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ほどけない呪い
『あんたなんて、生まなければ良かった』
母から放たれたこの言葉は、ぼくへの一生の呪いとなったー・・・。
ピピピッピピピッ
無機質な目覚ましの音と共に、僕は重たいまぶたをそっとひらいた。
「もう朝・・・。」
重怠い身体をのっそりと動かし、ベッドからおりる。
スマホを見ると、06:30と表示されている。
ぼくは冷たいフローリングを歩き、洗面所へと向かった。
洗面所には大きな三面鏡。
鏡にうつる自身の姿には、顔全体にある火傷の跡。
「きたない顔、こんなの消えてしまいたい。」
そんな言葉がぴったりなぼくの顔。
『あんたなんて、生まれなければ良かった。あんたを見るたびに、私は死にたくなる。』
そう言って、ぼくの顔に熱湯を投げ掛けた母の姿がぼくの最後の記憶だった。
10年前、母である人につけられたこの傷と言葉は、呪いのように今でもぼくを縛り付けて消えない。毎朝、鏡で自分の姿を見るたびにイヤになる。
軽く顔を洗い、制服に着替え、1DKのたったひとりで住んでいる我が家をでたー・・・。