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第4章 勇者は偽りの愛で汚れなき乙女達を惑わす

 俺の名は、ハリス・アブド・イクバール。


 大国ヒタイトの侵略、北内海の海賊の略奪や砂漠の遊牧民からの襲撃からエレミア王国を守護した功績から、国王の『勇者』称号を授けられた男だ。


『勇者』の称号は俺以外何人も、名乗る事が許されていない唯一無二の称号だ。


 エレミア王国の民は、俺の事を救国の勇者と呼ぶ。


 陰では『寝取りの勇者』と一部の連中が、俺の事を呼ぶ。


 確かに俺は数十人男達から、熱愛中の恋人の仲を引裂き、婚約者から最愛の人を奪い、妻として娶った。


 女神の神託で俺の花嫁して選ばれた乙女達には、運命に従い他に術はない。


 最愛の(ひと)を奪ったのは女神であり、救国の勇者ハリス・アブド・イクバールを恨むのは逆恨みに他ならない。


 身分を問わず女神の神託では、人妻や未亡人が俺の花嫁に選ばれる事は皆無だ。


 エレミア王国で一、二を争う、絶世の美女達で既婚者は、女神の神託で俺の花嫁に選ばれる事は決してない。


 女神の神託で俺の花嫁として選ばれるのは、16歳~20歳迄の穢れなき乙女達ばかりだ。


 エレミア王国は亜熱帯気候の為か、男女共に性成熟が早い傾向がある。


 男女共に16歳~20歳前後が結婚適齢期とされ、20歳を迎える頃には結婚している事が多い。


 20歳を超えて未婚なのは、女神に純潔を捧げた聖巫女しか居ない筈。


 結果的には、俺が恋人や婚約者から5人の穢れなき乙女、第3王女アイン、聖巫女レイラ、貴族令嬢マシカ、町娘ラビア、村娘ナイラのその後に関して書き綴る事にする。


 ※ ※ ※ 


 女神の分霊体サクラの言葉通りに禁断の魅了スキル『偽りの愛』の絶大効果を発揮した。


『偽りの愛』を掛けた直後から効果を発揮し始め、5人の乙女達は、俺に好意を持ち始める。


 熱愛中の婚約者や恋人が居た、貴族令嬢マシカと町娘ラビアは違和感に戸惑い気味だ。


 2日、朝食の席で5人と顔を合わす。


 第3王女アイン、聖巫女レイラ、村娘ナイラは既に恋する女の顔だ。


 怪我や病気を治癒魔法使いの聖巫女レイラも流石に禁断のスキル『偽りの愛』を防ぐ術は無かったようだ。


 俺を見つめる視線が熱い。


 貴族令嬢マシカ、町娘ラビアの顔には戸惑いの表情が浮かんでいる。


 2人には駄目出しで『偽りの愛』を二度掛けする。


 マシカとラビアの戸惑いの表情が消え無表情になる。


 沈黙の中、朝食が続くが、5人の乙女の熱い視線が俺に突き刺さる。


 3日目、近隣の村々を荒す盗賊団の討伐から帰った俺を小宮殿(ハーレム)で5人の婚約者が、女官達と一緒に出迎えてくれる。


「お帰りなさい。勇者様」


「お仕事ご苦労様でした。ハリス様」


「討伐ご苦労様でした。勇者様」


「お帰りなさい」


「お帰りなさい」


 赤銅色の顔に蠱惑的な笑みを浮べて5人の婚約者は、俺を出迎えてくれた。


 マシカ、ラビアの2人にも戸惑いの表情はない。


 3人の婚約者と同じく恋する女の顔だ。


 今夜は盗賊団の討伐の話でも話してあげよう。


 俺と接触する時間が長い程に『偽りの愛』捕らわれ二度と醒めぬ愛へ堕ちていく。


 淡い恋心は熱烈な愛情へと変貌し彼女達は、無条件に俺を愛し始めていた。


 4日目、特に仕事の予定も予定もないので遊戯室でゲームに興じる。


 第3王女アイン、聖巫女レイラ、貴族令嬢マシカは、セネトゲームの経験があるで俺とアイン、レイラとマシカの二組に分かれて数対戦する。


 町娘ラビアと村娘ナイラにはセネトゲームの経験がない為、俺達の対戦を眺めていたが後で、2人もセネトゲームを教えて夕食まで楽しんだ。


 ラビアとナイラは頭の回転も速くセネトゲームのルールを覚えたが、セネトゲームはエレミア王国では、王侯貴族から庶民まで普及しているゲームなので、ラビアとナイラにセネトゲームの経験がないのが不思議だ。


 夕食後は白黒反転ゲームで盛り上がる。


 前世の記憶を頼り某ゲームを再現したゲームだ。


 余談になるが俺以前にも日本からの転生者は居た様で、箸や風呂敷など日本文化がエレミア王国に広まり根付いている。


 異世界で日本文化を見掛けると、前世が記憶がある俺は不思議な気分になる。


 5人の婚約者達と1日、遊戯室でゲームに興じた結果、『偽りの愛』は、彼女達の魂まで侵食し始めている。


 5日目、女神の聖紋が彼女達の纏うシース―の上からでも紫に輝いているのが確認する事が出来る。


 5人の穢れなき乙女、第3王女アイン、聖巫女レイラ、貴族令嬢マシカ、町娘ラビア、村娘ナイラの下腹部には紫に輝く女神の聖紋が刻みこまれていた。


 朝食後、5人の婚約者に尋ねる。


「5人に尋ねるが俺の事を愛しているか?」


「アインは誰よりもハリス様をお慕いしています」


「レイラは勇者様へ全てを捧げ生涯、愛し続けます」


「私、マシカも全てを捧げてハリス様を生涯、愛し続けます」


「愛してます。愛してます。ラビアは誰よりも。勇者様を愛してます」


「あたしも誰よりも、勇者様を愛しています」


「私もハリス愛しているわよ」


 と、サクラが茶々を入れるが無視をする。


 サクラは俺と一心同体の有能なアドバイザーだが悪戯好きで困る・・・・・


 サクラの悪戯を無視して婚約者達に話しかける。


「アイン、レイラ、マシカ、ラビア、ナイラ。俺も君達を愛しているよ。結婚しよう」


 最年長のレイラが代表して俺のプロポーズに応える。


「わたくしと4人の娘達は女神様に選ばれてハリス様の花嫁になりました。わたくしはハリス様に喜んで嫁ぎます。アイン殿下、マシカ様、ラビアさん、ナイラさんもハリス様との婚姻に異存は無い筈ですわ」


 アインとマシカは、赤銅色の顔に満面の笑顔を浮べ熱い視線で俺を見つめている。


 ラビンとナイラは感極まって泣き始めている。


 熱愛中の婚約者と将来を誓った、幼馴染が居た、貴族令嬢マシカと町娘ラビンだが婚約者と幼馴染への愛は『偽りの愛』に上書きされて砂漠の蜃気楼の様に消え去った様だ。


 笑みを浮べプロポーズを喜ぶアインとマシカ。


 感極まって泣き始めるラビンとナイラ。


 其の姿には、初日に顔合わせした時の余所余所しい態度は微塵もなかった。


 彼女達は、心から婚姻する事を契りを結べる事を心底、喜んでいるのだ。


 人の心は移ろいやすいモノだが、短期間で5人の乙女達の心が完全に書き換えられて変貌してしまうとは、禁断の魅了スキル『偽りの愛』の効果は恐ろしい限りである。


 特定の条件を満たした相手、女神の神託で俺の花嫁に選ばれた乙女達には、恐ろしい迄の効果を発揮する魅了スキル『偽りの愛』だが、一般の女性には効果を発揮する事の無い無害なスキルだ。


 5人の婚約者、女神の神託で俺の花嫁に選ばれた穢れなき乙女、アイン、レイラ、マシカ、ラビア、ナイラにプロポーズした俺は、結婚式の準備を進める為に女官長を執務室へと呼びだした。


「準備は全て完了した。5日後に小宮殿(ハーレム)内の女神神殿で婚姻の儀式を執り行う。手配は全て任せしたぞ」


「勇者様、ご結婚おめでとうございます。儀式の手配を全てわたくしにお任せください」


 既婚者の女官長は頭を下げると執務室から下がってた。


 尚、俺の小宮殿(ハーレム)小宮殿(ハーレム)は男子禁制の為、使用人には、全て女性である。


 下級貴族の娘や商人等の裕福な庶民の娘を行儀見習いとして年季奉公で雇う事もある様だが、小宮殿内の人員の手配は女官長と彼女の部下の副女官長に任せている為、俺は詳しい事は知らないが。


 女官長が有能なお陰で俺は、手間が省けて大助かりである。


 婚姻の儀式の準備も彼女に全て任せれば大丈夫だろう。


 砂漠の王国エレミアでは、古より一夫多妻婚の文化が根付いて為に、俺が一度に5人の乙女達と結婚すると聴いても誰一人疑問を思う者は誰一人いない。


 俺と婚姻する5人の花嫁さえも疑問に思う者はいない。


 尚、俺に最愛の(ひと)を奪われた婚約者や恋人は俺に文句の一つも言いたいかも知れないが。


 意に反して俺は、一夫多妻婚への準備を着々と進めていくのであった。

誤字、脱字だらけの拙い小説ですが、応援宜しくお願いします。

又、誤字・脱字のご指摘とご感想もお待ちしています。

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