることで現実にも蘇生可能。この魂の技術はさっき言った通り最近確立された。今は多くの反対意見を押しのけて、遺伝子技術と組み合わせて過去の人物の蘇生が研究されているらしい。

「思うところはあるけどさ、平和な世界のためには殺害の意味をなくせばいいっていう政府の考えは面白いよね」

 その時また、機械音が鳴った。

 《有害物質は見つかりませんでした。重力を確認。陸地を確認。距離を確認。終了。着陸を開始します》

 機体がゆっくりと傾いていく。着陸の姿勢に移行している。この状態で重力に任せて落下し、ある程度陸に近づいてから反重力を生み出し、安全に着陸する。

 ふと窓を見ると、なにかキラッと輝くものが見えた。誰かが移動しているのかな。それとも流れ星かな。

「そうだ、生き物は居そう?」

 《はい》

「それと生身の人間でも大丈夫そう?」

 《はい。ただし獰猛な生物が居る可能性が高いので装備、魂の保管を推奨します》

「分かった、ありがと」

 《いえ、まもなく到着いたします。お気をつけてください》

 機体が少し揺れたかと思うと、壁にじわっと線が浮き出てきて、そして扉になった。物体変質現象は何度見ても面白い。

 ぼくは扉を開けて外に記念すべき第一歩を踏み出した。

「すぅ〜はぁ〜……うん、空気が美味しい。なんというか……失われた味っていうか……いいな」

「私もそう思う」

 後ろからそう聞こえた。ぼくは驚いてふりかえった。そこには茶色い服と長くて濃い茶色のスカートを着た異星人が居た。

 誰だろう。もしかしてさっそく現地の……いや、ぼくと同じ言語ってことは、同じだけのレベルの星のはず。となると……。

「もしかして、君もここに移住してきたの?」

「そう!ちょうどさっき着陸したところなんだけど……こんなことがあるなんて。ねぇ、あなたはどこの人?見た感じ宇宙の中でも珍しいタイプだよね」

「そうだっけ……ぼくは地球人だよ。君は?」

「私はinv(インヴ)星人。これから協力することになりそうだね」

 協力……正直なところまったく考えていなかった。だってようやくの一人暮らしだよ。誰かと一緒だなんて思いもしなかった。だけど、仲間は多い方がいいよね。

「そうだね。これからよろしくお願いします」

 ぼくがそう言って頭を下げると、inv星人も真似をして言った。

「こちらこそっ!そうだ、私のシェルターに来てよ。いろいろとお話したいし」

 カチッ

「わかった。案内してくれる?」

 世の中には色んな異星人が居る。この異星人は、きっと友好的なんだろう。距離を詰める速度が早い。

 そんなことを考えていると、目の前になにかがあるのに気がついた。それはinv星人の伸ばした灰色の腕だった。指のようなものはなく、かわりに小さな毛のような触覚がたくさん生えていた。ぼくはその手を掴んだ。inv星人がにこっと笑ったその瞬間、大きな音が響いた。地面が揺れる。

 ドゴォォォォォォォン……!!!

「な、なんだ?爆発?」

「今の音……私のシェルターの方からだよ!」

「……行ってみよう」

 誰かが爆発させたのか?突然のことに困惑する。まだinv星人のシェルターが爆破されたとは決まっていないけど、嫌な予感がする。

「まっすぐだよ!」

 inv星人はぼくの手をしっかりと握って走った。その表情には焦りが見えた。万が一に備えてぼくは、もう片方の手をポッケに入れて武器を取りだした。

「なにそれ」

 inv星人が足を止めて言った。二つの黒くてくりっとした丸い目は、じっとぼくの武器を見つめていた。

「武器だよ、誰かぼくたちの敵が居るかもしれないから」

「どういう武器なの?」

「そうだね……武器といっても護身用で、電気ショックを与えるだけだけどね」

「そうなんだ。あっ忘れてた。そろそろ見えてくるはず……っ!!」

 inv星人は息を飲んだ。無理もない。なぜならシェルターがあったであろう場所には大きなクレーターができており、真っ黒に焦げていて、壁だったと思われるパーツが辺りに円形に飛び散っていたからだ。

「どうして……」

 inv星人がぽつりと言った。

「ひどい……」

 ぺたんと力無く座り込んでしまった彼女を見て、どうしてもぼくの良心は黙っていられなかった。

「あのさ、相談なんだけど……ぼくのシェルターに来ない?まだ設置もしてないんだけど……でも、住むところに困るでしょ?」

 inv星人はハッと顔を上げてぼくを見た。信じられないと顔に書いてあった。溜まっていた涙が、スッと流れた。

「……良いの?」

「うん。見捨てられるわけないじゃん。少し狭いかもだけど、それで良ければ」

「……うっ……ありがとう……ひっく……う、うぅ……!」


 こうしてぼくは、inv星人さんと協力してこの星に住むこととなったのでした。つづく。

こんにちは!はとです!

ということで「きみのこともっと知りたい」スタート!!今回は結構ちゃんと初めから設定とか考えてるから、まともな話になるんじゃないかな……未来の宇宙の日常回がメインストーリーとなります、お楽しみに!

もしこの星に欲しい設定がありましたら募集中ですのでバシバシ送ってください!

これからよろしくお願いしますm(_ _)m


(なおこの作品は、はとの個人的な都合により不定期掲載となります。ご了承ください)


最後まで読んでいただきありがとうございました!

ご意見ご感想お待ちしております!

それではまた!( *¯ ꒳¯*)ノばいばーい♪

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